フィリピン台風30号被災者に対する復興支援事業
- フィリピン台風30号被災者に対する復興支援事業
- 台湾医療NGO・台湾ルーツの医療支援活動に協力
- フィリピン台風30号復興支援会議“開かれた相互扶助/バヤニハン”マニラで開催
- アルファ米の配布を実施
- 広島県教育委員会合同支援事業 広島高校生が復興支援活動に参加
- AMDA高校生会 フィリピン台風被災者に向けた街頭募金を実施
- フィリピン保健省より感謝状授与
- フィリピン台風30号緊急医療支援 患者からの喜びの経過報告
フィリピン台風30号被災者に対する復興支援事業
2013年11月8日、台風30号(ヨランダ:Yolanda)が、フィリピン南部の島々に上陸し、死者6,293人、行方不明者1,061人、負傷者28,689人。被災者は約1607万人、約342万世帯、家屋の被害は114万件を越えました。被害はレイテ島、サマール島ほか多くの島々の57市591町村に及び、道路、飛行場などの交通網や病院や学校などの公共施設などにも大きな被害が発生しました。(フィリピン国家災害対策本部2014年4月3日発表)
この状況を受けてAMDAでは、緊急医療支援として11月10日から、第1次として日本から医療スタッフを派遣。2013年12月末までに、8か国、のべ25人のスタッフを被災地に派遣しレイテ医師会、フィリピン空軍、PRRM(フィリピン農村再建運動)など地元組織とともに活動しました。2014年からは復興支援として支援活動を継続しています。
台湾医療NGO・台湾ルーツの医療支援活動に協力
台湾ルーツとともに医療支援にあたる AMDA岩本看護師 |
2014年2月4日にAMDA看護師1名を被災地に派遣しました。
瓦礫は道路脇に片づけられているものの、未だ電機などが復旧していない状況でしたが、地元の学校などは壊れた屋根にテントを張った状態で再開しつつありました。6日にはタクロバン市を中心に、台湾の医療NGO・台湾ルーツとの医療支援活動に参加協力を行いました
フィリピン台風30号復興支援会議“開かれた相互扶助/バヤニハン”マニラで開催
マニラで開かれた復興支援国際会議の様子 |
2014年3月8日、AMDAとフィリピンNGO・RPPM(フィリピン農村再建運動)の共催で、「フィリピン台風30号復興支援会議“開かれた相互扶助/バヤニハン”」をマニラで開催しました。(「バヤニハン」とは、フィリピン語で相互扶助の意味。)
フィリピン政府、フィリピン医師会、地元NGOほか国内外の13団体がフィリピン台風30号に関する体験、活動、計画を発表し、グループディスカッションを行い、フィリピン台風30号復興支援や今後のフィリピンにおける災害対策と対応について話し合いました。
会議の最後には、「相互扶助/バヤニハン」の精神のもと提唱された「フィリピン台風30号復興支援マニラ宣言」が採択され、会議に出席した約110人が賛同し、閉会となりました。
アルファ米の配布を実施
アルファ米配布の様子 |
2014年3月10日から、レイテ島タクロバン市内5か所において、元レイテ州知事、レイテ医師会などの協力のもとアルファ米750食を被災者に提供することができました。住民からは「とても幸せな気持ちになります、未だに支援を続けてくれてありがとう。」と感謝の言葉をいただきました。
広島県教育委員会合同支援事業 広島高校生が復興支援活動に参加
購入した文具や雨具などを順番に手渡す高校生ら |
AMDAは復興支援の一つとして広島県教育委員と合同で、日本の高校生がフィリピンの高校生の復興のための支援を行う「同世代交流事業」に取り組んでいます。
AMDAの提案により、広島県教育委員会から、広島県内の高校に呼びかけを行い、福山誠之館高校の生徒をはじめとする多くの広島県内の高等学校、生徒がこの呼びかけに賛同。2月23日には福山駅前で街頭募金を実施し、5校29名が参加しました。その他にも各校内での募金活動など積極的な活動を実施、3月19日時点で広島県内33校が参加をするプロジェクトとなりました。
