感謝 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

感謝


ネパール国は、インドプレートとユーラシアプレートの間に位置し、大きな地震が起こる恐れがあると指摘されていました。にもかかわらず、建築物の耐震化や土地利用規制、建築基準法は、ほとんど遵守されず、多くの建物は、主にレンガ作りで耐震性が弱く、山岳地帯では地すべりの危険箇所が補強されることなく今回の大地震は起こってしまいました。

約80年ぶりの大地震に見舞われたネパールでは、その甚大な被害により深刻な状態に陥ったと同時に、災害時の対応や知識、防災対策の不十分さが浮き彫りとなりました。しかし、ネパールの人々は自らが被災者でありながら、それぞれ懸命に救援活動を行いました。ネパールの報道機関は、地震後の地すべりなどで支援が届かなかった被災地の情報を政府よりも早く伝え続け、支援が届く様に訴えました。ネパールの民放テレビ局の一つであるイメージチャネルも、大地震の中で脅える国民に何とか安心してもらうために、被災情報とともに医師、地震専門家の話を積極的に放送しました。その一環として、緊急救援のためにネパールを訪れていたAMDAグループ菅波代表へのインタビューがあり、地震大国である日本での地震や防災についての経験が紹介されました。そしてこれを機に、山陽放送株式会社とAMDAの共同プロジェクトとしてネパールイメージチャンネル報道担当者の日本研修案が持ち上がりました。

ネパールでは過去の地震を知る人がいなくなり、伝承の機会を得られなくなってしまった現在、報道機関は、国民の危機意識を高め、防災知識を正しく広めていく重要な役割を再認識する必要があります。そのためにイメージチャンネルから制作部長、カメラマン、レポーターそれぞれ1名が昨年11月に1週間来日して、災害時の報道の役割を関係各機関で学びました。防災先進国である日本の災害対策、防災訓練、防災認識の高さに、只々感動と驚きの連続で、研修中に、阪神淡路大震災で日本の報道局の防災意識が大きく変わったことを知った彼らは、帰国後、早々に自社スタッフのために研修プログラムを開催し、災害用のヘルメットやニュース原稿を事前準備することにしました。また、定期的な防災訓練の必要性と災害時の役割などについて今後の災害に向けて社内でできることを考察し、検討しました。


ネパールの学校では防災教育として地震が起きたらベッドや机の下に逃げるよう教えられていました。しかしネパールの家は煉瓦と土でできていて、地震の時に外で遊んでいた子供たちが家の中のベッドや机の下に逃げたため、亡くなってしまったという、痛ましい現実がありました。このようなことから、日本の防災対策などをそのまま伝えてもそぐわないこともあると研修中に気付いた、イメージチャネルは、日本での防災教育・防災訓練を基に、ネパールの文化や生活に合う防災対策を考える番組を13回シリーズで作成しました。現在、毎回、違う分野の専門家(医師、学校関係、メディア関係、国際組織関係など)たちを招き、今後ネパールでの防災教育について話し合いをし、政府や関係者に訴えることと国民の防災意識を高めることを目的とした番組を放送しています。

「天災は忘れたころにやってくる」。常に防災意識を高めておく必要がある中で、この番組はネパール国民一人ひとりが防災について深く考える良い機会になったと思いました。ネパール人として、AMDAの活動に携わって、もうすぐ一年となろうとしています。国を超えて、世代を超えて、ネパールの人々の防災意識がこれまでとかわってきていることを実感しています。防災意識が高まれば、救えるはずだった命のために涙を流すこともなくなると思います。このたびの日本での研修にご協力、ご支援くださった皆様、そしていつもAMDA を支援してくださっている皆様に心より感謝申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。

アルチャナ シュレスタ ジョシ