フィリピン台風30号被災者に対する緊急医療支援活動
11月8日にフィリピン南部のレイテ島を中心に大きな勢力を持った台風30号が上陸し、強風と高潮の影響でレイテ島、サマール島、パナイ島など多くの島で、死者5,719人、負傷者26,233人、行方不明者は1,779人という甚大な被害をもたらしました。(フィリピン国家災害対策本部12月4日発表)
この現状を受け、AMDAでは11月10日にAMDA医療チームを派遣し、支援活動を開始しました。
ボホール島で文房具を受け取った子どもたち |
第1次派遣としては、10月15日フィリピンボホール島で発生した地震被災地を訪れました。この地は、この台風の通過地点から逸れていたため、甚大な被害は免れていましたが、地震のために倒壊した建物は、台風の影響による強風のためにさらに崩れ、未だ余震が続くなど、不安な状況が続いていました。また地震により学校なども被害を受けており、屋外での授業を余儀なくされている子どもたちもおり、約2850人へ文房具を寄贈しました。
また 台風の直接的な被害を受けたエリアへの支援ニーズが高いと判断されたことから14日以降、これまでに6回、のべ10人のスタッフを現地に派遣し、パナイ島、ネグロス島、サマール島、レイテ島で支援活動をスタートしました。多くの島が被災を受け、物資の輸送や、被災地へのアクセスなどが大きな問題となっており、徐々に地域による支援の偏りなどもみられています。そこで、AMDAでは、支援が不足している地域に分かれての活動を行っています。
パナイ島で子どもたちのメンタルプログラム |
パナイ島カルレス町などで医療支援と物資の配布を実施。上気道感染・頭痛などの痛みの訴えのほか、高血圧の患者が多くみられました。さらに不眠や不安の訴えが多く聞かれました。また、子供たちに対しては、絵を描くことを通じたメンタルケア・プログラムを実施しました。
レイテ島のオルモック北部カナンガなどを中心として巡回診療を中心とした支援活動を行いました。このエリアは突風の被害が大きく、多くの方ががれきなどによる傷を負っていました。また特徴的だったのは、瓦礫や枯れ木類の片付けによる子どもの火傷も目立ちました。
レイテ島タクロバンでは、多くの支援が入っていたためタクロバンから南下しながらパロ町などで物資配布や巡回診療を実施しました。ここでは、栄養不足や精神的なストレスによる症状が多くみられました。また診察に訪れる約1/3が子どもでした。
サマール島での巡回診療の様子 |
サマール島にはレイテ島から南部の海岸線を移動しながら、ボロンガンまでの6か所の町で物資配布を実施しました。災害後初めての支援となる地域もあり、多くの方が詰めかけてくださいました。またボロンガンでは巡回診療も実施することができました。
AMDAでは現在も支援活動を継続しています。
活動場所地図とこれまでの活動地ごとの活動内容一覧
AMDA派遣
- Prakash Sharma:AMDAネパール支部 医師(11月24日〜11月30日)
- Punam Gauro:AMDAネパール支部 看護師(11月24日〜11月30日)
- Hamka Rani:AMDAインドネシア支部 医師(11月18日〜11月30日)
- Asmuliadi Azis:AMDAインドネシア支部 医師(11月18日〜11月30日)
- 古城 デイジー:総社市教育委員会 調整員/倉敷市在住(11月18日〜25日)
- 岩本 智子:AMDA 看護師(米国免許)(11月18日〜現在)
- Wilson直美:AMDAERNメンバー 看護師(11月16日〜12月8日)
- 大政 朋子 :AMDA 調整員(11月14日〜12月8日)
- Nithian Veeravagu:AMDA 調整員(11月14日〜19日)
- 山 希:AMDA 看護師(11月10日〜23日)