チリ地震発生後半年後(9月)の復興保健支援活動実施にむけて(2010/8発行ジャーナル8月夏号掲載) – AMDA(アムダ)
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チリ地震発生後半年後(9月)の復興保健支援活動実施にむけて(2010/8発行ジャーナル8月夏号掲載)

チリ地震発生後半年後(9月)の復興保健支援活動実施にむけて

―緊急救援派遣者大和看護師の6月度チリ被災地調査報告より―

チリ事業担当 石岡未和

震災後、3カ月半が経過したコンスティツシオンには、以前より多くの仮設住宅が建設されていた。

しかし、それらは全て木のプレハブ。現在も水道は無く、給水車で水が運ばれている。トイレは、仮設ポータブルトイレを共同使用し、3日に1度清掃員が回ってくる。シャワーは電気でお湯が出る仕組みだがトイレと一緒になっている。住宅内に炊事場はなく、自力で改造し室内に設置した人もいれば、ガス台がなく外で炭を使って調理している人もいた。震災直後に比べれば、生活環境は改善してきているが、決して良いといえるものではなかった。

仮設住宅生活によるストレス、今もなお続く余震の恐怖で、人々は震災直後よりも深く重く疲れていた。チリは、現在雨期である。秋から冬への気候変化もあり、仮設住宅での生活は厳しいはずだ。しかし、チリの人はこの雨が好きだそう。農作物が育ち、豊かで実りある大地をもたらしてくれる恵みの雨だからだ、と。

最後に、大和看護師が勇気づけられたという、1人の婦人の言葉を紹介したい。「必要なものは?なんていわれたら、毎日パンもお米も油も、砂糖も全部必要よ。でも本当に必要なのは、乗り越えようという前向きな気持ちだと思うの、エスペランサ(希望)よ」 この希望を届けられるように、これからもチリの人々と関わっていきたい。

*チリ地震被災地支援保健活動の継続で、6月10日から17日にかけて、AMDAのチリ地震緊急医療支援活動に参加した大和玲子看護師を、緊急医療・乳幼児支援プロジェクトを行った第7州マウレ、タルカとコンスティツシオンに再派遣した。

地震発生半年後に、9月18日のチリ国独立記念日に合わせて、復興支援保健活動を行う予定である。チリでは、独立記念日を家族や友人と盛大に祝う習慣がある。今年は独立200周年にあたり、震災で傷を負った人々もこの日を心待ちにしているのである。
 

2010年6月 被災地の模様


冬を迎えるチリ地震被災者仮設住宅

沿岸部津波被災地

津波避難サイン

倒れたままの高層ビル