2012年度年次報告 復興支援活動(2013/10発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2012年度年次報告 復興支援活動(2013/10発行)

2012年度年次報告 復興支援活動

インドネシア・メラピ火山噴火復興支援活動


寄贈した資材で水路の復旧を行う様子

◇実施場所 インドネシア ボヨラリ県 トロガレレ村
◇実施期間 2012年5月5日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 NGO YKPスラカルタ

◇事業内容

2010年11月に発生したジャワ中部メラピ山大噴火直後からAMDAは、日本から医療チームを送り、被災者への緊急医療支援活動を行い、発生半年後からは、復興支援を行った。2011年5月に行われた第1回復興支援は、マゲラン県ダクン区バンジュドノ村で行われ、溶岩や火山灰を撤去する清掃に参加した住民ボランティアに食糧配布を行った。第2回目は、2012年3月にボヨラリ県セロ郡クラカー村で復興支援の一環として水路復旧プロジェクトを行った。

今回で3度目となった復興支援では、冷えた溶岩によって村の農業用水路や灌漑施設が壊れてしまったメラピ山近郊に位置するボヨラリ県トロガレレ村からの要請を受け、それらの復旧に必要な資材を支援することを決定。緊急支援時から協力関係にある現地NGO「YKPスラカルタ」と連携し、必要資材(水道管165本、セメント15袋、ワイヤー100m、工事用具一式、ペンキ2缶、レインコート2着)を現地に届けた。

村民は、贈呈された資材を使い、早速復旧作業に取り掛かった。農業用水が行きわたるよう、水源付近に貯水池を作り、破損した水道管を新しいものに交換、貯水池から家や農園へ水道管をつなげる作業を行った。

復旧工事は無事終了し、最後にトロガレレ村の住民を代表して、村長であり緊急災害チーム長であるスシロ・ハスツチ氏が、「失われた水が戻ってきた」と発言し、灌漑施設の復旧工事に物資を提供したAMDAに感謝の意を示した。

◇現地協力機関
NGO YKPスラカルタ

ハイチ大地震復興支援活動


歯科診療を実施したハイチ支部スタッフ

◇実施場所 ハイチ ポルトープランス、フォンデネグ市ほか
◇実施期間 2012年9月13,14,17日 2013年1月12日
◇派遣者 ニティアン・ヴィーラヴァーグAMDA本部職員

◇事業内容

2010年1月12日に発生し、31万人以上の死者を出したハイチ地震において、AMDAは発生直後から被災地に多国籍医師団を送り、緊急支援を実施した。3か月後からは、復興支援に事業を移行させ、現在も、無料歯科診療、義肢支援、サッカー交流、復興支援参加者交流会を行っている。

義肢支援事業

AMDAは、義肢支援の一環として、日本から義肢装具士を一年間派遣し、義肢製作工房を設置。同施設に義肢製作機を購入し、約30名に義肢を提供することができた。義肢支援の終了(2011年1月)にともない、工房で使用していた義肢製作機をNGO「ミッションオブホープ」の義肢装具センター(ハイチ)に寄贈することを決定し、2012年9月17日、寄贈式を行った。同団体では、AMDAで1年間活動を行っていた義肢装具士が、継続して活動を行っていることから、本贈呈が決定した。寄贈式では感謝の言葉をいただき、協力関係を続けていくことを確認した。

サッカー交流

2012年9月13日から14日には第2回目となるサッカー交流が、首都ポルトープランスで行われ、11歳から14歳のハイチ国内の子どもたち51名が3チームに分かれて試合を行い、交流を深めた。プログラムは黙祷で始まり、白熱した試合を行った。優勝チームにはメダルとトロフィーが授与された。

無料歯科診療

AMDAハイチ支部長を中心とした無料歯科診療が、2013年1月12日にフォンデネグ市で行われた。今回、本事業を実施したフォンデネグ市は、医療設備の整った町から遠く、住民は歯科検診を受ける機会や、歯の健康について専門家から学ぶ機会が限られている。今回の活動は昨年2月に同地区で行った歯科検診に引き続き、第2回目として実施され、村の内外から集まった67人の様々なニーズに応えることが出来た。
そのほかにも、復興支援参加者交流も開催予定である。

◇受益者の声
とても満足している。私は、今回聞いたことを同じ農村に住んでいる人に教えてあげようと思う。(無料歯科診療参加・女性)
前回も検診を受けました。AMDAハイチ支部のお陰で、歯の健康の大切さを理解することが出来ました。今後も年に3回ほど、このような検診を受けたいです。(無料歯科診療参加・男性)

◇現地協力機関
AMDAハイチ支部
サルベーション・アーミー(Salvation Army)病院
NGOミッション・オブ・ホープ(Mission of Hope:MOH)

ルソン島(2011年10月)・ミンダナオ島(2011年12月)台風復興支援活動


子どもたちに物資を配布

◇実施場所 フィリピン共和国ルソン島ザンバレス州及びミンダナオ島カガヤン・デ・オロ市
◇実施期間 2012年6月
◇派遣者 大山マージョリ 調整員・岡山倉敷フィリピーノサークル会長/出口ジーナ 調整員・岡山倉敷フィリピーノサークル副会長
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA派遣者を含む地域のボランティアなど

