「第25回旅の文化賞」に想う – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

「第25回旅の文化賞」に想う

AMDAグループ代表 菅波 茂


2018年4月8日。シェラトン都ホテル東京で旅の文化研究所(理事長:神崎宣武)から「第25回旅の文化賞」をいただきました。記念講演で私の受賞の喜びを話しました。それは私の内なる心の旅についてでした。きわめて個人的なことです。個人的な考えを具現化することによって、多くの方々と出会い、結果として多くの方々のお役に立てる仕事ができました。国連経済社会理事会総合協議資格認定団体として世界各国・地域に32支部がある現状も志を共にしてくれるパートナーと知り合ったことから実現しました。更に多くの人たちのお役に立つことが可能になりました。そしてAMDAの活動を支えてくださる数多くの人たちなしには今日のAMDAの活動は存在しえなかったと心から感謝しています。

高校2年生の時に太平洋戦争写真集(光文社刊)で300万人以上の日本兵が海外で戦死したことを知りました。岡山大学入学後は探検部をつくるために先輩格の大阪大学や京都大学を訪問しました。大学4年生の時に全共闘運動による大学ストライキがあり、アジアを10ケ月間にわたり一人旅をしました。横浜からシンガポールまで船旅、後はマレーシア〜タイ〜ミャンマー〜インド〜パキスタン〜アフガニスタン〜イラン〜クエート〜パキスタン〜インド〜タイ〜カンボジア〜香港〜日本。様々な経験をしました。病気もしました。旅費は親から50万円と私がアルバイトで稼いだ30万円の合計80万円。通信事情が悪いため行く先々の日本大使館で日本への手紙を郵送していただくという親へは一方通行の報告でした。ベトナム戦争を除いては各地ともに本当に平和な状況でした。それ以後、あれよあれよという間もなく各地で紛争が勃発しました。何故でしょうか。不思議なことです。

AMDAの定義する「平和とは今日の家族の生活(食べられることと健康)と明日の家族の希望(子供の教育)が実現できる状況」です。それを妨げるのが紛争、災害と貧困として対応可能なプログラムとプロジェクトを実施してきました。驚いたことに、日本に本部があることで好意を持って迎えられました。日本人の倫理は母が教えます。「他人に迷惑をかけてはいけない、嘘を言ってはいけない、困った時は助け合いなさい」。日本文化(集団の価値観)の特徴です。勿論、それぞれの国々にふさわしい文化があります。お互いにそれぞれの文化を尊重して行動することがローカルイニシアチブです。


困った時には助け合う相互扶助という考え方と気持ちは世界中のどこの集団にもあります。ただし、同じ集団内メンバーに適用されます。AMDAが提唱する「集団を超えて助け合う〜開かれた相互扶助」の考え方と言葉は驚きをもって歓迎されます。誰でもそうしたかったのにふさわしい言葉なかったからです。過去にAMDAから援助を受けた人たちが現在援助を必要としている人たちをAMDAと共に助けに行く。時系列的な「開かれた相互扶助」です。「開かれた相互扶助」とは言葉の発見です。「援助を受ける者にもプライドがある」という人間心理を克服することができます。私たちが持っている気持ちを更なる高いレベルに持っていく言葉は今後も時代と環境によって発見され、創られていくと思います。

言葉が新しい社会現象を創るのか、社会現象が新しい言葉を創るのか。「心の旅」をこれからも続けていきたく思っています。