AMDA東日本大震災被災地3カ年支援活動(2012/4発行ジャーナル4月春号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDA東日本大震災被災地3カ年支援活動(2012/4発行ジャーナル4月春号掲載)

緊急医療支援から復興支援

〜震災から1年が経過して〜

2011年3月11日に発生した未曾有の東日本大震災・津波から1年、特に寒さの厳しかった2011年の冬を超えて、被災地にも春がやってきました。

 

災害発生から緊急支援

AMDAでは災害の発生を受け、11日より緊急支援活動体制となり、翌12日より緊急医療支援活動を開始しました。宮城県仙台市を最初の活動地とし、続いて岩手県上閉伊郡大槌町、岩手県釜石市、宮城県本吉郡南三陸町と4つの市町で緊急医療支援活動を実施し、4月20日までに延べ149名の緊急医療スタッフを派遣しました。ほかにもこれまでの活動で関係のあった支援企業、支援団体、協力自治体などの力を借りてトラックでの物資供給なども行い、海外とのつながりの中で海外からの医療チームの受け入れなどを行いました。さらには、直接的な医療行為以外でも、枠にとらわれることなく、被災地のニーズに合わせた柔軟な支援活動を展開し、その活動は被災者の方から高く評価されました。

地元医療が保険診療を再開する目途が立つ時点を、緊急の無料診療活動の終了時期と考え、4月20日をもって緊急医療支援体制を終了し、復興支援活動へと転換しました。


仮設志津川診療所

志津川病院の医療機材を贈呈するため、
病院を訪れたそねざきロータリー高波会長(左)と
受け取る横山事務長

これまでの復興支援活動

AMDAでは「医療支援」「教育支援」「生活・自立支援」の3つの分野において、現地のニーズを常に見極め支援活動を継続しています。その3つの分野において、以下のような活動を行い、5月1日からこれまでに(2012/3月末)125人の医師、看護師、調整員などを被災地に派遣しました。
(支援活動地:岩手県上閉郡大槌町、岩手県釜石市、岩手県大船渡市、宮城県本吉郡南三陸町、宮城県仙台市、宮城県気仙沼市、宮城県石巻市雄勝地区)

 

医療支援

?被災地医療 復興支援

1.30 志津川診療所の地元看護師の方々と
派遣の浅野看護師

志津川病院(南三陸町、登米市)へ、夏季、冬季、春季に医療スタッフの派遣を実施しています。緊急時にAMDAチームで派遣されたことのある医療スタッフを中心に派遣を実施することで、志津川病院側での受け入れの負担軽減が図れるだけでなく、病院スタッフの方々の精神的な支えともなっています。

猪苗代病院(気仙沼市)には入院患者用のベッドや医療機器などの提供のほか長期勤務が可能な看護師の呼びかけなどを実施しています。

さらに緊急医療支援活動時に活動を共にした、被災地の医師らの独立、開業に医療機器、医療物資などの支援を実施しています。

現在新たに、石巻市雄勝診療所への支援活動を鍼灸治療を中心に行っていく予定です。

 

?AMDA大槌・健康サポートセンター

緊急医療支援期にニーズの高かった鍼灸治療と、崩壊した地域のコミュニティースペースを確保するために、岩手県上閉伊郡大槌町にAMDA大槌・健康サポートセンターを建設、12月18日オープンしました。現在施設の半分のスペースを鍼灸院とし、大槌町在住のAMDA鍼灸師が毎月約100人程度の鍼灸治療を行っています。さらに施設の半分を、地域のつながりがバラバラに仮設に居住することとなった被災地域の人々が、地域の方々の交流の場として運営し、立ち寄ってお茶を飲んだりする、日常の交流の場となっていると同時に、「健康体操教室」「つるし雛教室」「茶道教室」などにも活用されており、3月末までにのべ638人以上の方が利用しています。


2.10 佐々木鍼灸師の治療

4.6 大槌健康サポートセンターでの郷土料理教室

教育支援

?AMDA国際奨学金の支給

2011年度には7校84名の奨学生に月額15,000円(年間18万円)を支給しました。ここで24名が卒業を迎えます。3月にさらに本事業へのご寄附額が加わり、卒業生を除いた奨学生支給額を上回ったことから、2012年度には対象となる奨学生を増やすことが決定しました。