◇事業内容

2011年10月ルソン島、そして同年12月にミンダナオ島で発生した台風災害の被災者に対する復興支援として、2012年6月、AMDAは、主に子どもの教育に焦点を当て、故郷の為に活動する協力団体「岡山倉敷フィリピーノサークル」に義援金を贈呈した。

特にミンダナオ島を襲った台風24号は、2012年度で国内最悪の被害規模を記録し、死者1,000人以上を出した。AMDAは、発生直後より、岡山倉敷フィリピーノサークルと連携し、避難所での巡回診療等を中心とした緊急医療支援を行ってきた。半年以上経った被災地では、長引く避難所生活にストレスを抱える子どもがおり、被災児童への支援の必要性があがっていた。

今回の復興支援は、岡山倉敷フィリピーノサークルがイニシアチブを執り、被災地のニーズに応じて、約半年間、子ども用文房具や歯ブラシ等の寄付を呼びかけ、実現した。AMDAは、同郷を想う同サークルの活動を支援すべく、義援金を贈呈し、復興支援を後押しした。

2012年6月、ミンダナオ島出身の会長とルソン島出身の副会長が被災地に入り、ミンダナオ島北部カガヤン・デ・オロ市で、小学1年から6年生の児童に学校用品と衛生用品900セットを寄贈、そしてルソン島北部ザンバレス州では、雨具と学校用上履き300セット、衛生用品や扇風機を寄贈した。この活動により、被災した子どもたちが再び教育の機会を得られるようサポートすることができた。

◇派遣者の声

今回、AMDAと岡山倉敷フィリピーノサークルのコラボレーションにより、大勢の被災者に笑顔が戻り、嬉しく思っている。

東日本大震災復興支援


AMDA大槌健康サポートセンターにて

◇実施場所 岩手県上閉伊郡大槌町、岩手県釜石市、岩手県大船渡市、宮城県気仙沼市、宮城県本吉郡南三陸町、宮城県石巻市雄勝町、宮城県仙台市ほか
◇実施期間 2011年3月12日〜現在継続中
◇派遣者(2012.4.1〜2013.3.31)
菅波茂医師(AMDA理事長)含むのべ30名(医師6名、看護師8名、調整員11名、准看護師3名、鍼灸師2名)ほか、現地雇用5名

◇事業内容
2011年3月11日に発生した東日本大震災の翌日から緊急医療支援活動を実施し、4月末まで医療だけでなく多岐にわたった活動を実施した。2011年5月からは「3カ年復興支援」として「医療・健康支援」「教育支援」「生活・自立支援」の3つの分野を柱として活動を継続している。その他にも、NPO法人つどい(岩手県大槌町)に委託してコミュニティ活動の支援を行っている。

医療・健康支援

雄勝町では巡回で鍼灸治療を実施

公立南三陸診療所(南三陸町)および公立志津川病院(登米市米山町)へ夏季、冬季、春季に医師・看護師を派遣している。また、猪苗代病院(気仙沼市)に対しては、長期勤務が可能な看護師の呼びかけをするなどの支援を実施している。

健康支援事業としては、上閉伊郡大槌町設置したAMDA大槌健康サポートセンターで心身の健康支援をテーマに、コミュニティースペースを活用し、人々の笑顔が集う場所の提供を行っている。さらに同施設内にある鍼灸室と石巻市雄勝町では鍼灸治療支援を実施しており、高齢化が進む被災地において、非常に喜ばれている。

教育支援

2011年度に引き続き、AMDA東日本国際奨学金の支給を継続。2012年度は8校101名に奨学金の支給を実施した。11月3日には、第2回目となるサッカー交流事業も実施。今回は被災地4校の中学生を対象とし、被災地の中学校グラウンドを会場に実施した。学生の交流だけでなく、救護所として協力参加した医療関係者同士の交流の場にもなった。3月17日には、高校生同士の音楽を通じた交流の場としての「第2回絆コンサートin大槌」を開催した。その他、ボランティアの受入れや交流事業などを実施した。

生活・自立支援

被災地の仮設商店街を中心とした被災地間を結ぶ事業を実施。2013年1月からは「復興グルメF-1大会」と銘打ってこれまで支援を行ってきた地域に限らず、広く被災地を結ぶ事業を実施している。その他にも震災ホームレス支援などを実施している。

◇受益者の声
こういう交流を続けてほしい。人の力はすごい。他の県でもサッカーをやっていれば友達としてつながれると感じた。(サッカー交流に参加した学生)
子どもたちが楽しそうにサッカーをしている姿を見れて良かった。「震災から1年半以上経ったこの時期に開催してくれたことに感謝している。こうやって被災地のことを思っている人たちがいることは、子どもたちに伝わったはず。(サッカー交流に参加した教諭)
今まで、いろいろ被災地について調べてわかっているつもりだったが、訪れてみて初めて気が付くことが本当に多かった。自分の目で見て考えることがとても重要だと思った。また被災地に足を運んでない人には、ぜひ訪れてもらいたい。(絆コンサートに参加した岡山の学生)