静岡県・袋井市総合防災訓練(2009/10発行ジャーナル10月秋号掲載) – AMDA(アムダ)
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

静岡県・袋井市総合防災訓練(2009/10発行ジャーナル10月秋号掲載)

静岡県・袋井市総合防災訓練 

 


搬送されてくる模擬患者をトリアージするAMDA医師

 8月29日、東海地震を想定した静岡県総合防災訓練に参加しました。今年は、8月11日に最大震度6弱の地震が発生し、路面崩落のため高速道路が通行止めになるなど被害のあった袋井市で開催されました。AMDAは、98年から静岡県総合防災訓練に参加し、近年は、重症患者を航空機などで被災地外の医療機関に搬送する「広域医療搬送訓練」に参加してきました。今年は、地震発生後に設置される救護所に県外組織として応援に入り負傷者をトリアージする「救護所トリアージ訓練」に参加しました。

 

 救護所は、東海地震など大規模な地震発生直後、地域の診療所が閉鎖される替わりに、小学校や公民館に設置されます。運営は、主に地域の医師、看護師が担います。大災害発生時には、医療従事者の対応能力を超える多くの負傷者が発生します。そのような状況に対応するため、救護所では、負傷者を重症度や緊急度に応じて振り分け、治療に優先順位をつけるトリアージを実施し、重症患者や中等症患者を、医療設備の整った救護病院や県外災害拠点病院などに搬送するよう連携します。AMDAは、本訓練において、ドクターコマンダーを務めるなど救護所のリーダーとして静岡県看護協会と協力し、約1時間半の間に80人以上の模擬患者をトリアージする訓練に参加しました。

 

 AMDAは、これまで国内の大規模災害に対し、95年の阪神大震災では神戸市長田区に医療従事者を派遣し負傷者の診療にあたり、04年の中越地震・07年の中越沖地震では特別養護老人ホームなどに介護福祉士や看護師を派遣し施設応援をしてきました。本訓練では、救護所でのトリアージという国内災害の新たな活動に向け経験を蓄積することができました。袋井市には、救護所の運営の仕方等についてノウハウを提供し、模擬患者役を務めた市民に対しては、訓練後に実施した講習会を通じ救護所に来るまでの応急処置法や災害時に市民ができることについて啓発しました。今回は、連携協定を結んでいる岡山大学から医師3人、また、AMDAのERネットワークから医師2人、看護師2人とバランス良く参加があり、今後の活動に向けてネットワークの強化を図ることもできました。

 

 

【日時】2009年8月28日(活動準備打ち合わせ)、29日(訓練)
【訓練内容】救護所トリアージ訓練及び医療搬送訓練
【場所】  静岡県袋井市山名公民館
【参加者】
・寺戸通久医師(岡山大学医療教育統合開発センター/岡山大学病院救急科)
・多田圭太郎医師(岡山大学病院救急科)
・安井一貫医師(岡山大学病院)
・細村幹夫医師(埼玉県・医療法人康麗会 越谷誠和病院/ERネットワーク登録)
・袴田晃央医師(静岡県・磐田市立総合病院/ERネットワーク登録)
・鵜野明美看護師(京都府・医療法人医仁会 武田総合病院/ERネットワーク登録)
・生湯絵実子看護師(ERネットワーク登録)
・谷口敬一郎(本部職員)