「地震に必ず襲われる」「地震は発生するかもしれない」。この両者の考え方には決定的な違いがあります。地震に必ず襲われると思えば準備をするからです。電気と水・食料に加えて寝る場所がない。まさに文明・文化生活の否定です。経験者のみが理解できる世界です。
熊本地震支援活動は「地震は発生するかもしれない」から始まりました。AMDAにとって予想外、準備なし。ただし、日頃から構築していた医療、介護、災害鍼灸などの医療ネットワークの作動によって、少しでも被災者のお役に立てられたことに感謝しています。それでも、ああすれば良かった。こうすれば良かった。胸中に去来することがたくさんあるのも事実です。被災者の方々の生活が少しでも早く再建されることを心からお祈りいたします。
近い将来、南海トラフ地震・津波に必ず襲われます。33万人の死者と膨大な数の被災者が予測されています。被災地と予想されている人たちは個人レベルでどの程度の準備を進めているのでしょうか。一方で、医療機関は被災地へ医療チームを派遣する準備をしているのでしょうか。電気と水・食料に加えて寝る場所がない被災地へ派遣された医療チームはどうなるのでしょうか。医療活動の命である医薬品や衛生材料は品切れにならないのでしょうか。ここから先は想像力の問題です。
「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」は最大レベルの被害が予想されている四国の高知県と徳島県の避難所医療を想定し、両県及び基礎自治体との協定に基づき10カ所の避難所医療活動の準備を進めています。ポイントは事前準備です。食料、水、医薬品及び衛生材料の2週間分を派遣医療チームの宿舎に蓄える予定です。緊急時活動資金については阿波銀行、高知銀行そして中国銀行と緊急時借入枠の契約を結んでいます。人の命は医療だけではなく生活関連物資がなければ保てません。岡山経済同友会との協定に基づいての企業のご支援をお願いしています。ロータリークラブなどの団体も強力なパートナーです
被災地医療支援は国内の支援体制の限界を超える可能性があります。海外支援ネットワークの構築が不可欠です。台湾、韓国そしてシンにガポールに補給ルートを設定しています。この3カ国を基礎にして世界からの支援を受け入れる体制づくりも進めています。
南海トラフの発生率は2016年度に80%、2017年度に90%、2018年度に100%の予想で準備を急いでいます。被害妄想に終われば幸いです。
皆様方のご理解とご支援をいただければ望外の喜びです。