「善意の絆・相互扶助」【Vol.20】岡山県商工会青年部連合会長 石井 浩二様 – AMDA(アムダ)
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「善意の絆・相互扶助」【Vol.20】岡山県商工会青年部連合会長 石井 浩二様


岡山県内の20商工会青年部で組織する「岡山県商工会青年部連合会」(岡山市北区弓之町、岡山県商工会連合会内)。「社会一般の福祉の増進」「新しいまちづくりの原動力となる」などを活動理念として、社会貢献に尽力されています。特に西日本豪雨での青年部員の活躍ぶりは目を見張るものがありました。部員836人(2018年9月末現在)のリーダーとして活躍される石井浩二会長に青年部の在り方、人生観などを伺いました。

AMDA

2018年7月7日未明に発生した西日本豪雨。被害が集中した倉敷市真備町などで素早く支援に乗り出されました。

石井会長

まずは、親会である岡山県商工会連合会が、被災から2日目の7月9日、同連合会に「災害対策本部」を立ち上げ、被害状況の把握や支援方法の検討を行いました。
そして、青年部連合会では、親会と連携しつつ、青年部員としての行動力を生かして、浸水した真備船穂商工会の片づけに取り掛かり、被災から5日目の7月12日、同商工会に「現地災害対策本部」を立ち上げました。真備町の部員25人のうち22人が被災。けが人はいませんでしたが、家財道具の撤去や泥のかき出しなど8月3日まで集中的に取り組みました。作業はその後も続け、延べ1000人の青年部員や商工会職員等が活動しました。「仲間を放ってはおけない」と県内の商工会議所や中小企業団体中央会、近県の商工会青年部、一般のボランティアらも駆けつけて頂きました。感謝の気持ちでいっぱいです。

AMDA

被害が甚大であった真備町を中心に、延べ131事業所を巡回され、支援活動に取り組まれたと伺っています。

石井会長

会員から「被災した時はもう事業はやめようと考えたが、商工会の会員の励ましに勇気づけられた」「商工会の“強い絆”をあらためて感じた」と聞かされた時は、胸にぐっと迫るものがありました。

AMDA

その後の復興状況は如何でしょうか。

 

石井会長

プレハブを借りるなどしての仮復旧は6〜7割程度。飲食や小売りなどのサービス業は避難した住民が帰って来ないと店舗の再開が難しく、被災前の状況に戻るのは見通せないのが実情です。しかし、事業所を再開するのが地域の復興を加速させると信じて頑張っています。

AMDA

息の長い支援となりそうですね。

石井会長

独自の取り組みとしてチャリティーTシャツの販売をしました。玉島商工会議所が開催する復興支援チャリティーフェスにも一緒に取り組みました。各地域がイベント等で盛り上がり、復興が進展することを願っています。

AMDA

岡山県商工会青年部連合会の沿革、活動内容などを教えてください。

石井会長

1967年3月に設立。全国規模の取り組みとしては災害対応体制づくりの一環として、部員1人当たり一口100円以上を目標とした「100円玉募金」を実施。商工会の日(6月10日)に合わせて清掃活動や献血など社会貢献活動を行っています。また、自主運営として地域学童ソフトボール交歓大会も続けています。昨年で29回目を迎えました。

AMDA

活動の悩みや課題があれば聞かせてください。

石井会長

青年部の加入条件として、定年を「40歳以下」から「45歳以下」に引き上げましたが、今後、部員が減少する心配があります。女性部員も4年前から加入していますが、総数は10人以下。組織活性化のためにも、もっと増えてほしいですね。

AMDA

国際医療ボランティアのAMDAについての率直な感想、提言があれば、お聞かせください。

石井会長

海外に支援に行かれる際、とてもスピーディーな行動に感心しています。この素晴らしい組織と連携していきたいと考えています。

AMDA

ありがとうございます。心強いパートナーとして、一緒に活動したいですね。ところで、
石井会長は26歳の時、ダンプカー1台で建設業を立ち上げられたと伺っています。今では従業員13人を雇用されています。

石井会長

当時は先が見通せず、苦労の連続。徹夜したり、身体もボロボロでした。32歳で脳卒中を患い、何でも自分が一人で頑張るのではなく、みんなに頼り、感謝の気持ちで臨もうと考えると気が楽になりました。人生の大きな転機でした。

AMDA

座右の銘は「温故知新」ですね。

石井会長

先人の教えに学び、未来を切り開いていくという教えです。自分の思いは浅はかなものです。それに気づいて、両親や年上の人の話には良く耳を傾けるようになりました。少しは謙虚になれたのでしょうか。

AMDA

最後に、青年部の在り方について考えを聞かせてください。

石井会長

部員の皆さんが自分の住んでいる地域を好きになり、地域のために役立つ活動をすることが私たちの使命だと考えています。

(聞き手・広報担当参与 今井康人)