台風24号緊急救援からの発見 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

台風24号緊急救援からの発見

いつも、感謝のコラムをお読みいただきありがとうございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

10月31日はハロウィンでした。私が子どものころは思い思いのコスチュームを着て、意味もわからず“トリック オア トゥリート?”といいながら近所の友達の家を訪ねた記憶はありますが、ここまで大々的にみんなで祝う感覚はありませんでした。最近の日本はとても国際色豊かになってきているように感じます。

さて、そのハロウィンの直前に私は、台風24号の緊急救援で被災したフィリピン・パンガシナン州リンガヤン町に行ってきました。被災後、首都マニラなど街中は停電していた地域が1週間弱で復旧するなど、被災の影響をさほど受けていませんでした。ところが対照的に町を少し外れた田園風景が広がる地域に入ると、農作物への影響の大きさに愕然としました。収穫直前だった稲がことごとく倒れていたり、水に浸かったりしていて、とても収穫できる状態ではありません(写真左下)。加えて被災から1週間近くたっているにも関わらず、道路も家も浸水したまま(写真左上)で、どこが道路かも分からなくなっていました。そんな道を抜けつつ最初の活動地に入ると、大勢の人が医療支援や物資支援を受けようと列を成して待っていました。幸いなことに、感染症などの被害は広がっていないようでした。物資支援を受けた人からは、「うちは、膝まで浸水したのよ! 今の時期、食糧支援は本当にうれしい。ありがとう!」という言葉をいただき、支援してくださった方々の思いを、無事被災者の人々に届けることができました。

詳しくはこちらをご覧ください。


浸水した道


自宅が膝まで浸かった被災者と


被害を受けた田んぼ


支援活動を待つ人々

フィリピンの被災者は農作物がこんなに被害を受けて、家も被災しているけれどとても前向きです。一番驚いたのは、すでに新しい苗を植えている田んぼがあったことです。本当に切り替えが早い。確かに、いくら願っても悩んでも被害を受けた農作物は戻ってきません。だったら一刻も早く田んぼをきれいにして、新しい苗を植えよう!と考えるのでしょうか。すばらしいことで、見習いたいなと思いました。

ハロウィンのように海外のイベントを取り入れていくことは、海外に目を向ける良いきっかけになります。そこからスタートとして、世界の様々な国々にも目を向け、関心を寄せる人が増えればすばらしいことです。海外に目を向けたからこそ見えてくる日本や、そこから得られる発見や学びもあります。
この度の緊急救援活動では、ネガティブなことがあっても立ち止まるのではなく、そこに目を向けながら自分にできることをして前進していくフィリピン人の強さを目のあたりにしました。これからも、海外で活動する中で、いろんな国の人たちの良いところを見聞きして、ここで紹介できればと思います。これからも応援のほど、よろしくお願いいたします。

AMDA看護師(米国資格)フィリピン担当部長 岩本智子