第4回 片岡聡一様 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

第4回 片岡聡一様

連載インタビュー 「支える喜び」シリーズ

第4回 片岡 聡一様(総社市 市長)

AMDAジャーナル2014年夏号から連載をスタートさせたインタビューシリーズ「支える喜び」。
AMDAを支えてくださっているご支援者の皆様に、インタビュー形式で様々なエピソードをお話し頂いています。

2015年度最初のインタビューは、「多文化共生」に積極的に取り組まれ「大規模災害被災地支援に関する条例」の制定など、日本に先駆けて様々な先駆的取り組みをされている自治体・岡山県総社市の片岡聡一市長にお話をお聞きしました。

真の多文化共生に向けて 「AMDA」との出会い

AMDA:
本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございます。まずはAMDAとの出会いをお聞かせください。
片岡:
倉敷出身で同じ青山学院大学の大先輩であり恩師でもある泰緬鉄道の永瀬隆氏から、「面白いヤツがいるから」と紹介されたのが若き日の菅波先生でした。
当時、菅波先生がおっしゃられていた「西のジュネ―ブ、東の岡山」という言葉。
初めて聞いたときは驚きました。
しかし、故・橋本龍太郎総理大臣の秘書官として、大臣とともに世界を飛び回りデンバーやバーミンガムでのサミットを経験。
世界のトップの方々の物の見方考え方などに触れることを経て、この言葉に現実味を感じるようになりましたね。

時はめぐる 人間は会うべくして会っている

片岡:
1998年、橋本総理に同行した日伯首脳会談の際、ブラジルのカルドーゾ大統領に同行した政府団の中に、後に駐日大使となられたカストロ・ネーベス氏がいらっしゃいました。
ネーベス氏が日本大使として来日されたのと時を同じくして、私も総社市長となりました。
総社には在日ブラジル人の方が非常に多いということで、政策の一つに「真の多文化共生」を掲げました。
鎖国、出島のような外交手段をしてきた日本にとって、「真の多文化共生」には非常に抵抗があるように感じます。
しかし、総社市の取り組みによって、総社市民とブラジル移民の方々が成功事例を作ることができれば、それが一つのメッセージになるのではないかと考えました。
AMDAが持っている「国連経済社会理事会総合協議資格」を以って、この成功事例をNYの国連本部に政策提言できるのではないか。
そんな話を菅波先生と話していました。
2009年にAMDAグループと総社市が「多文化共生に関する協定」を締結し、改めてAMDAと市長との関係がスタートしました。
2010年3月にはネーベス氏を総社にお招きし「多文化共生の在り方について考える記念フォーラム」を開催しました。
こうして見ると「時はめぐるし、人間は会うべくして会っている」と感じますね。

大規模災害被災地支援 に関する条例の制定

AMDA:
ユニークな取り組みの一つとして2013年12月に可決された「大規模災害被災地支援に関する条例」がありますね。
片岡:
秘書官時代、南米などで日本のODAで建設した病院を見学する機会がありました。
日本のODAが、現地の困っている方々を救っており、大きな感謝の気持ちが寄せられていることがわかりました。
しかしながら、日本人としてそれを知っている人はあまり多くありません。
国家予算におけるODA予算を「無駄だ」だという声も聞きますが、決して無駄ではありません。
「大規模災害被災地支援に関する条例」は自治体の枠を超えて、困っているところがあれば支援に行くという、まさに市町村型のODAと考えられるのではないかと感じています。
地域の方々が「困った人を見捨てない」「困った人に手を差し伸べる」ということを当然のように受入れ、その大人たちの姿を、子どもたちが見て育っていくのです。
AMDA:
自治体を超えた「相互扶助」の精神が、世代を超えた「相互扶助」につながっていきますね。

経験に基づく直感 これからもAMDAとともに

AMDA:
総社市が進めておられるユニークな政策はどこから発案されるものなのでしょうか?
片岡:
私は、即時に決められないことは、100年かかっても決められないと思っています。
菅波先生も逡巡されないですよね。
僕もそうなんです。
「経験」に基づく「直感」。
実際、私が市長1年目の時より、今の方が判断が早くなっていると実感しています。
秘書官時代から培ってきた世界観を持ちながら、現在の総社市長に臨めていることは、大きな意味のあることだと感じています。
菅波先生がAMDAでの30年以上の活動を通じて培ってこられた「直感」とともに、これからも総社市民とともに、困っている被災地のみなさんの支援を実施したいと思います。
南海トラフなど今後起こりうる大災害に備えても具体的なイメージを持って、「想定外を想定内に」「想定外」という言葉を使わなくて済むように、準備していきたいと思います。
AMDA:
心強いメッセージをありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いします。