AMDAのプロジェクト一覧(2007/4発行ジャーナル4月春号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDAのプロジェクト一覧(2007/4発行ジャーナル4月春号掲載)

AMDAのプロジェクト一覧

2006年度に実施した中・長期プロジェクトを紹介します
 
インドネシア・アチェ
 
 2004年12月26日のスマトラ沖大地震・津波の緊急医療救援活動に続き、被災地にて翌2005年5月よりアチェ津波復興支援活動を継続している。特に、巡回診療と仮設集団避難所で暮らす子どもたちに対する社会教育活動に力を注いできた。
2007年3月、日本国外務省の日本NGO支援無償資金協力の採択が決定し、バンダ・アチェでは津波被災児童のための心のケア支援プロジェクトとして、 南アチェ県では心と体のケアを通じたコミュニティ復興支援事業として、より長期的な視野に立った事業の自立性、持続性を目指した活動を展開していくことと なる。
インドネシア・ニアス島
 
 2005 年3月の震災後、2005年9月からUNHCR(国連難民弁務官事務所)からの委託業務として、2007年1月までに245軒の仮設住宅を建設し、生活環 境の復旧支援を行った。その事業過程で判明したニアス島内全域の劣悪な保健衛生環境を改善するべく2007年2月現在、日本NGO支援無償資金協力での事 業申請を行っているところである。この事業では島内12村と小学校12校を対象に保健衛生教育・啓蒙活動を実施しながら、衛生環境を改善するためのトイレ など施設の建設とあわせて当地で蔓延するマラリア疾患への対策として、蚊帳の配布も行う予定としている。
カンボジア
 
 2007 年3月まで、フェリシモ地球村の基金や公益信託アドラ国際援助基金からの支援により、特に女性と青少年層を対象としたHIV/エイズ予防啓発活動を行って きた。また、日本国際協力財団からの支援により、コンポンスプー州プノムスルイ地区での保健ボランティアの能力向上と地域保健活動促進を支援した。
スリランカ
   2004 年5月から2006年6月までJICA(独立行政法人国際協力機構)草の根技術協力事業(草の根パートナー型)としてワウニア県基礎保健サービス復興支援 事業を行った。20年に及ぶ内戦の影響は大きく、医療施設は破壊され、人材難であった地域の助産施設の機能回復など母子保健サービスの拡充のために、施設 建設、医療機材供与とあわせて医療従事者の育成を支援した。
スリランカ北部キリノッチ(タミル人地域・ヒンズー教徒)、南部カルタラ・ハンバントタ(シンハラ人地域・仏教徒)、東部トリンコマリ(イスラム教徒多 数地域)で、民族宗教を越えて同時的に巡回健康教育・人材育成など行ってきたスリランカ医療和平事業は、2006年7月に終了した。
ネパール
 
  ネパール西部ブトワール市で1998年から産科小児科専門病院を、東部のダマック市では政府に認可された一般総合病院を1992年から運営している。他に もブータン難民キャンプでの保健教育事業やヒロ・モリ奨学金、篠原奨学基金などを通じて医療保健人材の育成支援、さらにエイズや性感染症の予防教育活動を 展開し、ネパールの人々への支援を続けている。
バングラデシュ
 
  首都ダッカ郊外の農村ガザリア郡にてマイクロクレジットと保健医療、職業訓練を組み合わせた農村総合開発事業を1999年から実施している。マイクロクレ ジットの受益者である農村の貧困世帯の女性が、クリニックを中心とした医療、及びフィールドでの保健衛生教育、訓練所での職業訓練等を受けて、生活を改善 することができるよう支援している。
ベトナム
 
  バッカン省パクナム郡における母子健康促進事業として、2005年10月より日本NGO支援無償資金協力の支援により、特に母子の健康が維持促進されるこ とを目標に、北部山岳地帯の4コミューンでの村レベルの地域母子保健活動の推進と公的医療施設における保健医療サービスの向上を通じて活動を展開してい る。さらに、2006年4月には国際協力銀行(JBIC)の「NGO連携基金」の支援を得た。国際協力銀行、バッカン省保健局ら現地カウンターパートと共 にパクナム郡立病院機能強化事業として、手術室の機能強化を担当しており、医療機材の供与ならびに麻酔科医育成研修を実施することになっている。
ミャンマー
 
  中央乾燥地帯に位置するメッティラ、ニャンウー、パコクの3県では、2002年7月から3年間、JICAと連携した開発パートナー事業として、母子の健康 増進を目的とした包括的なプライマリーヘルスケアプロジェクトを実施してきた。現在もそのフォローアップ事業を展開している。住民の健康増進への意識の向 上と活動の持続性を確保することを念頭に、地域医療従事者と住民の協働または住民の自主運営による保健医療サービスの提供を支援している。また母子参加型 の栄養改善支援、緊急及び重症患者の搬送体制構築、保健衛生教育、コミュニティ保健基金の設置による医療費支援などを行っている。
このたび日本NGO支援無償資金協力の採択を受け、2007年2月よりニャンウー県パコク県における基礎保健サービス向上支援事業を開始した。両県内 3ヶ所の地域保健センターの改築と建設を行う。また、適切な基礎保健サービスの提供を目指して、安定した電力供給がない同地域にソーラー電力による予防接 種ワクチン保冷庫や蓄電システムを、あわせて緊急時の搬送体制を整えるためにトラクターを供与する。
中国国境に接したミャンマー国東北部の北シャン州コーカン特別地区では、2004年7月より世界食糧計画(WFP)と連携して、妊娠・授乳期の母親と3 歳以下の子供の栄養改善を目的とした補助栄養食の配給と医療従事者による保健指導及び保健衛生や栄養に関する講習を行っている。また食糧配給と並行して子 供の就学率向上支援、技術訓練、保健知識向上のためのトレーニングを行っている。
またメッティラ県の30村では、1998年以来、女性の所得向上と自立を促すために小規模融資(マイクロクレジット)を実施している。単なる融資だけで なく、「保健教育」「健康保健基金」「貯蓄」さらには識字教育をも取り入れた画期的な事業内容となっている。