そして3月24日からは生徒の代表者2名がフィリピンへ渡航し、この募金活動で集まった寄付金で、文具などの支援物資を購入し、被災地タクロバン市を訪問。同市内のスカンジナビア高校生へ直接手渡しするとともに、「私たちは忘れていませんよ。」というメッセージを届けることができました。
フィリピン台風30号復興支援活動の一つとして、広島県立福山誠之館高等学校の学生2名と引率の教諭1名が3月24日から29日の6日間、AMDAのスタッフとともに被災地・レイテ島のタクロバン市を訪れ、地元の学生との交流や支援物資の配布を行いました。なお、レイテ島タクロバン市は、広島県福山市と姉妹都市の関係にあります。
以下に参加した学生からの感想を一部紹介します。
広島県立福山誠之館高等学校2年 末永 千恵
訪問した小学校で子どもたちの笑顔に囲まれた |
訪問した高校で日本に関するクイズを行なった |
タクロバン市に到着して一番に目に飛び込んできたものは、物乞いをする小学生くらいの少年でした。話で聞いたことはありましたが、実際に見たのは初めてで、ただただびっくりしました。町の様子は、その被害の大きさに驚きました。町の中心部は活気づいていましたが、海岸沿いの様子を見てみると高潮にあったことが5カ月たった今でもはっきりとわかりました。鉄柱が下り曲がって建物の上に乗っていたり、大きな建物があった場所が跡形もなく荒野になっていたり、ゆがんだバスや窓のない車がいまだに放置されていたりしていました。地元の方の話から、まだ死体が埋まっているかもしれないことを知り、胸が痛みました。海を見たら当時のことを思い出してしまう人がいる中、それでも海岸沿いに臨時の家を建てて生活している人たちもいました。自分たちの住み慣れた土地にいたいという気持ちが感じられました。学校訪問へ行く途中では、大きな船が町に乗り上げているまま残されていました。この船は米俵などの重たい荷物が乗っていたと聞き、高潮の威力を思い知りました。
まず、スカンジナビア小学校を訪れました。フィリピンの小学生は私たちを珍しそうに見ていましたが、とてもフレンドリーに迎えてくれました。岡山大学附属小学校の小学生が書いてくれた大きな寄せ書きをみんなの前で披露し、一人一人に準備してきたキャンディーを配りました。小学生たちは本当に元気で、私の腕をひっぱってクラスに連れてってくれたり、クラスから身を乗り出して手を振ってくれたり、その優しさや元気さに、自然と笑顔の自分がいるのに気が付きました。
そのあとに、スカンジナビア高校に行きました。高校の旧校舎は全壊していました。高校生は体育館の周りにテントを立てて、その下で勉強していました。当然壁はなく、不便さが感じられました。体育館も建っていましたが屋根のほとんどがなく、床は水たまりがたくさんありました。その体育館で私と楠君が英語でスピーチをしたり、日本についてのクイズをしたりしながら交流しました。皆、私の拙い英語に反応してくれて、本当にうれしかったです。交流の最後に支援物資として準備した文具や雨具を渡しました。手渡す時に日本語で「ありがとう」と言ってくれる生徒もいて、そのことで心の距離がぐっと近づいた気がしました。
今回のことを振り返って、一番印象に残っているのは、大規模な台風によって被災したにもかかわらず、現地の生徒をはじめ多くの人が笑顔で私たちを迎えてくれたことです。私が逆の立場なら、明るい顔を保っていられないと思います。私たち高校生は、町の復興にかかわるような大きな支援はできませんが、現地の同世代の人の話を聞いて心に寄り添ったり、手紙などで気持ちを伝えて勇気づけることができます。今回訪問させていただいたことを生かして、次の支援を高校生なりに考えて実行したいと思います。
広島県立福山誠之館高等学校1年 楠 武之
被災地状況の見学 |
今回僕がフィリピンのタクロバン市を訪れて思ったことは、三つあります。
一つ目は、被害の深刻さが、訪れる前に想像していたものよりはるかに大きかったことです。日本に直撃する台風とは全然違っていて、とても驚きました。たとえば、海岸線沿いに立っていた建物はほとんど壊されており、屋根のない家や鉄筋が崩れてしまったラジオ局など、被害の大きさを物語っていました。日本のテレビで見ているだけでは、限られた部分しか見ることができないということを、改めて実感しました。
