2013年度年次報告 緊急支援活動
- メティラ郡暴動被災者に対する緊急支援活動
- 中国四川省地震に対する緊急救援活動
- バングラデシュ・ビル倒壊緊急支援活動
- バングラデシュ・サイクロン緊急支援活動
- インド北部洪水被災者に対する緊急支援活動
- 山口・島根豪雨 緊急支援活動
- アフガニスタン・シャカルダラ洪水に対する緊急救援
- フィリピン・ルソン島台風洪水緊急救援活動
- パキスタン南西部地震に対する緊急支援活動
- フィリピン・ボホール島地震緊急救援活動
- インドネシア・スラウェシ島洪水緊急医療支援活動
- フィリピン・ミンダナオ島台風土砂災害緊急救援活動
- フィリピン・台風30号緊急医療支援活動・復興支援活動
メティラ郡暴動被災者に対する緊急支援活動
避難所に建設したシェルター |
◇実施場所 ミャンマー連邦メティラ郡
◇実施期間 2013年3月29日〜2013年6月12日
◇派遣者 江橋 裕人 AMDA社会開発機構ミャンマー事務所駐在 事業統括/鈴木梓 AMDA社会開発機構ミャンマー事務所駐在 業務調整員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 同上
◇事業内容
2013年3月20日ミャンマー中部メティラ郡において、貴金属店での異教徒間の争いが暴動に発展し、周辺地域にも拡大した。3月22日夜にはティンセイン大統領により、メティラ郡を含むメティラ県内4郡に対して非常事態宣言が発令された。この暴動による被害は、死亡者数43人、負傷者数61人、被害家屋1,594棟、被災者12,846人にのぼった(2013年4月4日付ミャンマー政府発表)。
AMDAは、ミャンマー保健省ウィンミン副大臣からの要請を受けて、3月28日にAMDA 社会開発機構ミャンマー事務所職員からメティラ県病院へ医薬品や燃料等の寄贈を行った。その後のニーズ調査で避難所におけるトイレの数が不足していることが明らかになったことから、4月8日から12日まで簡易トイレ30基の建設を行った。更に、新学期に合わせて学校に避難していた被災者が移動しなくてはならなくなったため、5月16日から被災者用の居住シェルター3棟を建設した。AMDAが建設した3棟のシェルターのうち2棟は、メティラスタジアム避難所(1179人収容)へ建設し、2棟で合わせて25世帯66人が収容できた。残りの1棟は新たに避難所になったチャウ・ピュー僧院避難所(440人収容)へ建設し、AMDAのシェルターに10世帯50人が収容された。暴動発生から2ヶ月が経過しても、政府による住居の再建計画などは進まず、避難所生活は長期化していた。健康状態の悪化が懸念される中、避難所内に設置されたクリニックでは、地元の看護師が往診、医薬品の処方を行い、体調不良者の対応を行った。
また、避難者たちが自ら、簡易トイレ用の水をタンクで常備するなど、被災者による良好な衛生環境維持のための取り組みが行われた。
◇受益者の声
避難所の人々からは「これまでは長い列を作って順番を待たないといけなかったが、トイレの数が増えたのでそんな心配もなくなった。少しずつ避難所の環境が改善されて、嬉しい。」と声をかけられ、小学校のキャンプ管理委員会委員長からは「作りが不十分ですぐに不衛生になってしまったトイレもある中、臭いが出ないデザインで建設されているアムダのトイレにとても満足している。」と感謝の言葉を頂いた。
◇現地協力機関
ミャンマー保健省ウィンミン副大臣、
保健省公衆衛生局長、
メティラ県病院
中国四川省地震に対する緊急救援活動
準備した支援物資の出発式 |
◇実施場所 中国四川省雅安市蘆山県
◇実施期間 2013年4月23日〜4月30日
◇派遣者 笹山 徳治 調整員AMDA参与
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 調整員1名、地元ボランティア6名
◇事業内容
2013年4月20日現地時間午前8時頃に中国四川省で発生したM6.6の地震により、死者は200名近くに上り、1万人以上が負傷、200万人以上が被災した。AMDAは現地での活動の可能性を探るため、4月23日に調整員1名を派遣した。
蘆山県周辺は標高2000メートルを超える高山地帯であり、地震の後の強い雨による土砂崩れの発生や、頻発する余震が道路の寸断などを招き、さらに救援活動を難しくしていた。
