フィリピン台風30号 復興支援活動
台風30号がフィリピンを襲った2013年11月8日から1年が経過しました。AMDAは、緊急支援活動として医療チームの派遣を実施し、2013年12月末までで、のべ8か国25人のスタッフを派遣しました。被害が大きかった地域を中心に、レイテ島、サマール島、ボホール島、パナイ島、ネグロス島、セブ島などで医療支援活動などを実施しました。2014年1月からは復興支援活動として、被災地の協力機関と連携をしながら、支援活動を継続しています。
災害から1年が経過した2014年11月6日から、AMDA看護師1名を日本からレイテ島タクロバン市に派遣。地元行政の主催する慰霊行事への参加と復興支援活動を実施しました。
災害発生から1年。AMDA看護師が見た 現在のレイテ島タクロバン市
被災者の方々から話を伺うAMDA岩本看護師 |
災害発生から1年。11月7日に台風で壊滅的な被害を受けたレイテ島タクロバン市のタクロバン空港に到着しました。空港は現在も復旧工事中ではあったものの、タクロバン市中心部は町の活気が戻りつつあるように見えました。
瓦礫が片付けられた通りには多くの人や車が行き交い、屋台が立ち並び、町の人々の顔には笑顔が戻っています。新しい建物の建築や壊れた建物を修繕している様子もあちらこちらで見られました。海岸線沿いに住んでいた人は、仮設住宅に移る人もいれば、海岸線に家を建て直す人もいるようで、現地情報によると、仮設住宅は現在建築中で、その戸数はまだまだ不足しているということでした。修理の必要な公共施設や学校なども、そのままの状態で多く残されていました。
今回の滞在中には、食糧配布を実施しました。支援物資を手渡しながら、笑顔の奥にあるフィリピン30号での被災体験を聞くことができました。表面的には、笑顔があふれているように見えますが、そこに住む多くの方々には、未だ記憶に残る、被災体験があります。
水に浮かぶ冷蔵庫に入って助かった子供たち、木に必死にしがみついて生き残った男性、夫が水に飲まれていくのを目の前でみた老女、新しく設置したばかりのキャビネットにしがみついて2階につながる階段までたどり着いて助かった男性、遺体が道端を埋め尽くす中、支援物資が届くタクロバン空港まで歩いた人々。
心の傷を抱えながらも懸命に前に向かって立ち上がろうとしている人々に出会うたびに、復興支援活動を継続していく意義を改めて感じました。
レイテ医師会再建事業
くわ入れ式の様子 |
台風30号により倒壊したレイテ医師会館を、現地の健康促進事業と災害時の緊急支援拠点として、再建支援を実施します。これは、日本医師会、福山市医師会、AMDAの三者合同復興支援事業となります。
再建場所は、台風30号の高潮被害から逃れたタクロバン市ハリウッド。11月9日には、再建前の「くわ入れ式」が行われ、AMDA看護師も参加しました。
建設完了は2015年3月から4月ごろを予定しています。。
食糧支援事業
戸別に訪問して支援物資を配布 |
11月8日。AMDAでは、レイテ州議員と協力して、クリスマスまで2ヶ月を切ったこの時期に台風30号復興支援としてクリスマス食糧パック(スパゲティー、トマトソース、チーズ、コーンビーフ、ジュースの素)の配布をタクロバン市PHHC地区で実施しました。支援物資は、スタッフが各家庭を回り、ひとつひとつ手渡しました。「本当にうれしい。ありがとう。」など多くの感謝の言葉がかけられ、中には言葉はなく、ただ涙ぐむ方もいました。
無料巡回診療
未だ押し上げられた船が残る地域での巡回診療の様子 |
AMDAでは、レイテ医師会と合同で、無料巡回診療の実施しました。2014年3月から月に1回実施しており、10月までの8回行っています。
成人では高血圧、上気道感染、小児では上気道感染や栄養不良などが多くみられました。そこで巡回診療に合わせて、衛生指導や、石鹸、歯ブラシなどの衛生用品の配布なども実施しました。また、栄養指導なども取り入れ、フルーツジュースやおかゆを提供するなど、医療を中心とした幅広い支援を実施しました。