ローカルイニシアチブ – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ローカルイニシアチブ


2016年9月19日。フィリピンのマラカニアン宮殿でエバスコ大統領府内閣統括秘書官と会談した。南海トラフ災害発生時にフィリピン政府医療チームをAMDA南海トラフ災害対応プラットフォームへ派遣するMOU(協力協定)を結ぶことを合意した。

エバスコ氏はドゥテルテ大統領が最も信頼する3人の統括秘書官の一人。好好爺である。大統領選挙本部長としても貢献した。ドゥテルテ大統領は元ミンダナオ島ダバオ市長であり、エバスコ氏は元ボホール島マリボホック町長。両者共にビサヤ語圏出身である。

エバスコ氏の統括下に内閣が活動。2人の秘書が彼を支えている。上級秘書がメルカド氏。メルカド氏は元フィリピン政府開発アカデミー(DAP)上級副学長。メルカド氏をDAP からの精鋭チームが支えている。ちなみに、AMDA とDAP は相互協力のMOU を2014年に締結した。

すべての始まりは2009年9月に発生したマニラ市洪水被災者救援活動に岡山市在住の古城デイジー氏(当時岡山倉敷フィリピーノ・サークル会長)に調整員として参加してもらったことである。彼女のいとこが海軍将校だった。そのご縁で2011年10月に岡山済生会総合病院が主催したシンポジウム「国際島嶼医療セミナー〜離島の医療を考える〜」の基調講演にフィリピン軍准将であるラカニエンタ医師を招へい。彼がDAP上級副学長のメルカド氏をAMDA に紹介した。2013年10月にボホール島が地震に襲われた時にメルカド氏と一緒に被災者救援をした被災地の町長がエバスコ氏だった。住民から非常に慕われ評価を受けていた。彼の要請でAMDAはヘルスセンター再建を行った。なお、2013年11月に台風30号による大災害がレイテ島に発生した時にDAP は政府医療チームと海軍1個小隊の護衛をAMDA医療チームにつけてくれた。お陰でAMDA は海外からの医療チームが活動するには危険とされていた地域の被災者救援医療を広く行うことができた。

松田久岡山経済同友会代表幹事と「西のジュネーブ、東の岡山」構想の一環として、日本で大規模災害が発生した時に自然災害の少ない岡山に各国の医療チームが集結する拠点形成を推進している。受け皿はAMDA南海トラフ災害対応プラットフォームである。政府チームとして台湾、モンゴル、フィリピンが内定。インドネシア、ネパール、タイなどアジア諸国に限らず欧米諸国にも広げたい。

民間の医療チーム受け入れに関しても同様である。当プラットフォームが各国の医療チームを受け入れるためには各国の医療チームとの交流の強化が必要。当プラットフォームに参加している医療機関所属医療スタッフの海外災害被災者救援活動への派遣は大歓迎である。なお、飯泉嘉門徳島県知事がAMDAの海外災害被災者救援活動を支援する協定書を締結されたことにあらためて敬意を表したい。

GPSP 構想の4分野の中で最も重要なのが平和構築である。その象徴は難民や災害被災者救援活動を実施するGPSP多国籍医師団である。国家との連携により活動範囲と内容が一段と深化する。その成果を2009年に国連経済社会理事会から認定された総合協議資格に基づいて関係する国連諸機関に政策提言をしたい。

鎌倉時代の僧侶、一遍上人は「花のことは花に聞け。」という趣旨の発言をしたと伝えられている。フィリピンのことはフィリピン人に聞け。これがAMDA の提唱するローカルイニシアチブである。皆様方の更なるご理解とご支援をお願いできれば幸いである。