2014年3月17日から2日間。ハーバード公衆衛生大学院生23名の受入プログラム作りをさせていただいた。
米国、英国、ノルウェー、スペイン、ブラジル、メキシコ、インド、インドネシア、ベトナムそして日本の国籍。
招聘の目的は世界一の平均寿命を支える日本の保健医療モデル現場の視察研修である。初日には岡山県庁に伊原木隆太県知事を表敬訪問と岡山県の保健・福祉・医療の紹介。
岡山市保健福祉会館にて中瀬克己岡山市保健所長が岡山市の保健福祉政策の紹介、御津医師会会員の訪問診療と訪問介護に同行視察後に岡山医療センターにて御津医師会の地区医師会としての公共政策参加と独自の「地域医療を守る」相互扶助プログラムを森脇和久会長が紹介。
2日目には岡山県済生会ライフケアーセンターにて介護保険にもとづく介護事業と瀬戸内海離島医療を担う済生丸を岩本一寿常務理事が中心に紹介。総社市の宝福寺では精進料理の堪能と座禅修行の紹介。
その後に総社市総合福祉センターに移動。障がい者千人雇用、そうじゃ「地・食べ」、多文化共生、「新生活交通『雪舟くん』」、東日本大震災復興支援、そうじゃ吉備路マラソンなどの取り組みを片岡聡一市長が紹介。それぞれの場で活発で質の高い質問と応答がなされた。
ハーバード公衆衛生大学院の卒業生はインドネシアの保健大臣のように各国で活躍している。
また、世界保健機構がハーバードマフィアと揶揄されるように世界的に人脈のネットワークでつながっている。
ハーバード公衆衛生大学院ジャパントリップは今年で7回目と回を重ねている。
今回参加した大学院生からの反応は、今年はユニークなプログラムでこのような視察研修にはまた参加したいと好評だった。
彼らが岡山の経験を世界の保健福祉政策に反映させる日が楽しみである。
御津医師会「地域医療を守る」相互扶助プログラムで特筆すべきは、有事医師派遣制度である。
会員が病気や事故で休院せざるを得ない時に、他の医師会員が午前中の診療を最低3週間支え、地域住民の診療を医師会として保障する制度である。
当制度発足5年目に赤磐医師会と北児島医師会もこの制度を導入。
すでに2つの事例を支援。
会員の家族、職員そして患者から本当に感謝されている。
医師会員同士の信頼形成はいうまでもない。日本のみならず世界でも初めての試みである。
世界中の医師会に共有してもらいたい制度である。
心揺さぶられたのは総社市の福祉政策だった。
片岡市長のスローガンは「5%のために」。
橋本龍伍厚生大臣、橋本龍太郎総理大臣そして片岡市長と引き継がれているハンディを持った人たちの社会参加促進(ノーマリゼーション)政策の潮流。
2013年12月議会で「大規模災害被災地支援条例」も成立。
「弱者を見放さない、見捨てない、見限らない」である。アフガニスタンの子どもは地獄のような環境でも決して自殺をしない。
日本では8歳の子どもでも自殺をする。
親が自殺をするからである。
総社市の親が日本のみならず世界の命を救う行動は、子どもが命を大切にする最大の教育となる。
人は死ぬ前に弱者になる。
弱者とは人の助けがないと生きられない人である。
「5%のために」政策は親孝行政策でもある。
人口6万8千人の総社市が創る新しい世界標準の文化(価値判断)を期待したい。
岡山の相互扶助にもとづく「見放さない!その命」の活動を世界に発信・紹介することは望外の喜びである。
最後に、ハーバード公衆衛生大学院生の視察研修にご協力をいただいた方々に心からお礼を申し上げたい。