今回は「平和に向けて?」を書く予定でしたが、大洋州サイクロン・パムの緊急救援活動に行ってきましたので、記事を変更いたします。
私は、沈む国で一躍有名になった「ツバル」という国に行ってきました。バルは9つの環礁島からなるポリネシア最西端の国で、今回のサイクロン・パムでは7つの環礁島が甚大なる被害を受けました。私が向かったのは、首都のフナフティ環礁島ですが、首都といえども普段から医療品や食料品が手に入りにくいので、フィジーで支援物資などを購入し持参しました。5つの大きな私の荷物は、当初2つしか到着せず、残り3つが届くまでには2日かかりました。
初めて訪れたツバルは、目を奪われるくらい綺麗な海に囲まれており、笑顔溢れる人々が住んでいる平和な国で感動しました。しかしながら、一週間ツバルに滞在することによって、この国の本来の姿というものを垣間見ることができ、来た当初とは違う印象を持つこととなりました。
裸足の子どもや破れた服を着ている人が多く、屋根はあっても壁がないような家が建ち並ぶ風景は、一見して貧困な地域に見えます。では、貧困というのはどういうことをいうのでしょうか。多くの学者が、失業率、GDPなど様々な基準から貧困を定義づけていますが、ツバルはもちろん最貧国に位置します。果たしてツバルは貧困なのでしょうか。ツバルの物価は先進国並みに高く、多くの人は仕事を持たずに暮らしています。しかし、仕事をしたくても仕事がないという状況とは違い、お金が必要になったら少し働く、働く必要がなければ働かないという人が多いそうです。世界の基準で見たら貧困かもしれませんが、ツバルの人々は最低限度の生活が送れれば良く、またお金がある人が分配すれば良いとも考えているそうです。食べ物がなくなれば、ある家に行って分けてもらい、お金がなくてもある人に連れて行ってもらうそうです。仕事をしていない人たちは、木陰でゲームをしたり、昼寝をしたり、おしゃべりをしたりしてのんびり楽しそうに過ごしていました。そして驚くことに、この国には犯罪がないそうです。犯罪がないのでもちろん刑務所もありません。荷物を置きっぱなしにしていても盗まれることはありません。盗む必要がないのかもしれません。
8日間の活動を終え、私がツバルに抱いたイメージは笑顔に溢れた「貧しいけど貧困ではない国」でした。
大政 朋子