AMDA東日本大震災復興支援事業(2012/12発行ダイジェストNo.39掲載) – AMDA(アムダ)
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AMDA東日本大震災復興支援事業(2012/12発行ダイジェストNo.39掲載)

AMDA東日本大震災復興支援事業

第2回スポーツ親善交流事業を開催

11月3日(土)に気仙沼市津谷中学校のグラウンドを会場に「第2回東日本大震災復興支援・スポーツ親善交流プログラム」を実施しました。

参加したのは大槌中学校(岩手県)24人、気仙沼中学校(宮城県)13人、志津川中学校(宮城県)15人、津谷中学校(宮城県)14人の4校73人のサッカー部員と、その監督、コーチ。さらに、救護所設営のために、大槌病院から3人、猪苗代病院(気仙沼)から5人、志津川病院(南三陸)から3人の医療従事者が参加し、大会の運営スタッフなどを含め、総勢108人が参加し、開催されました。

本事業は2011年8月に岡山市、総社市を会場に開催されたスポーツ交流事業の第2回で、「被災地間交流」「同世代間交流」のコンセプトのもとに、今回は被災地県内で開催されました。

当日は晴天に恵まれたものの、吹き付ける風は非常に冷たく、冬の気配を感じさせる1日でしたが、参加した皆が思いきり笑顔で過ごした1日となりました。

午前中は学校対抗の試合を総当たりで戦で、各校3試合ずつ行いました。午後からは、全体をAチーム、Bチームの2つに分けてマラソンリレー式の混合試合を行いました。混合試合には、各校の顧問の先生方、猪苗代病院の看護師の方々、そしてAMDA大槌健康サポートセンターのスタッフも参加して、盛り上がりを見せました。普段、先生と生徒が一緒に試合に出る機会があまりないため先生方が熱くなって試合に参加している姿を見て、子どもたちも楽しんでいました。

また会場には救護所を設置し、AMDAが支援を行っている猪苗代病院、大槌病院、志津川病院の医師および看護師の方々にご協力をいただきました。それぞれに学生の試合を観戦しながら、医療機関、医療スタッフ同士が交流を持つこともできました。

昼食には、公益社団法人日本国際民間協力会NICCO、AmeriCaresによる温かい炊き出しがあり、カレーのいい匂いが会場に立ち込め、全員にふるまわれました。

 

スポーツ交流事業に参加した学生の声

・他県のチームと戦えて、同じチームで仲良くなれた
・とても楽しめたし、良い経験ができたので良かったです
・今回の交流を通じて、みなさんに元気づけられた
・学校を超えて、みんなで協力してゴールに向かって行けた
・こういう交流はぜひこれからも続けてほしい
・他の県でもサッカーをやっていれば友達としてつながれるんだ

 

学生を引率した教員の声

・震災から1年半以上経ったこの時期に、このような会を開催してくれたことに本当に感謝している
・こうやって被災地のことを思っている人たちがいることは、子どもたちに伝わったはずです

 

参加したスタッフたちの声

・今回のサッカー交流を通して改めてサッカーというスポーツの素晴らしさ、重要性を感じました。

 

鍼灸治療活動(岩手県大槌町、宮城県雄勝町)

高齢化が進む被災地では、鍼灸治療のニーズが高く、AMDAでは、岩手県大槌町、宮城県石巻市雄勝町で地元鍼灸師による鍼灸治療活動を継続しています。いずれも地元医療機関の協力の元、健康保険の導入を行っています。

鍼灸室のあるAMDA大槌健康サポートセンターでは、高齢者だけでなく、地元の高校生なども施術を受けに訪れます。また大槌町でも、雄勝町でも患者の方々の鍼灸治療に対する再受診率が非常に高く、心身共に鍼灸治療の効果を実感していることがうかがえます。

 

月別鍼灸治療のべ患者数(2012/5から2012/11月末まで)

※雄勝町では週に1日のみ鍼灸治療日を設け、雄勝町の3地区(名振、水浜、大須)を巡回し、完全予約制で治療活動を行っています。

 

高校生防災交流プログラム(岡山西南ロータリークラブ・AMDA)


被災した大槌中学校で清掃活動する様子

南海トラフ地震に対する防災教育が注目される中、岡山県立興陽高等学校・インターアクトクラブの高校生2名が、岩手県上閉伊郡大槌町を訪れ、ボランティア活動や大槌町在住のAMDA高校生会らとともに情報交換の時間を持つことができました。これは岡山西南ロータリークラブの支援により実現化したもので、AMDAではフィールドでの活動のコーディネートを行いました。

2名の学生の引率で本プログラムに参加した教諭からは「被災地で見たこと、聞いたこと、そのすべてがとても印象深かったようです。この二日の間に、二人の生徒の顔つきも態度も随分と変わり、被災地の復興のことやがれきの処理のことを質問してくるなど関心も深まったようです。」と感想が寄せられました。

「来年もぜひまた大槌に行きたい。」と話す学生さんのエッセーを一部紹介します。

 

家政科1年 高島晴佳さん

私は、8月22日から25日に岩手県大槌町に行きました。今回の体験で一番印象に残っていることは、大槌中学校の掃除です。中学校は地震が起きた日とほぼ同じ状態だったのでおどろきました。ですが、床を掃いたり、物を動かしていくうちにきれいになっていく中学校を見てうれしい気持ちになりました。