二つ目は、高潮の被害についてです。台風は、強風によって様々な被害が出るものだと思っていました。しかし、今回の台風の高潮による影響で、たくさんの人が流されて亡くなったと聞きました。この話を聞いて僕は、高潮の恐ろしさを初めて理解しました。
三つ目は、被害にあったにもかかわらず、現地の人々が笑顔をたくさん見せていたことです。僕が思う、フィリピンと日本の一番大きな違いは、この点だと思います。前に進むしかない状況で、一番大切なことは「あきらめないこと」と「笑顔を絶えず見せること」だと思います。うつむいてばかりではいられないという、現地の人々の強い思いが伝わってきました。フィリピンの人々の親切なそぶりは、不安な僕たちの大きな支えとなりました。街頭募金で集めた資金で物資を買うときに、英語で説明しなければなりませんでした。自分の英語がなかなか伝わらなくて、おどおどしてしまい、スムーズに買うことができませんでした。しかし、それでも現地の人々は何度も説明してくれて、熱心に聞いてくれました。このような優しい心を持つ人が多い分、助け合って、笑いあって復興へ向かって行けるのだと思いました。
AMDA高校生会 フィリピン台風被災者に向けた街頭募金を実施
街頭募金を実施した高校生会メンバー |
AMDA高校生会メンバーは3月29日に岡山天満屋地下通路で、フィリピン台風被災者のための街頭募金活動を実施しました。これは高校生たちが自らが考え、取り組んだ事業で、高校生たちの声に多くの方が足を止めてご協力くださいました。ありがとうございました。
取り組みを行った高校生会リーダーからの活動報告を一部抜粋して紹介します。
街頭募金活動を実施して AMDA高校生会リーダー 森部葵
フィリピンで大きな台風が起きたことに対し、自分たちでまず何ができるのかを高校生会で考え、いろんな案が出た中で募金活動を行うことになりました。
自分たちだけで声を出して呼びかけることは少し恥ずかしいと思ったけれど頑張って3時間やりきりました。たくさんの方が「少しだけど」と言いながらも協力して下さってとても嬉しかったです。
もしかしたら、何の募金活動をしてるのか分からずにいた方もいたかもしれないけどその誰かのためにという優しい気持ちも全部、フィリピンまで届いたらいいなと思いました。
募金を呼び掛けていると、中には「勉強したほうがええんじゃないの?」という方もいましたが、そんな方にも私たちの気持ちやフィリピンでの現状を伝えることのできる人になっていきたいと思いました。
国境をこえた活動ができ、「日本からでも応援しています!!」という思いとともに多くの方が救われたらうれしいです。
AMDA高校生会とは
1995年の秋に発足した高校生のボランティアグループです。現在は約40人の中・高生で活動しています。学校などはみん なばらばらですが、心を一つにして活動を続けています。月に1回程度、AMDA本部(岡山市伊福町)に集まり活動計画を立て高校生にできる支援を考えています。またAMDAのプロジェクト担当者から,AMDAの活動の話などを聞く勉強会なども行っています。現在は東日本大震災の復興支援やフィリピン台風の復興支援などに、取り組み、そのほかにも自分たちの経験を講演会で話をしたり、テレビやラジオへの出演などしています。同じ思いを持つ学生さんを随時募集しています。興味のある方はお問い合わせください。
問い合わせ先:AMDAボランティアセンター TEL:086-252-7700 member@amda.or.jp
フィリピン保健省より感謝状授与
AMDAが実施したフィリピン台風30号の被災者に対する11月10日から12月末まで行ったレイテ島などでの医療支援活動に対して、フィリピン保健省保健大臣から感謝状を頂きました。
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フィリピン台風30号緊急医療支援 患者からの喜びの経過報告
足の腫れがずいぶん引きました |
AMDA医療チームがサマール島で医療支援活動を実施した際に、重篤な外傷患者を病院へ搬送し、処置を行いました。一時は足の切断の危機にありましたが、危険な状況を脱し、経過も良好でお礼の言葉とともに、その後の経過を写真で送ってくださいました。