【ウクライナ人道支援活動:ウクライナ北東部ハルキウにある医療機関『ダイナスティメディカル』からの報告2024年10月~2025年1月】 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
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国連経済社会理事会総合協議資格NGO

【ウクライナ人道支援活動:ウクライナ北東部ハルキウにある医療機関『ダイナスティメディカル』からの報告2024年10月~2025年1月】

 AMDAが2022年より支援を継続している医療機関『ダイナスティメディカルセンター』は戦闘地域から近い、ウクライナ北東部の主要都市ハルキウにあります。今年は最高気温が5度程度と、暖冬が続いており(2025年1月14日時点)、停電は頻発するものの数時間で復旧するので、冬の厳しい寒さによる影響はほとんどありません。しかし、昼夜を問わず襲ってくるドローン攻撃の中には、飛行中、不快音を出し続け、いつ攻撃が始まるか分からないものもあり、住民は常に緊張を強いられ、心理的ストレスが増しています。学校の施設も安全ではないため、子どもたちは地下の防空壕で勉学に励む状況が続いています。戦闘が長期化する中、人々の心の支えとなっているのは、家族、友人、慣れ親しんだコミュニティーに加えて、『ダイナスティメディカルセンター』のような元々身近にあった施設です。人道危機により閉鎖するだろと多くの人が予測した『ダイナスティメディカルセンター』が、今も地元で住民の健康を守っている、ということが人々の安心感にも繋がっています。

 AMDAは同センターに医薬品およびマスク、医療用ガウン、注射器、気管内チューブなどの医療資材を提供することで、患者さんを支援しています。物流が正常化し、医薬品は手に入る一方、薬によっては30%から40%も値上がりしているため、金銭的理由から医療を受けられない人が出てきています。患者の中にはハルキウ周辺地域から何も持たず避難し失業中の方もいるため、同センターは個人の状況を考慮し、治療を無料で行うこともあります。ハルキウ近郊の町から避難してきた4歳の少女は、無料で手術を受けた患者の1人です。アデノイド肥大により半年以上聴力を失い、音が聞こえない生活を強いられていた彼女は、術後に音が聞こえた瞬間、驚きと喜びに包まれ、退院することを嫌がるほどでした、と現地より報告がありました。同センターのディレクターは「AMDAの支援により、多くの患者に手を差し伸べることができます。同時に、私たちの医療センターの患者医療支援にかかる金銭的負担も軽減されとても助かっています。」と話しました。ウクライナ人道支援活動にご支援いただいている皆様へ心より感謝申し上げます。