笹山調整員は、到着翌日の24日、現地協力団体である四川省人民対外友好協会と合流し、成都市内にあり、被災地の中学生400名をいち早く受け入れ、授業の再開や避難所を提供していた西南財経大学などを訪れた。ここでは、2008年の四川省大地震の支援活動の一環でAMDAが養成した心理カウンセラー活動が目覚ましく、人材育成が中長期的に見て、被災者のための医療支援活動につながることを再確認することができた。
被災地へ続く道路は、優先車両の通行のため中国政府の厳重な管理下に置かれており、支援物資・人員の流入も制限されているため、支援活動の実施は難しいと判断。購入した麺などの食品の支援物資は、仕分け作業をしたのち、後日現地協力団体を通じ被災地に届けられた。また、四川省人民対外友好協会に青少年教育のための義捐金を手渡した。当協会は、中国政府の半官組織で、永年に渡りアジアの人民間交流をしている団体である。
◇受益者の声
民間団体であるAMDAが一番先に激励に駆けつけてくれたことに感謝します。
◇派遣者の声
過去のAMDAの支援活動により育成したカウンセラーの活躍を聞き、改めて災害被災者に対する心のケアができる人材の育成が必要と感じた。
◇現地協力機関
四川省人民対外友好協会ほか
バングラデシュ・ビル倒壊緊急支援活動
被災者に声をかけながら支援物資を渡すAMDA看護師 |
◇実施場所 バングラデシュダッカ州サバール
◇実施期間 2013年5月3日〜5月9日
◇派遣者 山 希 看護師 AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者1名およびAMDAバングラデシュ支部 医師、調整員ほか医療スタッフ約30人
◇事業内容
2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカの郊外にある縫製工場が入る複合ビルが崩壊した。この大惨事による死者は、捜索活動が終了した5月13日までに1100名以上、負傷者は2500名以上に上った。
このビル崩壊のニュースを受けてAMDAバングラデシュ支部と日本バングラデシュ友好病院(JBFH)は合同緊急医療支援チームの派遣を決定。翌25日、医師、看護師を含む医療スタッフ3名からなるチームを結成し、救急車を使った患者の緊急搬送や救助活動、献血の呼びかけを行った。事故直後から緊急救援活動に参加した病院は、JBFHのみであった。
AMDA本部は、AMDAバングラデシュ支部の活動を支援するため、看護師を派遣。生存者が収容されている病院では、医薬品の支援は過剰にあるが、栄養給食に限界があるとの情報を受け、入院加療中の被害者に対して、高タンパク質栄養補助食を、生存者が収容されている3つの病院を廻り、患者一人一人に手渡した。生存者の中には、この事故で一緒に働いていた肉親を亡し、涙ながらに事故当時の状況を訴える方もいた。
さらにAMDAバングラデシュ支部とJBFHは現地のニーズを受け、6月7日、追加支援としてビル崩壊による被災者への診療活動と薬の配布、食糧支援を行った。当日は、AMDAバングラデシュ支部長を中心とした、医師・看護師などの医療スタッフ30名からなる医療チームが結成され、ビル崩壊現場のあるサバール地区のSavar Adhar Chandra Model高校にて、診療、集団心理療法、薬の無料配布などの医療支援が行われ、約400名の患者が治療を受けた。食糧支援においては、米800kgと豆200kgを配布した。
◇受益者の声
遠くから助けに来てくれてありがとう。一緒に神に祈ってくださいね。
◇現地協力機関
AMDAバングラデシュ支部、日本-バングラデシュ友好病院(JBFH)
バングラデシュ・サイクロン緊急支援活動
支援物資提供の様子 |
◇実施場所 バングラデシュ、チッタゴン管区コックスバザール県タクナフ郡、バリサル管区パトゥアカリ県のカラパラ郡
◇実施期間 2013年5月14日〜5月19日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDAバングラデシュ支部、日本-バングラデシュ友好病院(JBFH)
◇事業内容
バングラデシュ南西部沿岸に5月15日深夜から16日にかけて上陸したサイクロン・マハセンに対して、バングラデシュ政府は24時間緊急救援チームの派遣待機要請を発令した。