 他にも、ミャンマー県立総合病院小児病棟運営支援プロジェクトを1998年より継続しているが、現在は株式会社サンマルク各店の募金箱への寄付金などにより、小児病棟入院患者への食事提供支援や病棟への電力供給支援を行っている。
ホンジュラス
 
 2000 年よりAMDA鎌倉クラブなどの支援を受け、さらに2004年からは国際ボランティア貯金の支援も受け、青少年育成・エイズ予防教育プロジェクトとして、 首都テグシガルパ市の小中学校の生徒、地域の青少年を対象に、その健全な成長を促すべくエイズ予防啓発を行う形のワークショップを実施している。
2005年8月からは世界エイズ・結核・マラリア対策基金事業において、当地の15団体による青少年、セックスワーカー、囚人対象のエイズ予防啓発活動 の運営管理を行っている。2007年3月からは同国38市のマラリア対策委員会の運営管理も行う予定である。
また、ニカラグア国境近くの農村地域であるエルパライソ県トロへス市の20村では、2001年から地域住民の中からヘルスボランティアを育成し、彼ら自 身が薬局を運営し、低価格で薬品を販売するシステムを支援している。また同市では妊娠適齢期女性及び伝統的助産婦育成プロジェクト(2005年4月 〜2006年8月)として、在ホンジュラス日本国大使館の草の根・人間の安全保障無償資金協力によりリプロダクティブヘルス教育や人材育成を行った。これ ら事業の経験を活かして、2007年度よりJICA草の根技術協力事業(草の根パートナー型)としてエルパライソ県の母子保健向上を目指し、同県5市にお いて、母子保健医療従事者、伝統的助産婦(TBA)とヘルスボランティアの育成、機材の整備、レファラルの強化を支援する予定である。

ペルー
 
 2006 年より味の素「食と健康」国際協力支援プログラムの支援を受け、栄養・母子保健に関する住民のエンパワーメント支援事業を実施している。首都リマ市の貧困 地域カラバイヨ地区において、栄養・母子保健に関する地域住民(特に若年層)のエンパワーメントを目指し、ヘルス保健プロモーターの育成や保健教育、そし て周産期女性や母親を中心とした住民グループの形成を支援している。ペルー味の素社とも連携し、これまでに20名の保健プロモーターを育成し、彼ら自身が 栄養・母子保健教育を実施している。
またAMDA沖縄が主体となり、JICA草の根技術協力事業(草の根協力支援型)としてリマ市貧困地域における青少年のHIV/AIDS予防事業を2007年度から実施する予定である。
ボリビア
 
 1998年より救急救命医(士)研修プログラムとして、一般医対象の外傷に対する初期治療の向上を図る(ATLS:Advanced Trauma Life Support)研修コースを、さらに2001年より救急車の同乗員、消防士、警察官、一般市民などを対象に事故現場での外傷患者の固定・搬出方法などを学ぶPHTLS (Pre Hospital Trauma Life Support)コースを実施している。
ケニア
 
 2001 年よりナイロビのキベラスラムで、VCT(自主的カウンセリングとHIV検査)センターを運営している。国家資格を持つVCTカウンセラーが常駐し、15 分で結果が出る簡易検査キットを使用するHIV検査と、精神的な負担を和らげるためのカウンセリングを実施している。
またケニアでは近年、公立小学校教育費が無償化されたにもかかわらず、小学校に児童が殺到し、施設数の不足から入学を希望する児童の全ては受け入れられ ない状況にある。日本NGO支援無償資金協力を得てキベラスラムの約1,800名もの児童たちが通うトイ公立小学校で不足する教室とトイレなど衛生施設の 増築事業と、児童、教師、保護者を対象とした保健環境衛生教育を実施している。
ザンビア
 
 2005 年7月よりJICA草の根技術協力事業(草の根パートナー型)ルサカ市非計画居住地区結核対策プロジェクトとして、昨今その蔓延が問題化しているエイズと の関係が深い結核の治療効果を上げるため、ルサカ市にあるジョージ、カニヤマの2地区でルサカ郡保健局をカウンターパートとして、地域ボランティアである 結核治療サポーターを養成し、患者の家庭訪問や保健教育・啓蒙活動を通して結核患者とその家族を支援すると共に住民の意識の向上に努めている。一方、 1998年よりジョージ地区では、保健省から提供されている土地で農園、コミュニティ・スクールおよび職業訓練、そしてユース・レクリエーション・セン ターを運営している。このほど則岡ファンドの支援を得て、家賃収入の見込める住宅建設にとりかかるなど、自立発展性の高い小規模開発モデルとなるべく事業 展開を図っている。
ジブチ
 
 UNHCR の実施パートナーとして、ソマリア、エチオピア難民を支援するための保健医療分野の活動を1992年以来継続している。診療所での医師による診療のほか、 近郊都市の病院への転送、母子保健、予防接種、WFP・UNICEFとの連携で栄養改善プログラム、保健衛生教育、HIV/AIDS予防教育およびカウン セリング、環境衛生の推進(トイレ建設、環境美化運動)などの活動を行っている。
他に「アフリカに毛布を送る運動」からの提供を受けて、難民やジブチ各地の貧困層に対して1994年から毛布の配布を行っている。