春がすぐそこまで来ています。私は黄砂にやられて痒さとの格闘の日々ですが、花が咲き、草木が色鮮やかになっていく風景は気分も穏やかなものにしてくれます。
私の本業は看護師です。しかしこの1年は「食」に関するプロジェクトに携わる機会が多くありました。
アムダフードプログラムでは農薬を使わない安心・安全なお米や野菜を作って人々に提供しています。また、その安心・安全な農業の知識と技術を開発途上地域の農業技術者に伝えています。今年度はフィリピンから来た研修生に技術移転をしました。私はその調整役に携わったことで、安心・安全な食材を 作ることの大変さと大切さを学び、これこそが健康なからだをつくる源であることを実感しました。
一方、東日本大震災で被災した岩手・宮城・福島の沿岸部。この地域は三陸海岸と呼ばれる世界三大漁場の一つで新鮮な魚介類の宝庫です。私たちは今でもこの地域で復興支援活動を続け、被災した沿岸部商店街の人々とともに「復興グルメF−1大会」というイベントを開催しています。地域の素材を生かし、ユーモアあふれるグルメを来場者に提供して被災地について知ってもらいます。その大会を作りあげる調整役を通して、食に携わる人々の熱い思いを知りました。美味しく安全なものを提供するための彼らのこだわりと苦労、様々な手続きを踏んで準備しなければならない大変さ。
私は、「美味しく安全なものを食べる」ということには、様々な過程が経られていることを初めて目の当たりにしました。良い物を気持ちよく食べられるということは、多くの人たちの働きにより叶えられていることなのだと。だからこそ、安心・安全な食が身も心も健康にしてくれるということを。
人間は食べなければ生きていきません。「食べる」ということは「生きる」ということそのもの。医療の分野でも食育が重要視されるようになっています。日々の食事に気を付けることで病気を予防するのです。私はこの2つのプロジェクトに関わることで、看護師として一次予防に必要な「食」についての様々な視点を吸収することが出来ました。そんな機会を与えられたことに、心から感謝しています。
GPSP支援局 山 梨 枝