2013年度年次報告 復興支援活動(2014/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2013年度年次報告 復興支援活動(2014/7発行)

2013年度年次報告 復興支援活動

パキスタン洪水に対する復興支援活動


ミシンを寄贈する土佐調整員

◇実施場所 パキスタンタッタ県
◇実施期間 2013年8月20日
◇派遣者 土佐 光章 調整員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者およびNRSPメンバー

◇事業内容
2010年7月にパキスタンタッタ県で発生した洪水被災者に対する第2回目のフォローアップ活動として、2013年8月に、現地NPO であるNRSP(National Rural Support Programme)の協力の元、NRSPの技術訓練を履修した18名の女性にミシンを贈呈した。

今回の第2回目のフォローアップ活動は、緊急医療支援活動に参加した土佐調整員のパキスタン再訪に合わせ実施された。パキスタン・イスラマバードにある、NRSP本部を訪問した後、8月20日にタッタ県入りした土佐調整員は、村のコミュニティホールで行われたミシンの贈呈式に参加した。ジャーティ地域から選ばれた、NRSPの技術訓練を履修した18名の女性ひとりひとりにミシンが手渡された。このミシンを受け取った女性たちは、技術訓練により得た知識を実践し、現金収入を得ることができるようになることが見込まれている。

なお、2010年7月に発生した洪水被害に対し、AMDAは約2ヶ月に渡り日本、アフガニスタン、インドネシア、バングラデシュの各AMDA支部の医療スタッフから成る多国籍医療チームを派遣し、巡回診療を行った。巡回診療では約5,000人の患者を診療した。その後、第1回目のフォローアップ活動として、2011年1月にAMDAの現地協力団体であるハムダード大学を通じて、カラチ郊外の避難キャンプにテントを設置し、新しく購入した10台のミシンを寄贈した。

◇受益者の声
「服の仕立ての仕事がしたいと念願し続け、今日こうしてミシンを頂くことができ、その夢が叶いました」

◇現地協力機関
NRSP(National Rural Support Programmes)

ハイチ大地震復興支援活動


無料歯科診療の様子

◇実施場所 ハイチ共和国ポルトープランス市、ミラグワン郡フォンデネグ市
◇実施期間 2013年4月21日、2014年3月1日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDAハイチ支部、フォンデネグ市の救世軍病院

◇事業内容
2010年1月に発生したハイチ大地震に対して、AMDAは3か月にわたり緊急医療支援活動を実施した。その後復興支援事業として、AMDAハイチ支部を中心に支援活動を継続している。

2013年4月21日に復興支援事業の一つとして行われた交流会には復興支援事業として行っていた義肢支援事業やスポーツ交流事業の裨益者ら53人が参加した。交流会では、AMDAハイチ支部長であるマック・ケビン・フレデリック歯科医師が、AMDAハイチ支部の最近の活動を参加者に報告し、参加者からは交流会開催に対する感謝と、これまでの支援活動に対する感謝の言葉が述べられた。

また2014年3月1日には第3回目となる無料歯科診療がAMDAハイチ支部により実施され、78人が受診した。歯科検診、歯のクリーニング、抜歯などの治療が行われた。患者の中には、生まれて初めて歯科治療を受けるという人もいた。歯が悪くなった場合の治療は抜歯しかないという観念を持っていた人もいたが、フレデリック支部長による口腔衛生教育によって予防の大切さを広めることができた。診察や口腔衛生教育を受けた患者の方からは多くの感謝の言葉が寄せられた。

なお、ハイチ大地震の復興支援事業として2011年からこれまでに義肢支援事業やスポーツ交流事業のほか裨益者を対象とした交流会をなどを行っている。さらに2012年からは、年に1回ミラグワン郡フォンデネグ市の救世軍病院(Salvation Army Hospital)でAMDAハイチ支部が無料歯科診療を実施している。

◇受益者の声
「2010年12月にAMDAから義足支援をしてもらってから、自分の人生を楽しんでいます。今後は、仕事を見つけて早く元の生活に戻りたいと思います。」
「いつかまた、日本の子どもたちとのサッカー交流をしたい。」

◇現地協力機関
AMDAハイチ支部
フォンデネグ市の救世軍病院(Salvation Army Hospital)

