連載インタビュー「支える喜び」シリーズ第39回 諏訪中央病院統括院長 今井 拓先生 – AMDA(アムダ)
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連載インタビュー「支える喜び」シリーズ第39回 諏訪中央病院統括院長 今井 拓先生

連載インタビュー「支える喜び」シリーズ第39回 諏訪中央病院統括院長 今井 拓先生

AMDAを支えてくださっている方々の様々なエピソードをインタビュー形式でお届けします。今回は、長野県にある諏訪中央病院統括院長の今井拓先生です。(聞き手:AMDA副理事長 難波 妙)
 

AMDA

 長野県の茅野市にある諏訪中央病院とAMDAは2019年2月に南海トラフなどの大規模災害に備えた連携協力協定を結んでいます。2018年7月、西日本豪雨災害の際に、当時の名誉院長、鎌田實先生がAMDAの支援活動先を訪問してくださったことがきっかけです。これまで、長野市内の台風洪水被害者支援活動などでAMDAとともに活動をしています。今年元旦に発生した能登半島地震でも被災者支援活動に諏訪中央病院や周辺の病院から延べ16人もの医療者を派遣していただきました。発災直後に職員を派遣するのはかなり難しい判断だったのではないでしょうか?
 

今井

 1月1日、私は院内にいました。諏訪も震度4の揺れでした。能登半島での大きな被害が徐々に明らかになり、多くの職員から何か支援ができないかとの声があがりました。3日に、諏訪中央病院と関係があった被災地域の病院の物資支援を計画したところ、AMDAからも支援要請があり、第一陣を出すことを決断しました。
 

AMDA

 諏訪中央病院では、なぜ、皆が人の役に立ちたいと思うのでしょうか。その考えが根付いている理由とは?
 

今井

 私の父が鎌田先生の前に院長をやっていました。私の父と仲間5人ぐらいが自分たちの地域医療を自由に実践したいと茅野市に移住し、そこに鎌田先生も合流されて、諏訪中央病院を大きくしたという経緯があります。諏訪中央病院は大学の関連病院ではありませんが、全国から誰かの役に立ちたいという志を持った医療者が集まる病院となりました。東日本大震災にも熊本地震にも支援に行きました。諏訪中央病院で一緒に働いた仲間が全国にいるわけですから、仲間がいるところで災害が起これば駆けつけるという想いは皆持っていると思います。
 

AMDA

 そのような深い想いが今回の能登半島地震の派遣にもつながったのですね。
 

今井

 今回は災害直後から支援をしたいと希望する人が多かったのですが、諏訪中央病院としては、冬の一番忙しい時期だったので、看護師の業務調整など難しい面もありました。しかし、医師、看護師、臨床工学技士に加え、リハビリ科からリハビリも必要と希望があり、病院全体が一丸となった派遣を行いました。
 

AMDA

 輪島中学校で800人近くを診療することができたのは、諏訪中央病院からの医療者派遣のおかげです。
 

今井

 派遣した職員の感想を聞き、今回派遣してよかったと思っています。病院としても個人としてもボランティア精神を深めていくということがうちの病院の良さだと思います。AMDAの経験がある医師と一緒に活動したことで影響を受けた医師もいました。「『何かをやろうとしすぎず、そこで必要なことを医療に限らず行う』という教えをいただき、心穏やかに活動ができた」という報告がありました。AMDAと一緒に活動できた財産だと言っていました。多くの職員がこの経験を今後も活かしてくれることを期待しています。ありがとうございました。