これを受けて、AMDAバングラデシュ支部は、日本バングラデシュ友好病院と合同緊急支援チームを編成し、サイクロンの予報に合わせて即座に被災が予想されるエリアへと移動した。
サイクロンの被災地最前線に向かった第1次派遣としては、チッタゴン管区コックスバザール県タクナフ郡に入った。タクナフでは、サイクロン通過前に現地入りできたため、チームは地方自治体や政府機関、他のNGOチームと共同で、低地に住む人々のために安全性の確保された避難場所の提供を中心に3日間の活動を行った。
サイクロン通過後の5月18日には、第2次派遣として、被害状況や交通事情などを加味して第1次派遣チームとは別の地域に入った。被害の大きかったエリアの一つであるバリサル管区パトゥアカリ県のカラパラ郡で状況調査。約10,620人が被災し、2,300棟が全壊、4,200棟が半壊のという状況が明らかとなった。
翌日はカラパラ郡にて終日に渡り緊急医療支援活動を実施した。医療チームは200人の患者の問診と医薬品の提供を行った。また米フレークや糖蜜などの食品、男女の民族衣装やろうそく、マッチなどの生活支援物資の提供を行った。
◇派遣者の声
私たちAMDAバングラデシュ支部と日本-バングラデシュ友好病院(JBFH)は「開かれた相互扶助」「パートナーシップ」「ローカルイニシアチブ」の精神に基づいて活動を行っている。これらの理念に基づき、今後もいかなる緊急事態でも必要があれば、国内及び国境を越えて困っている地域に緊急医療支援を提供していきたいと考えている。
◇現地協力機関
バングラデシュ政府、
AMDAバングラデシュ支部、
日本-バングラデシュ友好病院(JBFH)
インド北部洪水被災者に対する緊急支援活動
支援物資贈呈式の様子 |
◇実施場所 インド・ウッタラカンド州チャモリ県ジョシマス市
◇実施期間 2013年6月20日〜6月27日
◇派遣者 ニティアン・ヴィーラヴァーグ 調整員 AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 WESAF (Water Earth Sky Air and Fire-Five Major Elements of the World)
◇事業内容
2013年6月中旬インド北部ウッタラカンド州で80年ぶりの豪雨による洪水が発生し、首都デリーを含む広域で深刻な被害を引き起こした。6月27日の時点で政府は洪水による死者が560人と発表したが、地元テレビ局は死者が3万から5万人と報道した。洪水の影響により、道路や橋などの主要インフラが流され、軍のヘリによる避難民の救助活動は非常に難航した。
AMDA本部職員でインド北部ブッダガヤに出張中だったニティアン・ヴィーラヴァーグ調整員は、発生直後の6月20日にAMDAインド支部や現地協力者との連絡調整を開始し、被害状況の情報収集を実施。26日には、ブッダガヤからデリーに移動し、翌日空路でウッタラカンド州都のデヘラードゥーンに到着した。27日、被災地ウッタラカンド州を中心に活動しているローカルNGO「WESAF(Water Earth Sky Air and Fire-Five Major Elements of the World)」と合流し、共に、被害の大きかったウッタラカンド州チャモリ県ジョシマス市での緊急医療支援活動を計画した。しかしながら度重なる豪雨により道が寸断されたため、ジョシマト市での活動は中止を余儀なくされた。この支援のために用意した医薬品や食糧はWESAFに贈呈し、今後の支援活動などの際に役立てられる。
◇現地協力機関
治安部隊シャストラシーマバル(SSB)軍、
WESAF(Water Earth Sky Air and Fire-Five Major Elements of the World)、
AMDAインド支部
山口・島根豪雨 緊急支援活動
物資を乗せたトラックで総社市を出発 |
◇実施場所 島根県津和野町、山口県山口市
◇実施期間 2013年7月30日
◇派遣者 岩本智子看護師(米国ライセンス) AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者および岡山県総社市役所職員4名
◇事業内容
2013年7月28日に山口北西部および島根県南東部を豪雨が襲った。県内を流れる川は一気に増水し、土砂災害や川の氾濫が相次いだ。住宅の浸水被害も多く、さらに各地で道路が寸断されているほか、一部では線路も流されるなど甚大な被害が出た。
