フィリピン台風30号被災者救援活動 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

フィリピン台風30号被災者救援活動

2013年11月8日にフィリピンにて台風30号による甚大な被害が発生した。
AMDAは11月10日から緊急医療活動を開始。日本からの最初の医療団体だった。
対象の被災地はレイテ島、サマール島、セブ島そしてネグロス島である。
「台風ロード」の島々。
課題は医師免許、安全そして輸送だった。フィリピン政府は海外の医師免許での国内活動を認めていない。

今回は横倉義武日本医師会長と石井正三常任理事の迅速な判断のもとに、AMDAに対して支援金と共にフィリピン医師会と自衛隊との調整をしていただいた。
AMDAはフィリピン医師会レイテ支部など各島のフィリピン医師会支部の医師たちと公式に連携して活動。
被災地はあまりにも広大。どこの集落でも大歓迎された。

主な疾患は急性上気道炎、高血圧、下痢などであった。
被災者からの要望の強かった食料や水などの生活支援も同時に実施した。
年末には、フィリピン医師会から、日本医師会とAMDAにそれぞれ感謝状をいただいた。
また一方、AMDAの活動はフィリピン空軍と海軍の安全確保と輸送能力に加えて被災地の方々の積極的なボランティアに支えられたことも報告したい。

2013年4月に岡山で発足した「アジア相互扶助災害医療ネットワーク」(事務局AMDA)所属の各団体との救援活動の連携を報告したい。AMDAインターナショナルからは日本、フィリピン、インドネシア、ネパール、インド、カンボジア、バングラデッシュ等が医療チームを派遣。
AMDA以外の組織ではトルコのキムセヨクム、台湾の台湾ルーツ、マレーシアのマーシー、モンゴルのウランバートルエマージェンシーサービスなどである。
フィリピン地元のNGOであるフィリピン農村再建運動はAMDA派遣チームと共に医療と生活支援活動を実施。2014年3月8日には「フィリピン台風30号被災地復興支援国際会議」をマニラで開催予定。
なお、孤立した島々での救援活動の困難さは将来の南海トラフで孤立が予想される四国への大きな教訓である。

東日本大震災被災地から世界の被災地へ。お世話になったらお返しをする。AMDA兵庫県支部所属の小倉健一郎雄勝診療所長の呼びかけによる東日本大震災被災地からの募金に添えた亀山紘石巻市長の手紙はフィリピンの被災者に大きな感動を与えている。レイテ島タクロバン市と姉妹関係にある福山市の医師会会長、そして広島県医師会会長の手紙と共に福山市医師会の医療チームが派遣された。

2010年のニュージランドのクライストチャーチ地震被災者の救援には伊東香織倉敷市長の決断のもとに緊急救援チームが派遣された。2011年のブラジルのリオデジャネイロの洪水被害時には片岡聡一総社市長の決断のもとにAMDAとの合同チームが派遣された。姉妹都市間の災害相互支援時代の幕開けである。自治体「心の絆」外交である。

国家から信託された医師免許の使命は「人の命を助けろ、救え、見放すな」である。医師免許に信託された使命は、人類が存亡の危機に瀕する時には、宗教、民族そして文化を超える存在である。加えて大切なのは被災者の気持の尊重である。「見放されたくない」にどうのように応えるのか。阪神大震災、スマトラ沖地震・津波、東日本大震災そしてフィリピン台風30号に世界が動いた連帯感。着実に大きくなっている事実に瞠目したい。

最後に、AMDAの活動に暖かいご支援をいただいた方々に心から感謝申し上げたい。