今年の3月に、東日本大震災を含め災害から考える平和について書きました。今回はベトナム戦争から学ぶ平和について書きたいと思います。
3月初旬、ベトナムに出張してきました。私にとっては初めてのベトナムで、バリア・ブンタウとホーチミンを訪問しました。バリア・ブンタウは、日本の東北と似ていて漁業も盛んで静かな落ち着いた街です。ブンタウには、第2次世界大戦を含めそれ以前の戦争の傷跡も残っています。町を案内して下さった地元の方は、ベトナムは多くの国に攻撃されてきた歴史があるが、今は平和な国だと胸を張って話して下さりました。戦火の様子が想像できないくらい、ブンタウの町は夕日が美しく穏やかで平和でした。
その後、ホーチミンを訪れた私は、未だ残るベトナム戦争の傷跡を目の当たりにしました。ホーチミンには沢山の養護施設があります。私はその中の一つを訪問しました。養護施設にはベトナム戦争時に使用された枯葉剤の影響で障がいを持った多くの子どもたちが冷たい床に寝かされていました。彼らの祖父母がベトナム戦争時に枯葉剤に被爆したそうです。日本では、随分前に枯葉剤の影響で障がいを持ったベトちゃんドクちゃんのことが話題になりましたが、その後あまり枯葉剤のことをニュースなどで聞くことはありませんでした。しかしながら、ここベトナムではまだまだ枯葉剤の影響で障がいを持った子どもたちがたくさんいます。頭部が通常より3倍4倍以上にと大きくなった水頭症の赤ちゃんや障がいのある多くの子どもたちを目の前に、私は人間の愚かさに悔しさが込み上げて震えが止まりませんでした。昨今、日本でも戦争を経験した人たちが減ってきています。戦後70年を迎える今年、私たちはもう一度、戦争というものと自らが向き合わなければならないと思います。戦争というものがいかに愚かで悲しく多くの傷跡を残すかということを伝えられるのは、経験者だけではありません。戦争を知らない私たち世代でも、目をそらさずに歴史や戦争の傷跡と向き合うことで、戦争の愚かさを知り、今の平和の世の中がどれだけ貴重なことかを実感することができます。
今年の夏、アムダと岡山大学の共同事業である「おかやま国際塾」はベトナムに行きます。若い学生さんたちの目でしっかりと見て、多くのことを感じてほしいと願っています。
さて、私事になりますが、今月末でアムダを退職することになりました。アムダで多くのことを経験させて頂いたことに心より感謝しています。活動を支えて下さった皆さま、活動をともにしてきた皆さま、本当にありがとうございました。今後は、アムダで経験したことを生かすことで、ご支援頂いた皆さま、また機会を与えてくれたアムダに恩返しをしていきたいと思います。
4年4ヶ月間、ありがとうございました。
大政 朋子