西日本豪雨の被災者に対し、鍼灸学科の教員が総出で治療してくださった朝日医療大学校(岡山市北区奉還町)。自らも8日間にわたって現場で活動された山口大輔副学校長に被災地への思い、今後の鍼灸治療の在り方についてお伺いしました。
AMDA
7月18日から23日間、連日のように教員7人が交代で災害鍼灸に取り組まれました。活動場所は避難所となった倉敷市真備町の岡田小学校。治療室は冷房施設の不備で蒸し暑い中、汗だくになりながら頑張って頂きました。本当にありがとうございました。
山口
患者さんは当初、肉体的な疲労を訴えられましたが、次第に「眠りが浅い」「食欲がない」などストレスによる要因が増えていきました。
AMDA
避難所ではいつも人の目を意識し、プライバシーがない、頑張り過ぎて心が疲れる…。こんな状態に追い込まれていたのでしょうね。
山口
鍼治療のほか、会話を通して症状や心の悩みに耳を傾けることで、患者さんに安心感がわいてきます。すっきりした顔になって帰ってもらう時の喜びは、ボランティア冥利に尽きますね。
AMDA
豪雨被害についての印象を。
山口
豪雨で自宅が浸かり、2階の屋根から助けを求めて手を振る姿をテレビで見て、これが本当に岡山の姿か、と目を疑いました。その後も長い間、大量のごみが散乱したまま。避難所も環境が改善せず、完全復興までには長い道のりがかかると心が痛みました。
AMDA
ところで、朝日医療大学校は1991年に設立の「学校法人山田学園」が始まり。朝日医療専門学校を経て2016年、現在の校名になりました。看護、鍼灸、柔道整復、理学療法、言語聴覚、歯科衛生の6学科がある“総合医療大学校”です。どんな人材育成に努められていますか。
山口
建学の精神は「原点は人、伝えたい技術とこころ」です。人の痛みや苦しみを分かち合える豊かな心を育てたいと願っています。
AMDA
超高齢化社会を迎え、朝日医療大学校の教育理念はますます求められていくのではないでしょうか。
山口
これからの医療は治療だけでなく、福祉の領域にも踏み込む必要があると考えます。学生たちは人に寄り添い、支え合う医療人として社会に羽ばたいてほしいですね。
(インタビュー内の敬称は省略させていただきます)
(聞き手・広報担当参与 今井康人)