このような状況を受け、総社市が甚大な被害を受けた山口県山口市、島根県津和野町への支援を決定したことから、AMDAグループとの多文化共生に関する協定に基づき合同緊急支援活動が決定した。AMDAからは1名の看護師を派遣し、医療支援物資を中心とする物資の提供を行った。7月30日(火)午前9時に総社市・AMDA合同チームは総社市役所を出発し、豪雨で多大な被害を受けた山口市阿東総合支所と島根県津和野町役場に支援物資を届けた。
山口市阿東総合支所に到着した総社市・AMDA合同チームは、経口補水液や薬、衛生用品など支援物資の贈呈を行った。豪雨発生から初期段階での支援であったため歓迎された。
山口市阿東地区では8地域のうち5地域の住民が断水生活や避難所生活をしていた。また断水のため、給水車で水を提供する状況が続いているが高齢者は水を取りに行くことが困難で地域のボランティアスタッフなどが手助けをしている状況だった。
島根県津和野町役場に向かう陸路では、アスファルトが白く泥が残っている状態で、冠水した跡が至る所で見られた。島根県津和野町役場に到着すると、同様に役場の方に支援物資を手渡した。島根県津和野町では、町内7カ所の避難所に101人が避難しており、孤立していた地区の人々に防災ヘリによる救助活動が行われていた。寸断された道路の復旧作業や行方不明者の捜索活動も行われていた。
後日、この活動に対し、島根県津和野町長および山口県山口市長から感謝状が授与された。
◇受益者の声
遠方からわざわざ物資を届けてくださり、ありがとうございました。使わせて頂きます。
アフガニスタン・シャカルダラ洪水に対する緊急救援
無料診療活動の様子 |
◇実施場所 アフガニスタンのカブール州シャカルダラ県
◇実施期間 2013年8月22日〜9月3日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDAアフガニスタン支部、日本アフガニスタン友好病院の医師2人、看護師1人、薬剤師1人、調整員1人
◇事業内容
2013年8月初旬から降り始めた大雨は、アフガニスタンのカブール県シャカルダラで洪水を引き起こし、この土石流により22人が死亡した。被災者は30,000人に上り、完全に崩壊した民家は18棟、一部崩壊した民家は214棟だった。
この状況を受けて、AMDAアフガニスタン支部と日本アフガニスタン友好病院は、医師2名、看護師1名、薬剤師1名と記録係からなる医療チームを派遣することを決定。AMDAは、これらの活動に対し資金的な支援を決定。これにより、医薬品・医療器具の調達や現地での移動手段の確保が可能となった。
AMDA医療チームによる無料診療では、8月22日から25日の4日間で663人に診療と薬の処方を行った。主な疾患は、急性上気道感染症、下痢症、赤痢、尿路感染症、眼科疾患。災害直後に支援が不足する中でAMDA医療チームが医療支援を行ったことは、被災者の方に大変喜ばれ、被災者の方に安心感を与えることができた。
洪水発生から1か月が経過すると、様々なNGOによる救援物資も行きわたり、政府による復興支援の準備も始まった。AMDAアフガニスタン支部・日本アフガニスタン友好病院の医療チームは、9月3日に約2週間に渡るシャカルダラ県の洪水被害に対する支援活動を終了した。
◇現地協力機関
AMDAアフガニスタン支部、
日本アフガニスタン友好病院
フィリピン・ルソン島台風洪水緊急救援活動
物資の配布を行うAMDA調整員 |
◇実施場所 フィリピンブラカンハゴノイ地区
◇実施期間 2013年8月24日〜8月30日
◇派遣者 山 希 看護師 AMDA本部職員/古谷 ミラソル 調整員 岡山倉敷フィリピーノサークルアドバイザー
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者2名およびフィリピン軍(AFP Reserved Command)、バランガイ・ヘルスワーカー、現地NGO Voice of the Next Generation、現地ボランティアなど
◇事業内容
フィリピン北部・首都マニラのあるルソン島で、2013年8月18日、台風と季節風の影響で降り出した大雨の影響が深刻な洪水被害をもたらした。被害は、マニラ首都圏を中心に18州37市155もの自治体に及び、死者25名、約65万世帯、300万人が被災した。
