アジア相互扶助緊急救援ネットワーク会議(2013/7発行ジャーナル7月夏号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

アジア相互扶助緊急救援ネットワーク会議(2013/7発行ジャーナル7月夏号掲載)

アジア相互扶助緊急救援ネットワーク会議

会議を経て広まり、稼働を始めた『開かれた相互扶助』の概念

2013年4月12日から18日までの日程で開催された「アジア相互扶助災害医療ネットワーク会議」により参加国の代表らから今後の国境を越えた「開かれた相互扶助」について前向きな意見が集まりました。会議開催後に発生した災害において、早速このネットワークが活用され始めています。
会議に参加したAMDAバングラデシュ支部の以下の活動は会議参加者にも共有され、今後の災害救援にも活用されます。

バングラデシュビル倒壊事故 緊急支援活動


倒壊現場で緊急救援活動を行う
JBFH、AMDAバングラデシュ支部の医療チーム

患者一人一人に声をかけて物資を手渡す山看護師

2013年4月24日午前9時30分頃、バングラデシュの首都ダッカより20km程北西に位置するサバール地区にある建物ラナ・プラザ(5つの縫製工場含む)が崩壊し、死者1,127名、負傷者2,400名以上を出す大惨事となりました。

事故発生直後より、AMDAバングラデシュ支部と日本バングラデシュ友好病院(JBFH)が合同で緊急医療支援チームを組織し、救助用の機材も不足する中、事故現場で負傷者の救出や病院への搬送、必要物資の援助、遺体の搬送を行い、同時に献血への協力を呼びかける活動も行いました。これを受け、AMDA本部も救援活動への参加を決定し、本部の看護師1名を現地に派遣しました。

被害者を受け入れている病院から、「医薬品の寄付は十分だが、入院治療中の負傷者の栄養補給が行えていない。」という情報を受け、栄養補助食品の配布を決定。被災者の多くが入院するエナム医療大学附属病院、国立外傷整形外科リハビリ病院、ダッカ病院の3病院において、計280名の負傷者やその家族に栄養補助食品を、AMDA看護師らが一つ一つ患者や患者の家族らと言葉を交わしながら手渡すことができました。

入院中の負傷者の多くに重度の擦過傷、切傷や裂傷、単純骨折、骨盤骨折、脊髄損傷、四肢切断、胸・腹部外傷、頭部外傷が見られ、手術の順番を待つ人も大勢いました。中には、この事故で肉親を亡くした方もおり、身体的苦痛に加え、精神的にも大きなダメージを受けている様子が見受けられました。また、被災者の中には、AMDA看護師の手を握り、涙ながらに喪失の悲しみや将来への不安を訴える人がいました。

さらに被災者の状況を注視していたところ、食料支援や追加的な医療支援が必要であることと判断されたことから、6月7日、AMDAバングラデシュ支部とJBFHはビル崩壊による被災者への診療活動と薬の配布、食糧支援を実施しました。医師・看護師などの医療スタッフ30名からなる医療チームが結成され、ビル崩壊現場のある地区のサバールアダハールシャンドラ高校にて、診療、集団心理療法、薬の無料配布などの医療支援が行われ、約400人が治療を受けることができました。さらに食料支援として米800kgと豆200kgを配布することができました。

■派遣者
山崎 希/AMDA職員/看護師
サーダー アブドゥル ラザック/AMDAバングラデシュ支部事務局長

バングラデシュ サイクロン・マハセン緊急医療支援活動


無料診療活動を行うAMDAバングラデシュ支部医療チーム

5月15日深夜に強力なサイクロン・マハセンがバングラデシュ南東部の沿岸地域を通過しました。

AMDAバングラデシュ支部と日本バングラデシュ友好病院の合同緊急支援チームは2チームの編成を行い、支援活動にあたりました。第1チームは5月14日ダッカを出発し、サイクロンの最前線に近いコックスバザール県タクナフ郡での活動を実施。サイクロン通過による被害を減らすべく、避難場所の提供などの活動を行いました。

第2チームは19日にカラパラ郡ニルガン町のパクヒマラバザールで、約200人に対して無料診療や医薬品の提供を実施する。必要に応じて点滴なども行いました。さらに約400人に対して米フレーク、糖蜜などの食品や、マッチや衣類などの生活支援物資の提供を実施することができました。