ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 松本明子看護師(2011/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
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ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 松本明子看護師(2011/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 松本明子看護師


救世軍病院で現地スタッフに説明する松本看護師

派遣期間:2010年12月1〜20日(報告書から抜粋)

12月7日、大統領選・中間発表がある日にポルト―プランスをフォント・デ・ネガーへ向けて出発。選挙中間発表に対して暴動がハイチ各地で起こりはじめ、この周辺でも10日まで主要道路が町ごとで封鎖されるという状況であった。その上雨天であり、道路封鎖のため病院へアクセスができずコレラ感染拡大の可能性が高くなった。

12月11日から道路封鎖解除となりコレラ患者が次々と運ばれてきた。

12月14日、新入院患者が増え20人以上のコレラ患者を少数のスタッフでケアをしなければならなかった。

コレラ患者はコレラ専用ベッド(トイレがその場できるよう穴が開いているもの)で治療を受ける。症状は持続的な水様性下痢、嘔吐、腹痛である。治療は、脱水に対しての治療で最初の30分で1リットルの点滴を行い、その後も点滴を続けなくてはいけなくて、点滴の管理が大切である。家族が付き添うのが当たり前であり、排泄物の処理を行うのも家族である。二次感染を防ぐため、家族も医療者も使い捨ての手袋をつけ、消毒を常に行わなくてはいけない。家族への衛生教育指導も重要な仕事である。コレラ患者の中には、マラリアなど他の疾患を併発することがありそれらの治療にもあたった。コレラ患者病室での治療は、家族の協力を得て行われた。

病院を去る日(12月17日)に、やっとコレラ患者用のテント(コレラ治療センター/ユニット)設置の動きが見られ、今後は治療、消毒、衛生教育も十分に実施できることが期待できる。

フランス語を少ししか話せない私にとっては、コミュニケーションをとることが困難であった。さらにハイチはクレオール語(フランス語、スペイン語、現地語がミックスしたもの)を話すため、最低限のクレオール語を覚える必要性があった。最低限の言語で新入院患者や家族に説明を行うと、前からいた家族や患者たちが追加説明を行ってくれた。現地の人たちも、私たちとコミュニケーションを取ろうと努力していた。英語やスペイン語が少しできる人たちは英語やスペイン語で話しかけてきた。クレオール語だけで自分の意思を伝えようと身振りや行動で示していた。必要性があると人は自然と努力をするものだと実感した。また同じ目的を持っているとコミュニケーションが取り易いと実感した。アフリカの匂いがいっぱいのハイチをまた機会があれば訪れたいと思った。