AMDAは、協力団体のフィリピン軍から、被害の連絡と支援要請を受け、24日に看護師、調整員2名から成る医療チームの派遣を決定。フィリピン軍と協働で医療支援、物資支援を行った。
フィリピン軍の調査結果を受け、最も被害が大きく、依然として浸水したままのマニラ郊外のブラカン州ハゴノイ地区での支援を決定。ここは、被害が大きかったにもかかわらず、支援がほとんど届いていない地域であったため、ハゴノイ地区タンポック村を中心に5村1009世帯に対し、水・米・缶詰・インスタント麺・クラッカー・インスタントコーヒーを一袋として、最も支援が必要な家族を中心に、支援物資を配布することができた。
医療支援活動では、フィリピン軍の医師2名、看護師、AMDA看護師と村のヘルスワーカーが中心となり、約2時間余りの間に210名の患者を診察し、薬を処方した。災害発生後、この地域での医療支援は初めてであり、被災者からは感謝の言葉が聞かれた。診察を受けた患者の主な症状は、上気道感染症、皮膚感染症、下痢症、栄養不良などで、中には、薬が手に入らないために慢性的な疾患が悪化する例も見られた。AMDA医療チームは残った医薬品をフィリピン軍に寄贈し、帰国の途についた。
AMDA医療チームの帰国後の31日、ヌエヴァ・エチハ州ラウール地区シクロン村の小学校でフィリピン軍医療チームは、AMDAから提供された医薬品を使用し、医療支援を実施することができた。
◇受益者の声
「こんなにたくさんの支援は初めて。早く子供にクラッカーを食べさせたい。」
「医療支援は今までで初めて。本当にありがとう!」
◇現地協力機関
AFP Reserved Command
現地NGO:Voice of Next Generation
パキスタン南西部地震に対する緊急支援活動
負傷した子供を見舞うAMDA看護師 |
◇実施場所 パキスタン・イスラム共和国カラチ
◇実施期間 2014年9月27日〜10月5日
◇派遣者 岩本智子 看護師(米国ライセンス) AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA看護師1名およびNRSP (National Rural Support Programme) バロチスタン州事務所職員2人
◇事業内容
パキスタン南西部のバロチスタン州で2013年9月24日にマグニチュード7.7の地震が発生した。現地協力団体NRSPの初期調査によると、人口密度が低い地域にも関わらず574人が死亡、632人が負傷した。この情報を受けAMDAは、27日に看護師1名をバロチスタン州に隣接するカラチに派遣し、28日からカラチを拠点に調査を開始した。
バロチスタン州は治安上の問題から同国人も入域に危険を感じるという地域であり、被災地には診療可能な医療機関がほとんどないことから、負傷者はトラックなどに乗ってカラチ市内の病院を受診していた。国立病院ジナ大学院医療研究所では約60人の被災者が着の身着のままトラックなどに乗り来院していた。患者は女性や子どもが多かった。これは地震が発生した時間に男性は外出しており、女性や子どもが家にいたためだった。家屋の下敷きになったことによる、四肢の骨折や脊椎の損傷、内臓損傷が多くみられた。病院に来ている被災者は地震で家族を亡くした人も多く、特に家族を失った子どもの精神的ダメージが大きかった。私立のアガカーン病院では、市民病院から2人の重症患者が搬送されてきていた。
病院では患者と付添者に無料で水や食糧を提供していることから、AMDAはジナ大学病院医療研究所へ水などの支援物資を寄付した。さらに現地協力団体のNRSPを通じてアワラン県のアワラン地区にて、小麦、米、砂糖、紅茶、豆などの食料パック300セットを被災者に配布した。また、被災地では多くの家屋が崩壊し、被災者の住居の需要が高いことから、アワラン地区の最も被害の大きかった貧困に苦しむ10家族を対象に竹製の仮設テントを支援した。
◇受益者の声
わざわざ日本からありがとう。自分たちが忘れられていないと思うと嬉しい。
◇現地協力機関
NRSP (National Rural Support Programme)、
ジナ大学病院医療研究所(JPGMI: Jinah Post Graduate Medical Institute)、
アガカーン病院
フィリピン・ボホール島地震緊急救援活動