また、中学生と一緒にやった焼肉カーニバルも印象に残っています。中学生は今、仮設校舎で勉強していて大変だと思うのに、元気な声で挨拶してくれたり、笑顔で過ごしている姿を見て、私まで笑顔になれました。

今回の体験を通して、これからも東日本大震災があったことを忘れないで、これからもできることがあればやっていきたいと思いました。また、岡山県でも震災が起きたら、私にできることがあれば、進んでやっていきたいと思いました。

 

農業科1年 三宅加奈子さん

私が岩手県に行ってみて、最初に思ったことは「思ってたより被害は少なかったのかな?」ということです。しかし、一歩大槌町へ入ってみると、がれきの山や、プレハブの住宅など、復興が進んでいないところがたくさんありとても驚きました。

中学校の清掃ボランティアをしましたが、職員室の掃除をしたときには、3月11日と書かれたホワイトボードや黒板があって、とても切なくなりました。でも思い出の詰まった校舎を清掃するうちに、中学生たちの大好きだった校舎を、きれいにして送り出してあげたいという気持ちになりました。

たった4日というとても短い期間でしたが、私たちは震災と向き合い、被災された方たちのことを思って、二度とこんな経験のないようにしたいという思いでした。

地震とは、津波とは、とても怖く恐ろしいものだと再認識し、南海トラフ沖地震に備えた知識、準備物などを教えてもらえた4日間でした。これからも被災された方々の復興を願い、私たちの身の回りの安全の確保は本当にできているのかを考えながら生活していきたいと思いました。

 

AMDA東日本国際奨学金

本奨学金の趣旨に御賛同くださった多くの方のご支援のお陰で、2012年度も新たに奨学生の募集を行うことができました。昨年度奨学生となって、受給をスタートした学生の内、卒業生を除く62名には、本年度の奨学金の振り込みを終えました。また新たに、宮城県立気仙沼高等学校にも奨学生の枠を設け、15名(1年生5名、2年生5名、3年生5名)、宮城県志津川高等学校には追加の新規枠として、2011年度奨学生となった学生とば別に、追加で15名(1年4名、2年2名、3年9名)が支給対象となりました。現在、岩手県立大槌高等学校へも2012年度の奨学生追加枠の告知を行っており、学校の方で奨学生の追加選定が完了し次第、ご連絡いただくことになっています。

新たに奨学生となった学生から届いたエッセーを一部紹介いたします。

 

志津川高校3年生

私は昨年に起こった東日本大震災の影響により、避難生活を経験したことで、医療に関する仕事に興味を持ちました

避難所生活を続ける中で、私や家族はもちろん、すべての人たちが、これからの生活について不安を抱き、心が落ち着かない日々を過ごしていました。そのような中で、全国から医師をはじめとする医療関係者の方々が、診察したり、励ましている姿を見て、人を助けることができる仕事がとても素晴らしい仕事であると改めて感じました。そこで、将来は直接人を助けることができる仕事をしようと決意しました。

ニュースに映し出される映像から、多くのお年寄りが環境の変化により、自立した生活から介護を必要とする生活に変わってしまっていることを知りました。そこで卒業後はまず医療に関する知識を身につけた介護士を目指したいと思っています。

多くのお年寄りにとって、よりよい生活を送ることができるように手助けをしていきたいと思っています。

 

志津川高校3年生

私の将来の夢は看護師です。なぜなら、人のために役に立つ人に頼られる、たくさんの人とかかわることができる仕事は看護師だと思うからです。

看護師になりたいと本気で思ったのは、東日本大震災があってからです。それまでは、興味はありましたが、将来自分がなりたい職業ではありませんでした。しかし、東日本大震災を体験し、多くの人が亡くなり、多くの人が怪我をし、私がいた避難所の仮設病院は常に人がいっぱいいました。また、震災で体調を崩す人もいました。私も避難所で胃腸炎になりました。すごく体調が悪く看護師さんにお世話になりました。今もその時にお世話になった看護師さんのことが忘れられません。すごく感謝しています。私も看護師になったら、この人にお世話になってよかったと思われるような看護師になりたいと思いました。

看護師になることは簡単なことではないけれど、沢山の人とかかわれる看護師になりたいと思いました。

 

活動の軌跡(2012年5月〜11月)

 7/9  第3回AMDA被災地間交流事業 つながろう阪神淡路〜岩手県大槌町〜宮城県気仙沼市
 7/15〜9/28  夏季医療ボランティア派遣(公立志津川病院南三陸診療所)看護師2名、看護師5名
 7/25〜29  夏休み高校生招へいプログラム(岡山)
 8/22〜26  おかやま経済同友会主催の大学生ボランティアツアーの受け入れ(大槌町)
 9/1  石巻市雄勝町における巡回鍼灸治療に対する健康保険の導入
 9/19  阪南大学ボランティア学生受け入れ(雄勝町)
 10/5〜10  おかやま国際塾1期生ボランティア受け入れ
 11/3  第2回AMDAスポーツ交流プログラム(気仙沼)
 11/23〜25  AMDA玉野クラブ視察受け入れ