AMDAはウクライナ西部ウジホロドにある、セントミッシェル小児総合リハビリセンターへの支援を2022年より継続しています。ウクライナ東部からの避難者を含め、1日平均約20人の子どもたちにリハビリを行う同センターの受け入れ状況は限界に達しています。ディクレクターであるマリンダ医師は、「私たちの施設を利用したい子どもは大勢いるものの、断わらざるを得ない状況です。10月時点で既に来年の予約も入ってきています。スタッフも資源も限られている上、財政的な問題により新しいスタッフを雇用できないことが要因です。しかし、私たちの医療チームはできる限り多くの子どもを支援できるよう、最善を尽くしています。」と話しました。
入院設備を持たない同センターは、人道危機勃発後、戦闘の激しい東部から避難してきた子どもが、家族と滞在できる部屋を新設するため、改修工事を行いました。現在、新設した部屋には、リハビリ施設を利用する子どもと、一緒に避難してきた家族が暮らしています。最近、新たな取り組みとして、リハビリサービスを利用していない子どもたちも参加できる音楽療法を導入しました。子どもたちが安心して過ごせる場を作り、楽しい体験を通じて心の安定を図ることを目指しています。
また、多くの燃料を消費する冬に向けて、経費を節約すると同時に、停電対策も進めています。今のところ停電は月2回発生する程度ですが、この安定した状況がいつまで続くかはわかりません。停電時もリハビリ用プールを温め続けるために、ジェネレーターを用意しています。安定した電力確保のため、ソーラーパネルも設置しました。後は、インバーターを取り付けて、太陽光発電による電力を施設で利用できる状態にする必要があります。
さらに、同センターを通じて近隣住民への支援も行っています。人道危機による物価高騰のあおりを受け生活に困窮する、年金受給者や重篤な疾患を持つ方などを対象に、週5日150人分の食事を準備・配布する慈善団体に、パスタ、ソーセージ、卵、豆、野菜などの食材を提供しました。ほかにも、近隣病院の感染症病棟に入院している孤児30人へ飲料水とビスケットを、患者3人(ウクライナ国内避難者を含む)へ抗がん剤などを、支援しました。
8月から9月にかけて、AMDAからの支援は、物資の買い出し・配達に掛かるガソリン代、停電時に使用するジェネレーターの灯油代、ガス代の支払い、にとどまらず、近隣住民への食事支援などにも充てられました。