支援物資を手渡すAMDA看護師 |
◇実施場所 フィリピンボホール島 マリボホック地区
◇実施期間 2013年10月20日〜10月27日、11月〜現在(復興支援)
◇派遣者 山 希 看護師 AMDA本部職員/古城デイジー 調整員 岡山倉敷フィリピーノサークル顧問
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者2名およびフィリピン軍
◇事業内容
2013年10月15日、フィリピン・ボホール島のカルメンを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。この地震による被害は、死者215名、負傷者760名、建物被害は全半壊合わせて約58,000棟にのぼり、被災者は、約332万名、約67万世帯となった。
フィリピン海軍予備軍(NAVRESCOM)からの支援要請を受け、AMDAは看護師、調整員2名からなる医療チームの派遣を決定。22日に現地入りしたAMDAチームは、最も被害の大きかったエリアを廻り、まずは支援の状況や被災者のニーズを調査にあたった。
ニーズ調査を行ったところ、フィリピン保健省による無料医療支援、様々な団体や個人による水や食料品の支援が各地で行われていた。しかしながら、ビニールシートを張っただけの簡素なテント生活を強いられている避難民の数に比べ、トイレなどの衛生設備が極端に少なく、集団生活の中で、感染症が増加しつつある状況が判明した。そこで、AMDAは衛生物資を配布することを決定。大人用歯ブラシ2本、子供用歯ブラシ1本、歯磨き粉1本、シャンプー15パック(小)、石鹸2個、洗濯用固形洗剤、洗濯用粉石けん1袋、手指消毒用アルコールジェル1本を1セットとし、1000世帯分を準備した。その衛生物資は、支援場所のマリボホック町で、各バランガイ(集落)に平等に配分され被災者のもとに届けられた。
また、フィピン台風30号の通過直後の11月にもマリボホック町を訪れ、学校の再開が遅れる子どもたちのために文具を寄贈した。
さらに12月のクリスマス前には、マリボホックの小学校6年生以下の子供たち約3,300名に、スナックやチョコレート、ジュースなどの入ったギフトパックを準備。被災した子供たちに、ささやかなクリスマスプレゼントを届けた。
◇受益者の声
「こういう支援物資は初めてもらった」
「こういうのが本当に必要だったんだ」
「今年はもう、クリスマスはあきらめていた。ありがとう。」
◇現地協力機関
フィリピン海軍予備隊The Naval Reserve Command (NAVRESCOM)、
フィリピン海軍東ビサヤ予備隊the Naval Force Eastern Visayas Reserve (NFEVR)、
マリボホック町
インドネシア・スラウェシ島洪水緊急医療支援活動
巡回診療を行うAMDA医療チーム |
◇実施場所 インドネシアスラウェシ島北スラウェシ州マナド市
◇実施期間 2014年1月19日〜1月23日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDAインドネシア支部 医師2名 看護師1名
◇事業内容
インドネシア・スラウェシ島の北部のマナドでは、2014年1月12日から15日まで降り続いた大雨により、洪水や土砂崩れなどの深刻な被害がでる事態となった。
この洪水・土砂災害は8つの県や市に及び、19日の時点で、被災者約9万名、死者19名を数え、土砂崩れによる行方不明者の捜索も続いていた。
現地入りしたAMDAインドネシア支部の医療チームは、必要な医薬品を購入し、医療支援活動地を、最も被害の大きかった地域のひとつであり、貧困層が多く住むデンデンガン・ダラムに決定。20日には、現地の医師や医学生、救世軍のボランティアも合流し、医療支援を行った。夕方4時までの活動時間の間に76名の患者が訪れ、血圧測定などの健康診断、医師による診察を受け、受診した人々からは活動に対する感謝の声が聞かれた。主な疾患は、皮膚疾患、風邪、下痢症、外傷などであった。また、お祈りのためのスペースも設け、利用してもらうことができた。
翌21日には、医療支援と合わせて、食料品(インスタント麺、飲料水)と入浴石鹸を支援、73名の患者が受診した。
