アジア災害ネットワーク – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

アジア災害ネットワーク


2016年11月10日から12日まで、ネパールのビラトナガール市で医師会総会が開催され、全国から1000名の関係者が参加。初日にアジャーニ旧ネパール医師会長とムティック新医師会長から、2年前のネパール地震被災者救援医療活動に対する感謝状を、私と横倉義武・日本医師会長がいただいた。

2日目に記念講演をする栄誉をいただいた。講演のテーマは「アジア災害ネットワークの推進」。内容は政府、NGO、医師会の三者連携による災害医療の推進である。政府は活動の許認可権と軍を持っている。軍は輸送、通信そして安全を確保する。NGOはヒューマンパワー、医師会は医師免許と医師の全国ネットワークを保持。これらを大前提として政府、NGOそして医師会が合同で災害被災者のために救援医療活動を実施することである。

トリブバン大学教育病院とネパール医師会が構成するネパール政府医療チームをAMDA南海トラフ災害対応プラットフォームへの派遣、AMDAのネパール国内の災害に対する相互支援をタパ保健大臣と合意。ムティックネパール新医師会長とディパック・トリブバン大学教育病院部長の積極的な対応のもとに2017年早々に連携協定を締結する予定である。

なお、ネパール政府は国内を7つの地区に分けて、それぞれに国立医科大学と付属病院を設立する計画である。第5地区のブドワール市関連諸団体から要請を受けてタパ保健大臣と話し合った。日本式医療モデル、災害医療、そして教育を提案した。ブドワール市内にあるAMDAシッダルタ母と子の病院が新医科大学の産婦人科と小児科の臨床関連医療機関になればうれしい。

日本式モデルの第一号はトリブバン大学教育病院である。第二号となる今回の案件では、日本式モデルの継続性の確保のために日本の優秀な医療機関群との連携を提案したい。小川正史大使からも積極的なご意見をいただいた。タパ保健大臣の提案書を関係者に届けたい。ちなみに、釈迦生誕の地であるルンピニはブドワール市から40kmである。

AMDAの災害救援活動は各国政府の軍にお世話になっている。1999年の台湾中部地震では軍のヘリコプターによる山間部の被災地への搬送。2007年のソロモン地震津波被害ではオーストラリア海軍艦艇、09年のネパール山間部の集団下痢発生時には軍のヘリコプターで運んでもらった。13年のフィリピンレイテ島を襲った台風30号では海軍1個小隊の護衛により本当に支援が必要な危険地帯で活動ができた。

NGOのネットワークに関しては12年に「アジア相互扶助災害医療ネットワーク」を設立。AMDAインターナショナル31ケ国支部に加えて各国の国レベルで活動しているNGOが参加。その後の各国の災害被災者救援活動に合同で対処している。医師会に関しては、日本医師会からは06年ジョグジャカルタ地震・津波、13年レイテ島台風、14年ネパール地震の被害救援活動に対して貴重な活動資金をいただいた。16年の台湾粉じん火傷の事例では台湾医師会と日本医師会の協力のもとに傘下の複数の学術専門学会から専門医を派遣。日本医師会は東日本大震災時にはJ-MATとして被災4県に1300チームからの医療スタッフを派遣し、今や国内災害時の主役である。武見太郎元日本医師会長が1956年に設立したアジア大洋州医師会連合のアジア災害ネットワーク参加による災害対応能力向上の可能性にも注目していただきたい。

皆様方の更なるご理解とご支援をいただければ幸いである。