新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援活動 ~長谷看護師によるマスク支援~ – AMDA(アムダ)
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新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援活動 ~長谷看護師によるマスク支援~

新型コロナウイルスの感染が2020年2月以降、日本国内でも拡大し、マスクや消毒用品などが全国で品薄状態となりました。AMDAも4月には災害支援の協力協定先や、今まで大規模災害の被災者支援活動にご協力いただいた医療機関・福祉施設などにマスクなどの支援を実施しました。

同じ頃、AMDA緊急救援ネットワーク登録看護師 長谷 貴子 看護師よりご相談をいただき、AMDAと一緒に4カ所に布マスクやサージカルマスクを寄贈することができました。長谷看護師からのご報告を以下、掲載させていただきます。

今回の支援のきっかけ

4月、勤務先の診療所に「市販のマスクが手に入らない。」とマスクをつけられず来院される患者さんたちのお話、そして保育園でも「マスクの作り方はわかるが、適した材料が手に入らない。」と伺いました。同時に、AMDAからも、インドで使用する予定だった大量のさらしが、新型コロナウイルスの影響でインドにしばらく渡航できないため、次の活用先を検討されていると聞き、試しにさらしをいただいて布マスクを作り、前述の診療所の患者さんらにお渡ししたところ、好評でした。

それまで実感はなかったのですが、マスクの材料がなく、困っている人が多くいらっしゃることがわかりました。色々と試してみましたが、洗濯ができる布のマスクがいいと言われる方が結構いらっしゃいました。


支援内容

診療所のほか、前述の保育園にも手作りの布マスクをお渡ししました。サージカルマスクより、洗濯して再度使用できるから布マスクが使いやすいと喜ばれました。

また、岡山県内のデイサービスにいらっしゃる介護支援専門員の方より「マスクを忘れて来られる方が多い。」との話を伺い、手作り布マスクを寄贈しました。普通の洗濯物のように洗って使えるから、高齢の方でも扱いやすいと好評でした。

更に、倉敷市真備町内で個人で立ち上げられた訪問看護ステーションでも、物資入手が難しいと話を伺い、AMDAと相談の上、サージカルマスクを提供しました。


支援に際しての所感

1) 日々変わる状況

必要な時に必要とされているものをお渡ししたいと思っていますが、日々状況が変わり、必要なものも変わっていきます。2018年の西日本豪雨災害の際、1階及び2階の一部が浸水した前述の訪問看護ステーションに日常生活物資を持っていきましたが、そこで本当に必要とされていたものは掃除用具、本当に必要なものとタイミングが違っていて、「ずれていた。」と当時感じたことを覚えています。今回は必要なものを必要なタイミングでお渡しすることができました。


2) 支援を必要とする人々の声を拾う

本当に物資が必要な人は、どこに、どのように声をあげたらいいかわからない、ただ漠然と困っていて、情報を発信する方法、受ける方法もなく置き去りになりがちだと感じています。

2019年にAMDAの房総半島台風(台風15号)の被災者緊急支援活動で千葉に派遣された際、地元の保健師とともにみんなで「誰か残っている人がいないか?」と探した、ローラー作戦を思い出しました。地味な作業ではありますが、大災害でなくても、今回の新型コロナウイルスのように特別なことが起きたときには、「拾い上げる」方法の一つとして必要だと思いました。


3) 需要と供給のアンバランス

災害時は多くの支援組織がやってきます。しかし気が付いたらいなくなり、被災者にとってはすごく不安であり、不審に感じます。現場においては、災害も今回の新型コロナウイルスも同じだと思いました。支援する側が支援する際に、「ここまで」と線引きをしないことで、支援を受け取れない方も少なくなるのでは、と思いました。