東日本大震災被災地支援に携わって(2012/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

東日本大震災被災地支援に携わって(2012/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

東日本大震災被災地支援に携わって

AMDA フィールドオフィサー 大政 朋子


12月に開所を迎えたAMDA人槌・健康サポートセンター
鍼灸室と地域のコミュニティ一サロンを併設

地元の看護師さんの雇用確保を11月から支援
冬季看護師派遣も実施中

タイ洪水被災者に対する緊急救援活動
被災者に生活支援物資を配る大政調整員

私が初めてAMDAの調整員として救援活動に参加したのは、3月11日の東日本大震災における緊急救援活動でした。震災当日、AMDAのメールマガジンで本部職員が被災地入りすることを知り、本部で手伝うことがないかを打診したところ、翌12日から被災地に向かって欲しいという返答がきました。すぐに派遣を決意したものの、当時、大学院生で被災地での活動経験もない私に何ができるのかという不安が重くのしかかってきました。結局、私の人生初の救援活動は、何もできないまま他の派遣者の方々に支えられた5日間で幕を閉じました。その後、東北でもう一度活動したいという思いから、4月にAMDA職員になり岩手県大槌町で約一ヶ月間緊急救援活動をし、5月から現在までは復興支援活動として毎月東北入りをしています。現在実施されている復興支援活動は、公立志津川病院への医師・看護師派遣および12月18日に開所した大槌町における健康サポートセンターの管理・運営です。

一方、海外における活動として10月と11月にタイ洪水緊急救援活動に行ってきました。タイでは、東日本大震災の緊急救援活動時に大槌町に駆け付け、私たちと一緒に活動したタイの医師と再会し、共に巡回診療および支援物資配布を実施しました。東日本大震災で助けて頂き、タイ洪水では私たちが支援に赴くという今回のこの活動は、まさしくAMDAが提唱する「相互扶助」という理念に基づいているものであったと実感しています。

震災から11か月経ち、変わりゆくニーズの中、被災地では衣食住に関わる基本的な問題などが未だ多く残っている地域もあります。仮設住宅での生活が始まった被災地は、交通の便の悪さ、寒さ、環境の変化などから、周囲の人との関わりを持つ機会が減り孤立していく危険を孕んでいます。見落とすことなくそれぞれの被災地のニーズに合った支援を把握し、被災地全体が元の生活に近づけるような支援を引き続き行っていきたいと考えています。

最後になりますが、2011年は私が最も多くの人と出会い学んだ一年でした。何もできない自分に悔やんだ最初の活動から現在に至るまで一貫して私を支えてきたのは、意識が高く笑顔で活動している素晴らしき派遣者の方々です。また私たちは、陰ながら支えてくださっている多くの支援者の方々の援助によって活動を行うことが出来ています。この場をお借りして、AMDAを支えてくださるすべての人に心より感謝いたします。