ルワンダ共和国での学校健診の普及に向けて – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ルワンダ共和国での学校健診の普及に向けて


平成27年度岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業のNGO枠に、AMDAの提案が採択されました。内戦終結から著しい経済発展を遂げたルワンダ共和国で「学校健診を普及させること」、そして「母子保健を充実させること」がプロジェクトの目的です。

ルワンダと聞くと「大虐殺」を思い出す方もいらっしゃるかと思います。悲しい過去をもつこの国とAMDAとの繋がりは緊急救援を行った1994年に端を発します。約8ヵ月間にわたり、難民キャンプに専門職や調整員計46人を派遣。この活動中に、AMDAはなんとも不思議で幸運な縁に巡り合います。FAXを使おうと列をなしていた人たちの中に日本語で書かれた文書をもつ現地の女性を発見。話を聞くと
日本への留学経験があるとのこと。すぐさま医療通訳としてAMDAの
活動を手伝ってもらうことになったそうです。以後、その女性は難民認
定を受けて福島に移住。その方こそ『ルワンダの教育を考える会』
代表で、ルワンダの首都キガリに学校を建設されたカンベンガ・マリー
ルイーズさんです。

マリーさんが立ち上げられた学園で今年4月、兵庫の「フェリシモ・地球村の基金」のサポートを受け、試験的に健康診断を実施しました。保護者への説明の後、保護者の中から看護師を募り、計261人の生徒の健康診断を終えました。いかに健康診断が有効かを示すために行った健診で、なんと身体に問題を抱えた子どもを見つけ出しました。「すぐに疲れたと言い出したり、泣きべそをかいたりする甘えん坊」として母親に呆れられていたその子の問題は性格ではなく、心臓にあったことが分かったのです。健康診断を国の仕組みとして取り入れたなら、都市部だけでなく、地方であっても万遍なく学校健診を
実施でき、分け隔てなくこども達の健康を守ることにつながります。


前述の健診で診察をしてくださったアキンティジェ・シンバ・カリオペ先生が先月17日より来岡され、ついに研修が始まりました。研修期間の前半は日本語授業、後半は岡山県内の行政機関、病院、学校への訪問と健診の見学などを予定しています。行政・医療・教育現場・データ管理といった視点から岡山の学校健診・母子保健について学び、良いところをできるだけたくさんルワンダに持ち帰ってもらえたらと思います。

内戦によって50万から100万人の人が亡くなったと言われるルワンダ。国の未来を担う子ども達の存在は本当に大切であり、彼らの健康を守ることは国の未来を守ることにつながります。
岡山でのこの一連の研修が一国の未来にインパクトを与えるかも
しれないと思うと、改めて身が引き締まる思いを抱くと同時に、
今から胸が高鳴ります。

AMDA プロジェクトオフィサー
田邉 祐果