23日にはティカラ・ダラムという地域に移動。辺りは、多くの家屋が被害を受けており、まだ汚泥が残り悪臭に満ちていた。ここでは、200セットの米などの食料品や、地元の中学校の卒業生から寄せられた古着などの配布を行った。メインストリートから離れた支援が届きづらいエリアにも入り支援を行うことができたので、多くの被災者から歓迎を受けた。
◇受益者の声
「こういう活動をしてくれて、ありがとう。」
「生きていくために食べるものが必要です。」
「このような支援を受けられることにとても感謝します。」
◇現地協力機関
AMDAインドネシア支部
救世軍(Salvation Army)
フィリピン・ミンダナオ島台風土砂災害緊急救援活動
医療相談に応じるAMDA医療チーム |
◇実施場所 フィリピンミンダナオ島 ダバオ・オリエンタル、ミンダナオ島サンボアンガ市
◇実施期間 2014年1月24日〜1月31日、2月19日〜3月1日
◇派遣者 山 希 看護師 AMDA本部職員/景山エレーナ 調整員 岡山倉敷フィリピーノサークル広報担当/吉川マービー 調整員 ミンダナオ島 サンボアンガ市
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
AMDA派遣者およびフィリピン軍、サンボアンガ市内在住ボランティアほか
◇事業内容
台風1号は、2014年1月20日未明にフィリピン南部のミンダナオ島に上陸・停滞、大量の雨は、各地に土砂災害を引き起こした。
AMDAは看護師1名、調整員1名からなる医療チームの派遣をミンダナオ島ダバオに派遣。同時にミンダナオ島ザンボアンガ市では、地元在住の吉川マービー調整員を中心に株式会社キッカワ(倉敷市)との合同でボランティアの助けを借り、物資支援を行った。
この台風による死者は64名、建物被害は2,800棟以上にのぼり、約115万人が被災した。
ダバオに到着したAMDAチームは、被災地の情報収集に苦戦するも、現地では医療ニーズが高いことを知り、医薬品を確保。同時に、最も被害の大きかったマラヤグ村の230世帯に対し、食糧や生活物資を用意した。この村では、土砂崩れが発生し、村のほぼ全ての建物が被害にあい、村のあちらこちらが、巨大な岩や泥で埋まっている状態であった。
この被災地域周辺は、反政府組織である新人民軍が活動している地域と重なり危険を伴うため、現地の警察官やフィリピン軍の協力を得ての移動、活動となった。
安全を考慮し、活動当日は、未明に移動し、早朝からの昼過ぎまでの短い活動時間となったが、AMDAチームは、現地の助産師と協力し、約300人に対して医療相談を行うことができた。訴えを聞きとり、市販薬やビタミン剤を渡したり、生活指導、簡単な傷の処置、血圧や血糖測定などを行った。屋外で雨にさらされながらの避難が続いたこともあり、咳や鼻水、発熱を訴える方、血圧の高い方が目立った。
さらにザンボアンガ市では、2月19日から3月1日までの期間で、4つの地域の300世帯に対し、食料品・生活物資を支援し、感謝の言葉を頂いた。
◇受益者の声
「シーツをもらってうれしい」
「物資がとっても重たくって、いっぱい貰ってありがとう」
◇現地協力機関
MDRRMC(Municipal Disaster Risk Reduction and Management Council)
フィリピン軍、
サンボアンガ市在住ボランティア
フィリピン・台風30号緊急医療支援活動・復興支援活動
巡回診療を行うAMDA医療チーム |
子どもたちへのミニクリスマスギフト |
◇実施場所 フィリピン ボホール島、ネグロス島、パナイ島、レイテ島、サマール島、セブ島
◇実施期間 緊急救援 2013年11月10日〜12月27日、復興支援 2014年1月〜現在
◇派遣者 アスムリアディ・アジズ AMDA 医師 AMDAインドネシア支部/アルタンオド・アディルビッシュ 医師 Asnet(AMDA相互扶助ネットワーク)メンバー/アルタンザガス・アディヤスレン 医師 Asnetメンバー/石根周治 医師 福山市医師会(脳神経センター大田記念病院)/岩本智子看護師(米国ライセンス) AMDA本部職員/ウィルソン直美 看護師 AMDA-ERネットメンバー/エドモンド・クリント・フェルナンデス 医師 AMDAインド支部/大政朋子 調整員 AMDA本部職員/大山マージョリー 調整員 岡山倉敷フィリピーノサークル代表/古城デイジー 調整員 総社市教育委員会/サダー・アブダー・ラザック 調整員 AMDAバングラデシュ支部/菅波茂 医師 AMDAグループ代表/ニティアン・ヴィーラヴァーグ 調整員 AMDA本部職員/ハクエ・エナムル 医師 AMDAバングラデシュ支部/パスラ・キッタ・サラベ 医師 AMDAインドネシア支部/ハムカ・ラニ 医師 AMDAインドネシア支部/渕崎祐一 医師 AMDA-ERネットワークメンバー/プナム・ガウロ 看護師 AMDAネパール支部/プラカシュ・シャルマ 医師 AMDAネパール支部/村上悠也 看護師 福山市医師会(脳神経センター大田記念病院)/モニー・ヌット 医師 AMDAカンボジア支部/山崎希 看護師 AMDA本部職員(五十音順)
