インドネシア・メラピ火山噴火被災者緊急医療支援活動(2010/12発行ダイジェストNo.35掲載) – AMDA(アムダ)
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特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インドネシア・メラピ火山噴火被災者緊急医療支援活動(2010/12発行ダイジェストNo.35掲載)

インドネシア・メラピ火山噴火被災者緊急医療支援活動


噴火の続くメラピ火山と一面灰に覆われた被災地

噴火被災地での巡回診療風景

11月5日に発生したインドネシアジャワ島中部メラピ火山の大規模な噴火により、呼吸器疾患外来患者17,770人、避難者300,000人、死者168人(数字は11月9日付WHO情報)にのぼる被害が発生。初10月25日の噴火以降、政府は14目間の緊急フェーズを宣言していたが、緊急フェーズが終わる見通しは立っていない。BNPB(インドネシア国家対策局)によると、11月18日時点でも約30万人が火山噴火により避難生活を行っている。

AMDAでは、本部とインドネシア支部から医師、看護師等を派遣、18日から被災地マグラン県内で巡回診療活動および食糧等物資配給を実施しています。

石岡看護師からは、−メラピ山から15Km地点で景色が一変し、大量の火山灰が舞い、植物が枯れており灰色一色。政府はこの15km地点までを警戒地域と指定。この地域は地理的に山深いため貧困余儀ない様相。ジャワ島ではジャワ語しか話さない高齢者が多く、スラウェシ島マカッサルから来たAMDAインドネシア支部医師らにとっても通訳が必要となる場面が多い。今回の現地協力団体YKP*のトミリヤント氏や地元大学生らの通訳協力によりスムーズに診療している。-という報告が入っています。

【派遣者】
石岡来和 看護師・AMDA本部職員、米田 哲 小児科医師 タイ・メータオクリニック勤務、インドネシアスラウェシ島より麻酔料医師(男性)2人 両医師ともハサヌディン大学医学部付属病院動務、ハサメディン大学医学部女子学生1人、女性通訳1人。柳井彰人 通訳 ジャカルタ在住交換留学生

【診療患者状況】
18日から23日までで、男性194人、女性321人、計515人の患者を診療。呼吸器感染症、慢性疾患、胃炎、疲労の訴え(不定愁訴含む)などが多く見られた。場所によって、火山灰による眼痛や皮膚の掻痒感の訴え、下痢が多い。

【食糧及び生活物資支援】
マグラン県 デュクン村、グジワン村等巡回医療活動を実施した8村落で物資配給を22日実施。配布物資としては、毛布200枚、サルン(腰巻布;伝統衣装であり寒さ対策にも使用できる。被災地域は山間部で夜は冷える。)米800kg、砂糖200kg、塩20kg、ニンニク30kg、赤玉ねぎ60kg(インドネシア料理には赤玉ねぎが欠かせない。これが味の決め手になるという)、黒ケチャップ小袋(14ml)1152個、お茶150箱、油2L 30袋。食糧は8000人への1日分を賄う量に相当する。

【被災者の声】
・噴火後は砂と灰と雨が混ざった熱くて重い土砂が空から降って、木が折れ枯れてしまった。
・ここでは椰子から作る砂糖を売って生計を立てる人が多い。椰子がだめになり、収入がなくなった。
・メラピ山から4kmのところに住んでいるから家に1カ月以上戻れない。早く帰りたい。
・何もかも置いてきた。家畜も置いてきた。毎日行って様子を見ている。木々が枯れて何もないのでバナナの葉を家畜の餌にしている。
・国際NGOの中でインドネシアの医師が来てくれたのは初めて。そして食料配給も初めてなのでとてもうれしい。遠いところから来てくれてありがとう。-グジワン村長

*YKPスラカルタ インドネシア語でYayasan Krida Paramita Surakarta: YKPSurakarta 1989年設立 地域保健開発分野や生活向上のための事業の他幅広い分野で活動。