東日本大震災復興支援


志津川病院看護師派遣事業

災害鍼灸チーム育成プログラムの様子

◇実施場所 岩手県上閉伊郡大槌町、岩手県釜石市、岩手県大船渡市、宮城県気仙沼市、宮城県本吉郡南三陸町、宮城県石巻市雄勝町、宮城県仙台市ほか
◇実施期間 2011年3月12日〜現在継続中
◇派遣者(2013.4.1〜2014.3.31)
菅波茂医師(AMDAグループ代表)含むのべ127名(医師12名、看護師16名、調整員18名、准看護師3名、鍼灸師3名、ボランティアスタッフ75名)ほか、現地雇用6名

◇事業内容
2011年3月11日に発生した東日本大震災の翌日から緊急医療支援活動を実施し、4月末まで医療だけでなく多岐にわたった活動を実施した。2011年5月からは「3カ年復興支援」として「医療・健康支援」「教育支援」「生活・自立支援」の3つの分野を柱として活動を継続している。

医療・健康支援

公立南三陸診療所(南三陸町)および公立志津川病院(登米市米山町)へ夏季、冬季、春季に医師・看護師を派遣した。また石巻市立雄勝診療所からの要請を受け、医師の派遣を実施した。健康支援事業としては、上閉伊郡大槌町設置したAMDA大槌健康サポートセンターで心身の健康支援をテーマに、コミュニティースペースを活用し、人々の笑顔が集う場所の提供を行っている。2011年12月に建設した同施設は土地の返却に伴い、2013年6月に一時解体し、現在は大槌町内のアパートで業務を再開している。AMDA大槌健康サポートセンター内にある鍼灸室と石巻市雄勝町では鍼灸治療支援を実施しており、2013年4月〜2014年3月までの、のべ裨益者数は大槌町1,469人、雄勝町554人となっている。さらに災害時における鍼灸師の活躍が非常に重要であった経験を受け、2013年7月30日、31日の2日間にわたり、災害鍼灸チーム育成プログラムを開催した。

教育支援

2011年、2012年度に引き続き、AMDA東日本国際奨学金の支給を継続。2013年度は8校66名に奨学金の支給を実施した。これまでののべ裨益者数は253人となった。8月11日には、第3回目となるサッカー交流事業を実施。2012年度同様に大槌中学校(岩手県)、津谷中学校(宮城県)、気仙沼中学校(宮城県)、志津川中学校(宮城県)の4校の中学生を対象とし、津谷中学校グラウンドを会場に実施した。2014年3月23日には、第3回絆コンサート&フォーラム」を開催し、学生の視点から見た東日本の復興やボランティアを語る場となったほか、音楽を通して被災地を岡山をつなぐ会となった。そのほか、ボランティアの受入れや交流事業などを実施した。

生活支援

岩手県、宮城県、福島県の3県の被災地の仮設商店街を中心とした被災地間を結び復興に向けて新たな協力体制を形成することを目的とした事業として「復興グルメF-1大会」を実施している。2013年4月から2014年3月までに岩手県大船渡市、宮城県石巻市、南三陸町、福島県南相馬市を会場に第2回大会から第5回大会までを実施。参加チームはのべ52チーム、来場者数はのべ約14,500人となる大きなイベントに成長している。さらに本イベントに合わせて岡山からのボランティアバスを運行。学生から社会人までが被災地にボランティア活動を兼ねて気軽に訪れることのできる機会となっている。そのほかにも震災ホームレス支援などを実施している。


第6回復興グルメF-1大会被災地の方々とボランティア参加者全員で

◇受益者の声
震災で、母の職業が変わり家計が苦しくなりましたがAMDA東日本国際奨学金を頂いて、あきらめかけていた看護師の道を改めて目指したいと思います。(AMDA東日本国際奨学金 奨学生)
震災後3年間ずっとご支援頂き、心から感謝します。無理なく新たな気持ちで覚悟を決めなくてはと痛感しています。皆様いつも支えてくださいましてありがとうございます。(大槌健康サポートセンタースタッフ)
南海トラフ地震が来たら、今度は私たちが東北から岡山に駆けつけます!(復興グルメF-1大会出店者)