スリランカ復興支援スポーツ交流プロジェクトに参加して(2012/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

スリランカ復興支援スポーツ交流プロジェクトに参加して(2012/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

スリランカ復興支援スポーツ交流プロジェクト

 


スリランカスポーツ・芸術交流で中学生が猫いた絵
3つの民族の平和のイメージが描かれている

30年近く内戦の続いたスリランカで、201年9月24、25日に北部の都市アヌラダプラにて、タミル人、シンハラ人、イスラムタミル人の3つの異なる民族、宗教の10歳から14歳の4校の学生生徒が参加する、スリランカでは初となるスポーツや芸術を通しての交流事業を実施しました。総勢159人の学生が参加する大規模なもので、AMDA本部とAMDAスリランカ支が中心となり、スリランカの国語及び社会総合省(Ministry of National Languages and Social Integration)などの協力を得て開催が実現しました。社会人から看護学生となとりAMDAの活動にボランティアとして参加した佐藤康介さんの報告書から抜粋して紹介します。

スリランカ復興支援スポーツ交流プロジェクトに参加して

看護学生ボランティア 佐藤康介(川医療福祉大学 看護学科1年)


女子のスポーツ交流に参加した3グループの生徒たち

男子はサッカー交流

<AMDAでの活動履歴>
2011年9月21日〜27日 スリランカ
2011年9月 4日〜17日 宮城県南三陸町志津川

活動参加の経緯
四年間しかない大学生活を無駄にすることなく、将来を現実的に計画するためにも、いろんな事を経験したいと考えていました。もともと国際協力、災害支援活動に関心がありましたが実際に何をしたらいいのか、わかりませんでした。

大学講義の一環で東北大震災の募金活動をして、AMDAへ募金を届けに行った時に、「国際塾」のことを知り、応募しました。しかし、選考には外れてしまいました。しばらく考えた結果、いろんな思いで仕事をやめて、わざわざ大学に入学したのに、ここで落ち込んでいる場合でないと思い、無理は承知で、モンゴルに行けなくても、事前講義の参加を希望したところ、被災地のボランティア活動とスリランカ復興支援活動という、すばらしい機会を与えてもらいました。活動をするにあたって、不安は多くありましたが、私でも力になれるのであれば、なんでもしようという気持ちでいました。

被災者の声
「今までこんなことは、なかった」と言う声を現地の人からよく聞きました。宗教寺院の見学の時には、学校の先生が「厳格なイスリム人がモスクに他の宗教団体が入ることを許すことは今までなかった。これは意味のあることです」というふうに驚いていました。シンハラ人の先生は、帰り間際に、「各民族が、宗教を超えて一緒になってスポーツをしたことはとても意味がある。このような事をこれからも続けていきたい」という事を私たちに言っていました。ムスリムの先生方は、「AMDAに感謝している」と言ってAMDA職員とみんなの似顔絵が入った絵を即席で描いて持ってきてくれました。シンハラ人のサッカーコーチがボランティアで、言葉・文化の違うタミル人の子供たちのために身振り手振りでサッカーを教えていました。プロジェクト対して積極的な印象を受けました。

感想など
戦争が終わって、表向きは平和でも、人の考え方まで簡単に変わることもありません。だから、ときどき大人が、表で言っていることと、実際にやっていることが違うこともありました。部屋数が足りなかったり、垂れ幕の文字に誤字があったり、何もしてない子供が他の民族の大人に必要以上に怒鳴られたりと、トラブルは何度もありました。問題が重なると、思うようにいかない事の方が多いように、だんだんと思えてきました。しかし、プロジェクトが終わって、帰り間際に大人も子供も、それぞれの思いを彼らの方からぶつけて来たときに、プロジェクトの成功を感じることができました。このようなことを続けていくことが、現地の将来に繋がるのだと思いました。スリランカに行く前は東北の被災地にも行かせていただきました。全体を通して、思ったことは、人のために働く手段は、医療に限定されないということでした。医療もひとつのきっかけであり、人のためになる方法は、なんだってあります。相手個人のこと・宗教・文化・言葉・歴史を知ろうとすることが大切で、そういった事を無視して国内外の支援・理解もまず難しいと思います。

派遣期間中、楽しいことも辛いこともありました。問題が起きた時には、スタッフの方に激を入れてもらい、最後まで病気になることなく活動をやりきることができました。そして、帰国後は笑顔で皆様に迎えていただきました。期間は短くても、内容の濃い一ヶ月を送ることができました。本当に感謝しています。ありがとうございました。私は、この経験を思い出にするのではなく、将来につなげていきます。