AMDA社会開発機構 ベトナム事業(2009/4発行ジャーナル4月春号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDA社会開発機構 ベトナム事業(2009/4発行ジャーナル4月春号掲載)

多民族国家ベトナム

AMDA社会開発機構 ベトナム事業統括代行 梶田 未央


市場に集まるサンチー族の女性たち

 ベトナム社会主義共和国での活動は、緊急救援活動では1996年から、地域開発活動としては2002年から続き、現在は首都ハノイから約300km北上したバッカン省パクナム郡にて、山岳少数民族を対象とした「母子健康促進事業」を実施しています。今年で3年目を迎える本事業は、?女性を対象とした村落保健教育、?トイレ建設及び家畜糞のコンポスト設置を通じた環境衛生の向上、?地域保健医療サービスの向上、を軸に活動を行っています。
 一口にベトナム人と言ってもその内訳は多様で、人口の9割近くを占めるキン族を含め54の民族が暮らしている多民族国家です。山岳地帯であるパクナム郡では、キン族を見かけることはごく稀で、タイ族やモン族、ザオ族など6つの少数民族が暮らしています。それぞれの民族がそれぞれの言葉・習慣の中で生活しており、毎週開かれる市場に各民族の伝統衣装を着た人々が集う様子は大変美しいです。
 この地ではベトナム語(キン語)よりも人口の多数を占めるタイ族の話すタイ語が日常の共通語ですが、モン族やザオ族など他民族の村人の中にはベトナム語やタイ語を解さない、または理解できるがあまり得意ではない人も多いです。そのため日常の活動の中で、ハノイ出身の事業スタッフが話すベトナム語をパクナム郡出身のスタッフがタイ語に訳し、それを村人がザオ語やモン語などに訳すという、通訳のリレーが行われることもしばしばです。
こうした言葉の違いはあっても、彼らが生活を向上させたいと願う気持ちは同じなので、どの民族の人々も言語の壁に阻まれることなく恩恵を受けられるよう事業を進めていきたいと考えています。