◇フィリピン国外派遣協力機関
社会医療法人祥和会脳神経センター大田記念病院
総社市
日本バングラデシュ友好病院(バングラデシュ)
ハサヌディン大学(インドネシア)
広島県教育委員会
福山市医師会
モンゴル103(モンゴル)
◇事業内容
観測史上最大級の勢力を持つ台風30号(ヨランダ:Yolanda)が、2013年11月8日(金)、フィリピン南部の島々に上陸した。この台風による被害としては、死者6,293人、行方不明者1,061人、負傷者28,689人。被災者は約1607万人、約342万世帯。家屋の被害は114万件を越えている。(フィリピン国家災害対策本部2014年4月3日発表)
この状況を受けてAMDAでは、緊急救援活動の実施を決定。11月10日(日)には、第1次として日本から医療スタッフをボホール島に派遣した。甚大な被害状況を鑑み、アジアのAMDA支部にも呼びかけ、2013年12月末までに、8か国、のべ25人のスタッフを被災地に派遣し、マニラを拠点にしながらボホール島、ネグロス島、パナイ島、レイテ島、サマール島、セブ島など6つの島で医療支援活動を中心とした様々な活動を日本医師会、フィリピン医師会、フィリピン軍、PRRM(現地NGO:フィリピン農村再建運動)の協力を得ながら実施した。台風30号発生直後の2013年11月10日から緊急救援活動を開始し、2014年1月からは、復興支援に切り替え支援活動を継続している。
無料巡回診療などの医療活動を中心に、現地調査、文具配布、食糧品や衛星用品などの配布、停電による夜の暗さ対策として需要の高かったソーラーライトや子供たちへのクリスマスプレゼントの配布なども行った。
緊急救援期間中に医療支援を受けた患者は、のべ3,490名。6,466名の子供たちへ文房具やクリスマスプレゼントを渡すことができ、989世帯に、ソーラーライト、衛生用品または食糧パックを配布することができた。
2014年1月から始まった復興支援活動では、3月までの間に、レイテ医師会、レイテ元州知事、フィリピン軍(AFP)などの協力を得て、レイテ島でアルファ米750食を配布。そのほかにも、3月30日にレイテ医師会の協力を得て、レイテ島タクロバン市サンホゼ地区で巡回診療を実施した。265名の診療を行い、上気道感染症が多くみられた。また、傷が感染している患者も多くみられた。今後も定期的に、レイテ医師会と協働し巡回診療を継続していく予定である。
また、広島県教育委員会合同支援事業として広島県内33校が募金活動などを通して復興支援に参加。3月24日には生徒代表2名がフィリピンへ渡航し、この募金活動で集まった寄付金で、文具などの支援物資を購入し、被災地タクロバン市内にあるスカンジナビア高校の生徒240名に一人一人に手渡したほか、文化交流も行った。はるばる日本からの同世代の学生の訪問に、生徒たちは大きな歓声を上げ、終始笑顔の交流会となった。
AMDAは引き続き、医療支援、文具配布、レイテ医師会再建などを通して、台風30号被災者に対する支援活動を継続していく予定である。
フィリピン台風30号で活動した現地協力者とともに レイテ島タクロバン市にて |
◇受益者の声
「台風の後から仕事がなくて、毎日食べていくのがやっとの大変な状態。こういう支援は本当にありがたい。」
「台風で家が壊され、親戚の家に身を寄せている。支援に来てくれてありがとう。」
「台風で壊れた家の修理をしていると腰が痛くなって大変。支援に感謝する。」
「とても幸せな気持ちになります、未だに支援を続けてくれてありがとう。」
◇現地協力機関
フィリピン医師会
レイテ医師会
NGO PRRM(フィリピン農村再建運動)
フィリピン軍((AFP Reserved Command))
AMDAフィリピン支部