ボスニア・ヘルツェゴビナ 洪水被災者に対する緊急医療支援活動(2014/6発行ダイジェストNo.42掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ボスニア・ヘルツェゴビナ 洪水被災者に対する緊急医療支援活動(2014/6発行ダイジェストNo.42掲載)

ボスニア・ヘルツェゴビナ 洪水被災者に対する緊急医療支援活動


洪水の影響で、橋が崩落した様子
復旧のめどはたってないという

地元医師とともに被害者への訪問診療を行う
AMDA岩本医師

5月13日にボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアを中心としたバルカン半島でサイクロン・タマラ(Tamara)が発生し、1983年以来、観測史上最悪となる豪雨に見舞われました。
ボスニア・ヘルツェゴビナだけでなく、隣国セルビアやクロアチアにも被害が及んでおり、3国を合わせた死者数は53人、避難者数は約99万人、被災者数は約313万人と報告されました。ボスニア・ヘルツェゴビナの被災者数は、同国の人口の39%となる150万人に上りました。(ACAPS:Assessment Capacities Project  5月23日発表)
このような状況の中、5月16日にAMDAボスニア支部長ミラン医師から救援要請の第一報が入り、AMDAでは被災地へ看護師の派遣を決定。5月21日に日本を出発して、隣国セルビアを経由して被災地バニャルカへ到着しました。23日、24日はバニャルカ市内の被災地域や近隣のチェリナック町とクルパ村を訪問し、現地調査を行いました。水は完全に引いており、店舗などは少しずつ再開しているものの、橋や道路が壊れており、復旧のめどは立っていない状況で、建物には浸水の跡が残っており、浸水被害の大きさを物語っていました。
26日からは被害が大きかった地域の一つでもあるドボイ市を訪問。中核となる病院は高台にあり、洪水の被害を免れていたため、ドボイ市内の医療や食糧は病院が提供することができる状況が確認できました。しかしながら、病院へ来ることができない家庭があることから、個別訪問を行を決定。衛生用品のほか、米や調味料などの食料を支援物資として準備し、訪問診療の際に手渡すことができました。
訪問診療を実施したのは、糖尿病により両足を失った高齢の患者宅や脳梗塞で歩行が困難になった高齢の患者宅ほか、のべ6件。訪問先では一様に、日本からの看護師の訪問を「わざわざ日本から支援に来てくれて嬉しい」と感謝の言葉で迎えられましたが、今回の災害で精神的に大きなダメージを受けている人も多く見られました。そこで、今後もAMDAボスニア支部が中心となって、支援が行き届いていない方々のために、家庭訪問や、健康状況のチェックのほか遠隔で精神カウンセリングを行える拠点を設置し、今後も被災者の方々のカウンセリングを継続していく予定です。
■派遣者:岩本智子/看護師(米国免許)/本部職員