第2回 黒住 宗道様 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

第2回 黒住 宗道様

連載インタビュー 「支える喜び」シリーズ

第2回 黒住 宗道様

(黒住教副教主)

AMDAを支えてくださっているご支援者の皆様に、インタビュー形式で様々なエピソードをお話いただいています。
第2回目となった今回は、AMDA発足以前から親子2代にわたり、宗教者のお立場からAMDAを支えてくださっている 黒住教副教主 黒住宗道様にお話をお聞きしました。

AMDAとの出会い 医療と宗教のコラボレーション

AMDA:
AMDAとの「ご縁」は、AMDA設立前に遡ると聞いておりますが・・・。
黒住:
AMDAグループの菅波代表と黒住教教主の黒住宗晴との出会いは、1981年です。
その後1984年にAMDAが設立されるわけですが、当時まだ学生であった私は、1988年に留学先の英国から帰国して、 まずは挨拶まわりのために全国の支部を巡拝するなど、教団内の活動に終始していました。
AMDAとの実質的な出会いは、1993年に岡山市で開催された「国際シンポジウム・林原フォーラム」です。
人道支援に「医療」だけでなく「宗教」の視点が入ったシンポジウムで、この中で分科会のコーディネーターをつとめさせていただきました。

世界で活動する上で、必要不可欠な「宗教」への意識

AMDA:
「アジア多国籍医師団」の設立の機会ともなった会議ですね。
ここから「医療」と「宗教」のコラボレーションがスタートして、今のAMDAの活動にも継承されています。
黒住:
どうしても、日本では「宗教」というと、遠い存在に感じる方が多いと思います。
しかし、初詣、お墓参りなど、「宗教」と意識しないだけで、「文化」として、しっかり根付いています。
海外では、もっと顕著に「宗教」が人々の生活の基本であることが分かります。
海外の文化を知る上で、その国の「宗教」を知ることは必要不可欠です。

宗教・宗派を超えたネットワーク 祈りに基づく行動

AMDA:
確かに。私たちが災害支援を行う場合でも、宗教に関する情報は非常に重要です。「宗教」が「紛争」の引き金になることもありますよね。
それを考えると、黒住先生が事務局長をなさっているRNNは世界的に見ても非常にユニークな取り組みですよね。
黒住:
そうかもしれません。
RNN(人道援助宗教NGOネットワーク)は、宗教・宗派を超えた有志の団体で、現在12の宗派・教団が協力してくださっています。
「祈りに基づく行動と、行動を伴う祈り」を共通の理念として活動を行っています。
この設立のきっかけとなったのは1996年2月に発生した中国雲南省大地震の際に、AMDAの要請を受けた岡山県内の宗教者及び信仰者が共に行動したことでした。
「ただ手を合わせて祈るだけではなく、行動を共にして後押ししたい」。
それぞれの思いが重なって、その後開催された「第3回おかやま国際貢献NGOサミット」で、現在のRNNが形作られました。
宗教・宗派などのルールにとらわれず、それぞれが「祈りと行動」を共にできるような「共通のテーブル」のようなイメージでしょうか・・・。

 

AMDA「医療と魂のプログラム」 救えなかった命を弔う「宗教」

AMDA:
まさに「多様性の共存」ですね。
その他にも、これまで黒住先生には、スマトラ沖地震津波など、被災地での「医療と魂のプログラム」(ASMP)に参加していただいています。
宗教者の方でなくてはできない支援の形ですね。
黒住:
東日本大震災直後、RNNのメンバーがAMDA調整員として被災地を訪れた時に、災害時における宗教者の役割である「救えなかった命を弔う」「祈りを通して遺族の方が癒される」ことを改めて実感しました。
しかしながら、「宗教者」というひとくくりで被災地を訪れ、自分達だけで慰霊を行うことは、場合によっては自己満足のパフォーマンスになりかねません。
亡くなった方々の魂を弔い、残された人々に安らぎを与えることが目的ですから、地元の宗教者による祈りの場に「祈り添え」をさせていただくという気持ちが、ASMPには必要だと思います。
それと同じように、AMDAという組織に対しても、「寄り添っていく者」として、これまでと変わらない「普遍性」を持った組織づくりや活動をお願いしたいと考えています。
AMDA:
今日のお話を心に留めて、活動を続けて参ります。
本当にありがとうございました。