平成24年度静岡県総合防災訓練参加報告(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
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平成24年度静岡県総合防災訓練参加報告(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

平成24年度静岡県総合防災訓練参加報告

AMDAは96年から始まった官民合同の総合防災訓練に2010年を除き毎年参加してきました。2012年9月2日に行われた静岡県総合防災訓練では、AMDA ERネットワーク登録医師の細村医師に、これまでの経験を活かじて、本防災訓練のアドバイザーの立場でご参加いただきました。この訓練を主催した牧之原市健康推進課と細村医師からの活動報告を一部ご紹介します。

 

牧之原市/健康推進課

医療救護訓練には、現実的な指導が必要です。

牧之原市は、静岡県中部に位置し、駿河湾に面した全国2位のお茶の生(なま)葉(は)産地で、「富士山しずおか空港」のある人口5万人の市です。
 

平成23年度の静岡県総合防災訓練では、東日本大震災の被災状況を踏まえた東海地震を想定し、市として初めてアムダのDMATにご協力頂き医療救護訓練を実施しました。受付から治療、救護病院への搬送と、一連の流れの中でトリアージに迷い、救護病院への搬送順の考え方や黒エリアの傷病者への対応など、反省と学びが多い訓練となりました。その後、参加した地元医師会会員から、「定期的にしっかり訓練しておくべきだ」との意見もあり、訓練の反省を基に具体的な行動マニュアルの見直しを進めました。本年度の医療救護訓練は、事前にトリアージや救急処置の研修を重ね、見直した行動マニュアルの検証の場ともしました。
 

そのような中、医師会から、今回も是非、現場における指導をアムダにお願いしたいとの要望があり、9月2日の訓練に所属医師と調整担当者の派遣を依頼しました。訓練は、昨年の経験を活かしながら緊張感を持って行われ、個々に課題はあるものの貴重な体験の場となりました。反省会では、「再度役割や配置を検討し、訓練を続けていこう」といった現実的かつ真剣な意見が次々と出ました。

市では、訓練を行う中で、何より、医療関係者と行政が協働して、防災や救護について話し合いができることを幸せに思っています。
 

AMDA ERネットワーク登録医師 
  北茨城市立総合病院一般内科 細村 幹夫

2011年は牧之原市棒原地区での救護所でのトリアージを実際に行政・医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護師会・一般市民の方々に行って頂きました。
 

救護所に到着すると、すでにSTART法に基づくトリアージのための?受付、?トリアージ・エリア、?緑・黄・赤・黒エリアの設置・医療品・薬剤等の準備がされていました。患者さん役の市民の人達も、各々の疾患に即したメイキング・ヴァイタルボードを首から下げて準備完了状態でした。私は訓練開始前の打ち合わせ時、訓練中、「想定する災害時の状況を想像しながら行ってください」という旨の言葉をかけながら救護訓練を見て回りました。
 

救護訓練の開始時から、遠慮なく質問を受けました。訓練に参加していた多くの方々が実際の災害を可能な範囲で想像して対応しており、その表情からは昨年とは違う、良い意味で半ば困ったような雰囲気をうかがうことができました。より想像を働かせ問題点を次々に挙げていました。

南海トラフを想定した犬災害時
に必要なことは、どれだけ安全なところに、どれだけ早く避難するかが一番最初に取り掛かるべき事だと思います。事前の予想を超える‘想定外jよ必ず起こります。どこが中心になり(地区・市・県レベルをこえて)、どだけの情報を、どれだけの人々に届けられるか、自らの身の保全が無ければ上記のような救護訓練自体が意味の無いものになりかねません。今回の訓練中、参加された多くの地域住民の方々が自分の想像出来る範囲内であれ、今回の救護所でのトリアージ、一時的治療、広域搬送に多くの問題点を持たれた事は名目上の訓練が上手くいく事よりも大変意義のあったことと思います。
 

訓練のための訓練では意味がありません。せっかく阪神・淡路大震災、東日本犬震災、等々の災害から今までには思いもよらなかった問題点が浮かびあがっています。多くの方々が経験された事を基に、地元中心で地元に即した訓練になればよいと思います。災害にあわれた多くの人々から伝えられた多くの経験、情報を生かすことが大切です。