 

?スポーツ交流事業

2011年8月には、大槌中学校、釜石中学校、志津川中学校の3校を岡山へ招聘して、岡山の中学生とともにサッカーやホームステイを通じて交流を深めました。2012年度は、AMDAがこれまでに緊急医療支援活動を実施した海外の地震被災地とのスポーツ交流を予定しています。

 

?絆コンサートの開催

多いときには1000人を超える避難者が滞在した岩手県立大槌高等学校(岩手県上閉伊郡大槌町)は、AMDAが緊急救援活動を行った拠点のひとつです。当時在校生のボランティア活動には目を見張るものがありました。昨年3月に広島と岡山からの文房具を贈呈し、大きな余震の続く中、広島の高校生4人が駆けつけました。1年後、その岩手県立大槌高等学校から吹奏楽部を広島、岡山に招へいし、吹奏楽交流として「絆コンサート」を開催しました。この1年で、AMDAを通じて、多くの支援者の方の善意が大槌町をはじめとする被災地に届きました。震災から約1年という節目の時期に、音楽を通じて感謝の気持ちを支援者の方へ直接贈る機会となりました。

 

?制服支援と副教材支援

岩手県立大槌高等学校の要請を受け、平成24年度の新入学生のうち、被災して制服の購入が困難である学生への制服購入資金の支援を行いました。また宮城県南三陸町立志津川中学校では、教科書以外に必要な副教材の各自購入(一人当たり約2万円)が被災者にとって負担であるという相談を受け、副教材に充当する支援金を中学校に贈呈しました。


大槌高校の被災した新入生のための制服支援を、
黒住教様、(株)山田養蜂場様、AMDA共同で行い、
3月19日来岡中の高橋校長先生に
支援金を贈呈しました

志津川中学校副教材支援金を
廣榮堂様よりいただきました

生活、自立支援

?被災地間相互交流支援

被災者にしか共有できない思いを分かち合うことで、復興、自立に向けての被災地間の絆形成を目標として、「被災地間相互交流事業」を支援しています。1回目として3月4日に、2回目として4月9日に大槌町(岩手県)、気仙沼市(宮城県)との交流が実現し、大きな成果が見られました。2回目実施の際には両市町の商店街が、今後ともさらに絆を深め、ともに復興に進んでいこうという思いを込めて、姉妹提携の協定を締結しました。今後も積極的に被災地の声を取り入れ、被災地間の相互交流を支援していく予定です。


3.4 大槌町から気仙沼に出向いた臼澤鹿子踊り

4.9 被災地間相互交流で協定調印
?震災ホームレス支援

東日本大震災から10か月が過ぎ、被災地では新たな問題として「震災ホームレス」が急増しています。そこでAMDAではカップ麺や、カイロ、簡易寝袋などを提供するなどの支援を行っています。

 

復興支援活動2年目に向けて 復興支援3か年計画

AMDAでは震災直後から、復興支援として震災から3年間被災地の支援を継続していくことを掲げています。震災から1年が過ぎ、被災地からのニーズは徐々に変化しています。復興支援においても、これまで同様AMDAの人道支援3原則:「誰でも人の役に立ちたい気持ちがある」「その気持ちの前に民族・宗教・年齢等の壁は無い」「援助を受ける側にもプライドがある」に沿い、AMDAならではの柔軟な復興支援活動を実施してまいります。これからもご支援よろしくお願いいたします。

 

WCRP日本委員会 篠原祥哲様からのメッセージ

AMDA様の健康サポートセンターが開設され、多くの大槌町の方々が足を運ばれていること、本当に素晴らしいことと思います。震災当初からの迅速な対応や行動の具体性、そして地元の住民のきめ細やかなサポートなど、その活動に感服しております。また、私たち、WCRP日本委員会の取り組みに対しても、献身的にご協力を頂いておりますこと、心から感動しております。私は、大槌町において、AMDA様の「真心」というものを、様々な活動を通して学ばせて頂いております。今後、WCRPもAMDA様とともに、震災復興に向けての道のりを共に歩ませて頂ければ有り難く存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
WCRP:世界宗教者平和会議