ネパール大地震被災者救援活動と南海トラフ地震への教訓 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール大地震被災者救援活動と南海トラフ地震への教訓


ネパールへの支援活動について記者会見する
AMDAメンバーら 北区で4月30日

先月25日。ネパールの首都カトマンズの北西77kmで大地震が発生。建物崩壊によって圧死した死者の数は継時的に増え続け1万人を超す可能性があり、被災者は既に280万人に及ぶという。この数の原因はカトマンズの密集した伝統的なレンガ造り建物の崩壊である。水道設備も下水設備も破壊。食料と水の不足に加えて不衛生。暑い5月に入り感染症発生の危険性が迫っている。この状況に拍車をかけるのはカトマンズと周辺を結ぶ道路が山崩れなどで封鎖。当初の唯一の外部との接点はカトマンズ国際空港だけ。道路工事復旧が望まれる。

AMDAはネパールに三つの医療機関を有している。
首都カトマンズにはAMDAクリニック。
東部にはブータン難民救援から始まったダマック病院。
南西部には毎日新聞読者の寄付から始まったシッダルタ母と子の病院。
カトマンズでは多くのメンバーが教職員となっているトリブバン大学での救援活動と、AMDAネパールクリニック備蓄医薬品を活用した各居住地での診療を行い、27日に仮設診療所を開設した。

27日にはシッダルタ母と子の病院からの医療チームが、震源地に近いゴルカ地域の村に4時間の車輛移動の後、徒歩で3〜6時間かけて入り巡回診療を行っている。

30日には、ダマック病院が支援の入っていないバグマティ県シンドゥパルチョーク郡に向かい、カトマンズからのチームと現地で合流して診療活動を行っている。

AMDA本部は地震発生翌日の26日に、調員1人と看護師1人をカトマンズに向け派遣。
29日に第2次として医師、看護師各1人、30日に第3次として医師2人と看護師2人を派遣。
5日には第4次として医師と看護師ら計4人の医療チームを派遣した。
AMDAバングラデッシュ支部、カンボジア支部、インド支部、マレーシア支部、インドネシア支部、フィリピン支部、アフガニスタン支部、カナダ支部、コロンビア支部からも参加希望が出ている。

AMDAが事務局をしているGPSP(世界平和パートナーシップ)参加団体も救援活動に乗り出している。
マーシーマレーシアは医療チームを送り、タイ政府派遣医療団のパイロ医師のチームは29日に出発。
本年3月に災害支援協定を結んだ台湾ルーツの医療チームは1日に出発。
合計すると200名以上となる。

今後の計画は首都カトマンズに「AMDAコーディネーションセンター」を設立。
AMDA関係団体とGPSP関係団体の救援活動を前向きに調整し、地震発生後1ケ月には、緊急救援から復興支援に向けて切り替える。
ローカルパートナーはトリブバン大学、ネパール医師会とAMDAネパール支部である。
ネパール支部のメンバーは彼ら自身が被災者でありながら、被災者を助ける救援活動をしている。
括目すべき。
AMDAの医療機関の役割も大きい。
今後、どのように彼らを支援していくのか。
AMDAグループ代表として、グループのネパールからの撤退はない。
ネパール支部と共に進むことを言明したい。

ネパール大地震被災者医療支援活動からの南海トラフ地震対応への教訓を述べたい。
「コーディネーションセンターの設立」である。
世界中から押し寄せる医療チームに先立ってコーディネーターを派遣させる。
各国から参加したコーディネーター会議により被災地の医療需要の把握と役割を決定後、自国の医療チームを要請し医療行為を引導するのが理想である。

仲介と調停がなければ、混乱状況の被災地では本来の被災者への適切な医療サービスが不十分となる。
「AMDA南海トラフ対応プラットフォーム」で、コーディネーションセンターは総社市内か香川県丸亀市内に設立予定である。皆様のご理解とご支援をお願いできれば幸いである。