ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 朴 範子医師(2011/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
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ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 朴 範子医師(2011/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

ハイチコレラ対応緊急医療活動報告 朴 範子医師


救世軍病院でコレラ患者を診る朴医師

派遣期間 2010年12月5〜20日(報告書より抜粋)

1)支援活動参加の経緯
2009年にネパール中西部山間地域で下痢疾患が蔓延した際の現地活動に参加したこと、2010年1月のハイチ地震の直後に支援活動に参加したことより、いずれの活動内容も今回の活動内容と重なる部分も多かったため経験が生かせるのではないかと思いました。

2)出発から帰国までの活動
12月6日 ハイチ ポルトープランス到着
7日 ニップ県フォンデネグ市へ移動。救世軍病院を見学。
8日 午前中はAkinの政府運営の総合病院のコレラ治療ユニットを見学。
午後は救世軍病院のコレラ患者隔離病棟で患者診療をサポート。
9日 下痢・嘔吐で死亡者が出たという近くの集落を訪問。
11〜15日 救世軍病院にてコレラ患者隔離病棟で患者診療。
16日 午前中は救世軍病院のコレラ患者隔離病棟で患者診療をサポート。午後はポルトープランスへの帰路につく。
17日 山本先生とともに、ポルトープランスのNGOのGHESKIOの運営するコレラ治療センターを見学。
18日 ポルトープランス出発。

3)気付き・反省点
言語でのコミュニケーションが困難であったこと、当初は現地の人のジェスチャーさえもよくわからなかったことが非常に困難でした。基本的な現地語のカードを作っていただき少しやりやすくなりました。英語以外の言語も少し使えるようになると役にたつと思いました。事前に現地語についても時間があれば調べておこうと思いました。

4)次回参加される医師や看護師への提言
患者さんの衛生観念などは日本とまったく異なり、医療施設の装備も日本のようには行きませんでしたが、コミュニケーションができればなんとかなりそうな気がしました。身体所見はとれるものの通訳してくれる方がいない場合、病歴聴取が非常に困難な場合は心配になることもありました。今回は日中だけのサポートで、すでにシステムの出来上がっている病院で手伝う、というスタイルでしたので、医療関係者とコミュニケーションできれば何とかなったようでした。

5)AMDAへの提言
準備や資金面で非常に大変なことであると認識しておりますが、今後も緊急医療支援を広く行っていただきたいと思います。今回のような組織だったサポートと医療以外の知識が必要な状況では、医療関係者が赴く、というだけでは限界があることもあると感じました。疫学の専門家、水道関係や下水関係、その他状況に応じた技術者の方も継続的に赴く機会があれば今後さらに活動の規模を広げるのに大きなサポートになるのではないかと感じました。大きな規模での派遣となりますと、資金、事前調査、資材や通訳を含めた人材の供給など、多くの面で困難なことも多いと思いますが、今後医療援助活動の拡大には必要になるのではないかと思いました。