AMDA南海トラフ対応プログラム〜第一回調整会議 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDA南海トラフ対応プログラム〜第一回調整会議


6月27日。丸亀市消防本部6階大会議室においてAMDA南海トラフ対応プログラム第一回調整会議が開催された。丸亀市と総社市の協力をいただきAMDA主催である。目的は南海トラフ発生時に医療チームを迅速に徳島県と高知県の合計10ケ所の避難所に派遣するための自治体連携の推進である。

医療チームの派遣期間は災害発生1週間目から8週間である。医療チームの構成は調整員1人、医師1人、看護師1人の3人。80医療チームが基幹となり、災害発生後の応募してくる医療スタッフボランティアが参加する。更に薬剤師、臨床検査士、鍼灸師、理学療法士らが参加する。

AMDA独自の「被災者に対してしてはいけないこと以外は、被災者のためになることは何をしても良い」というネガティブリストの活動様式を実現するためには、想像以上の数の調整員が必要となる。撤収までの8週間以内に合計500人以上のボランティアを派遣することになる。派遣ルートは簡潔に言えば、総社市〜丸亀市〜高知県と徳島県。総合対策本部とコーディネーションセンターは総社市に、中継コーディネーションセンターは丸亀市に置かれる。

輸送のためには車両許可書、車両とガソリンの確保が不可欠である。地震と津波により「孤立する四国」を想定すれば、瀬戸大橋を使えない瀬戸内海と山崩れを起こしやすい四国山脈への対策も必要となる。派遣されるボランティアのための宿舎、食料、水に加えて生活必要物資の用意と不慮の事故に備えた損害保険。避難所での医療活動に必要な医薬品や医療器具、そして被災した開業医の医療活動に医療保険適用。情報を共有するための通信。国内のみならず海外のボランティアを受け入れるための活動。世界に被災者救援活動を発信して世界から募金を集める広報活動。阪神大震災と東日本大震災における救援活動の経験と智慧を基礎とした自治体と民間との協力体制の構築である。

第一回調整会議のプログラムの進捗状況を紹介する。最初に尾崎正直高知県知事のメッセージを高知県危機管理部の渡辺憲弘副部長が紹介。続いて飯泉嘉門徳島県知事のメッセージが紹介され、次に高木新仁丸亀市議会議長があいさつ。そして議長団として私が南海トラフ対応医療内容に関する概略を説明。片岡聡一総社市長は総合対策本部が置かれる総社市の立ち位置と自治体とNGOの協力体制の有効性を説明。梶正治丸亀市長は中継地点としての丸亀市の果たす役割の重要性を説明。この後は参加者の氏名、所属と一言による自己紹介を行った。南海トラフ被災者救援活動への想いが共有された貴重な時間だった。休息の後、NICT 国立研究開発法人情報通信研究機構国際推進部門標準化推進室マネージャー、黒田正博氏によるプレゼンテーションは秀逸だった。再び議長団として、私から、各自治体に派遣医療チームの活動を支える10委員会を設立し具現化することと、第2回調整会議開催を提案し満場一致の拍手で採択された。片岡市長からは各自治体における災害支援条例の成立の提唱があり、梶正治市長からは丸亀市における災害支援条例の成立推進に言及があった。開催にご協力いただいた方々に感謝したい。

第2回調整会議を今年秋には開催予定である。目的は次の3点である。一つは第一回の調整会議での問題点の解決。二つは避難所における医療活動のための準備。三つは海外からの医療チームの受け入れ体制の整備である。皆様方のご理解とご支援をお願いできれば幸いである。