中国四川省大地震被災者救援活動(2008/7発行ダイジェストNo.30掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

中国四川省大地震被災者救援活動(2008/7発行ダイジェストNo.30掲載)

中国四川省大地震被災者救援活動


TaiwanHAの顧問、菅波代表、部長、科長(右から)

仮設診療所で診療
(四川省綿陽市安県近郊)
 

 死者約7万人に上る大地震(5月12日発生)に対する緊急医療支援活動には、「中国語が話せることと中華人民共和国の医師免許」が求められました。
 幸いにも、AMDAには三つの可能性がありました。一つは1996年2月に発生した雲南省大震災緊急救援と四川省・青海省雪害緊急救援を実施した時の人間関係が、四川省成都市と徳陽市に残っていました。二つはAMDA台湾支部で、中国本土での医療ビジネスを展開するために中国の医師免許を持っていました。三つはAMDA上海の存在でした。最初のグループは5月14日、スーファン市の避難所となっていた体育館で、調整員1人・医師1人・看護師2人の4人のチームとして診療活動を開始。 二つ目のAMDA台湾グループは、5月15〜16日に成都空港に到着し、綿陽市の避難キャンプでの仮設診療、四川大学西華病院や四川中医薬大学付属病院で、骨折や打撲の整形外科手術や被災者の精神的後遺症の治療を実施。合計11人の医師と8人の看護師を派遣しました。雲南省大震災緊急救援にも参加していただいた汪達紘医師(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学教室助教)を派遣することにより、被災地での調整能力が増強しました。
 5月14日から6月30日で、2,289人の外科診察を行ない、535人が心理カウンセリングに参加しました。三つ目のAMDA上海グループには、最後まで救援活動の機会が来なかったのは残念でした。
 中国政府は海外からの救援医療チームには厳しい対応でした。2007年9月に締結した台湾の「私立病院・診療所協会」とAMDA本部との災害相互支援協定により、同協会から中国の医師免許を持つ多数の医師と看護師が派遣されたのは幸いでした。
 菅波茂AMDAグループ代表らが、7月15・16日台北を訪問、台湾の外務省や保健省の職員で構成される台湾国際医衛行動團隊(Taiwan International Health Action: TaiwanIHA)を表敬し、顧問や副会長、国際協力部長、国際協力部科長と対談しました。TaiwanIHAは、AMDAの緊急救援活動を高く評価し、今後の緊急医療チーム派遣を念頭に、両者間で災害相互支援協定を結ぶことが決定しました。協定により、台湾の私立医療機関だけでなく、政府系医療機関からも医療従事者を招集することが可能になります。
今後の予定として、日中青年交流協会との連携によるチベット住民被災地区での巡回診療、四川省中医薬科学院との協定による皮膚病治療の共同研究、金光教平和センターとの生活物資支援を検討しています。皆様方の暖かいご理解とご支援をお願いします。

感謝状

 AMDA 殿
 2008年5月12日、我が省の汶川で8.0級の強烈な地震が発生しました。
 一瞬の間に生命が失われ、家庭も破壊されました。この災害は党中央、国務院と全国人民の心を揺さぶりました。“一方に難あれば八方で(皆で)支援する”地震にめげず負傷者を治療する肝要な時にあって、貴会には被災地域の人民を憂い、直ちに汪達宏、王偉勳、王智仁、鐘金鳳、洪春金の5人の同志を弊院に派遣くだされ、被災地の負傷者治療活動に参加いただきました。ここに弊院すべての職員から、先生方の深淵なる医術に対し崇高なる敬意を表します。
 災害に情けはありませんが、人には情けがあります。厚い愛には私心はなく、国境もありません。先生方は、すべて被災地人民のために、すべて被災地の傷病者に尽くすという精神に基づいて、旅具を置くやいなや直ちに被災地の患者治療に没頭して行かれました。10日の間、先生方は苦難を恐れず、疲れを厭わず、病棟内で食し、泊り、上下の別なく、週末もなく、手術を施し、心のケアに当り、感染症予防に尽くされるなど、幅広く災害傷病者の救済治療に参加されました。
 先生方チームは規律厳正で、病院の規定に従い、真剣に職責を全うされ、全身全霊をもって傷病者を診られ、被災地傷病者とその家族すべてから好評を博しました。先生方の注意深い一糸乱れぬ施療の在り方と被災地人民に対する滅私貢献の精神は弊院幹部と他の病院関係者に深い印象を刻み込み、学ぶべき規範を樹立しました。
 先生方の根気強さ・綿密さ、念には念を入れる施療態度、辛苦多忙を辞さない姿、患者に対する身内同然の細心の看護、小さな宿舎に泊りながら大勢のための無私奉仕は、被災地患者から好評を得たばかりか、弊院全職員の学習見本であります。先生方の被災地人民に対する無限の愛、死に瀕する者を救い負傷者を手当てするという精髄を正に目の当たりにし、その崇高なる医徳、隔てなき大きな愛の精神を、被災地人民は忘れ得ませんし、四川省人民も忘れさることはできません。

四川省中西医結合医院
2008年6月10日

感謝状(pdf)