8月26日から28日のの3日間、モンゴルへ眼科専門医師、技術者を派遣して、視能訓練技術移転事業を実施しました。AMDAでは2010年から毎年モンゴルへ日本から専門家を派遣して子どもの目の健康に焦点をあてたセミナーや検診等等の事業を実施しています。
今年で6回目となる今回は、以前より懸案となっていた郊外での子どもの眼科健診を、地域の関係機関協力のもと実施しました。
ウランバートルから北西400KMにあるブルガン県のブルガン市にあるエルデミーン ウルゴー 総合学校で106名、県立第二小中学校で123名、そしてヒシッグ ウンドゥル村の小中学校で56名の眼科健診を行いました。 この3日間の検診結果としては、受診した子どもの8%が眼鏡を使用すれば視力が回復する状態、12%が眼科受診が必要な状況でした。眼鏡が必要と判断された子どもたちには、眼鏡のフレームを無償提供し、今後、それぞれにレンズを合わせて眼鏡をつくる予定です。
また、ウランバートル市内でも目に問題のあるこども21名の検査を行いました。健診を受けた保護者からは「子ども達のために日本からわざわざ来て下さって心から感謝しています。 また私たち保護者の無責任さにも気づかされる機会となりました。ありがとうございます。」という言葉をいただきました。
小児の眼科健診システムが整っていないモンゴル国内においては、小児の弱視、斜視、その他の眼科疾患は、明らかな症状がないため、発見が遅れたり、放置されたりすることが多く、教育に支障が及ぶ現状があります。子どもの目の問題の8割は適切な時期に適切な治療をすることで明らかな回復が期待されます。
今回の健診結果をもとに、今後はモンゴル国内において子どもの眼科健診を学校保健の一環とするべく、行政、教育委員会、PTA、眼科協会全体での子どもの目に関する啓発が必要と考えています。そのために、来年は社会全体にその必要性を訴えるためパネルディスカッションを予定しています。なお、本事業実施には岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業としての助成を受けています。
【派遣者】
難波 妙/調整員/AMDA職員
【協力】
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科、視能矯正専攻教授 高裕子、視能訓練士協会 顧問 守田好江、モンゴル眼科協会、City Optic、後楽ライオンズクラブ