2015年の4月25日にマグニチュード7.8の地震がネパール中部を襲いました。約9千人の人々が犠牲となったこの地震で多くの建物も壊れてしまいました。壊れた建物の中に山岳部にある公立学校の建物が多く含まれていました。地震が起きた日は土曜日(ネパールでは休日)の午前中だったため、学校の建物の下敷きになって犠牲となった生徒がほとんどいなかったことは幸いなことでした。しかし、地震の影響で建物が壊れ、生徒たちがすぐに学校に戻ることができませんでした。
地震から6か月余りたち、余震もだいぶ少なくなったころ、地震の震源地となったゴルカ郡の公立学校を訪問しました。人々は壊れた学校から少し離れたところにトタン板の仮設学校を建てて、授業を再び始めていました。トタン板の建物は窓ガラスもなく、暑い時は汗をかくほど暑く、寒い時は震えて勉強にならない状況にあることを聞きました。 学校の敷地内にトタン板でできたトイレもありましたが、水や排水処理ができていないため、衛生的にとても悪い状況にありました。また、女子生徒は生理中にそのトイレが使えなくて、学校を休む傾向が増えつつあることが分かりました。現地の要望に沿って、AMDAはAMDAネパールとして二つの公立学校にトイレを建設することになりました。
昨年11月にトイレ建設が完成したと報告を受け、現地を訪問することになりました。学校の敷地内には他の組織の協力も得て校舎と男子用、女子用、職員と来客用のトイレが三つ建てられていました。我々を歓迎しようと正門からずらっと学生が並んでいました。学生たちはマリーゴールドの花からできた首飾りをもって、我々を歓迎しようと首長くして待っていました。ネパールでは、お客様を歓迎したり、感謝の気持ちを伝えたりするときは、花の首飾りを相手の首にかけてあげる習慣があります。都会ではこのような花の首飾りを売っている専門店も多くありますが、山岳部にあるその村ではそのような店がありませんでした。子供たちに話を聞くと、朝早く起きて、自分の家やご近所の庭で咲いていたマリーゴールドの花を丁寧に摘んで、それを一つずつ針に通して立派な花飾りを作ってくれたようです。一つ一つの花に含まれている愛情がひしひしと伝わってきました。
学生たちのキラキラした目には、地震で被災した自分たちの学校を支援してくださった皆様に伝えたい感謝の気持ちが溢れていました。学生たちに頂きました、花の首飾りをそのまま日本にもって来ることはできませんでしたが、私が受け取った感謝の気持ちをこの記事を介して支援者の皆様にお届けたいと思います。AMDA をいつも暖かくご支援してくださった皆様に心より感謝いたします。