バングラデシュにみる有償支援の時代 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

バングラデシュにみる有償支援の時代


AMDAバングラデシュ支部が関わる、
ダウン症候群の子を持つ親をサポートする
団体のポスター 団体のフェイスブックより

5月18日から5日間、バングラデッシュの首都であるダッカ市を訪問した。2年前はスモッグでくすぼっていた空が太陽の輝く青空になっていたことに驚いた。すべてのタクシーの燃料が固形燃料に規制された結果である。加えて、空港からは6車線の道路がダッカ市の東側を走り新しい街作りが進められていた。経済が向上している象徴である。20年前に3名の日本に留学した医師によって発足した日本ーバングラデッシュ友好病院も著しい成長を遂げていた。保健分野への外資の投資第一号として、開院式には大統領も列席してくれた。翌日のバングラデシュの新聞には細川首相の辞任のニュースより大きく取り扱われていた。現在はベッド数85床。医師数35人である。

この病院の理事長でありAMDA バングラデッシュ支部長であるナイーム医師はアジア太平洋地域における内視鏡腹腔手術の第一人者である。
専門家を揃えて内視鏡腹腔手術センターも設立した。
消化器科、泌尿器科そして産婦人科などの治療を行っている。
GPSP ネットワーク参加医療機関の内視鏡腹腔手術導入のプログラムを進めている。
フィリピンのミンダナオ島にあるアマイパクパク医療センターやネパールにあるAMDA ダマック病院が対象である。

日本ーバングラデッシュ友好病院は、更なる治療技術の発展のために、新式の医療装置導入を計画している。
AMDA バグラデッシュ支部は小規模融資による利益で、ダウン症候群の子を持つ親の支援も重要課題として取り組んでいる。
ダウン症候群に対する無知と偏見に対する教育である。
年に数回開催する歌とダンスの集まりでは喜びを表現する子と嬉しそうに我が子を見つめる親の姿が微笑ましい。
その集まりで、「ダウン症候群の子は人をだまさない、嘘をつかない、人に優しい。この事は皆さんが魂と生活の規範としているコーランに書かれていることを実践している素晴らしいことではないでしょうか。」と指摘すると、ダウン症候群の親善大使になってくれと要請された。ナイーム支部長の友人の長男が日本のアニメが大好きである。

彼にお願いした。
「アニメは想像力が肝腎。ダウン症候群の子どもたちの側に身を置いて、彼らと交わり遊ぶなかで想像力を育成してアニメを作ってみたらどうでしょうか」と。

AMDA バングラデッシュ支部の事務局長で、17年前から小規模融資プロジェクトを実施しているラザック氏に質問をした。
「ダウン症候群の子どもたちのための活動を深化さすための財源を増やすためには小規模融資プロジェクトの規模を大きくすることが必要。今のスタッフでどのくらいの資金導入をこなせるのか」と。
「1200万円は大丈夫」との答えだった。

AMDA は国連認定NPO法人であるが、海外の団体への貸付をする金融機能は認められていない。
世界の富がアジアに流入してアジアの経済も底上げしてきている。
今までの募金と税金を活用した無償支援に加えて、お金を貸すという有償支援のニーズも大きくなっている。

有償支援には「あなたには貸したお金を還す能力があります」というメッセージが込められている。
相手に対する敬意と信頼がある。
AMDA が金融機能を持つにはどうしたらよいのか。
AMDA も新しい局面を迎えている。
これからも皆さま方のご理解とご支援をお願いしたい。