インドネシア・スラウェシ島鉄砲水災害被災者緊急支援活動 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

インドネシア・スラウェシ島鉄砲水災害被災者緊急支援活動

2020年7月13日、インドネシア・南スラウェシ州にある北ルウ県マサンバ(Masamba, North Luwu Regency)において鉄砲水による水害が発生。地域住民をはじめ、家屋や交通機関までもが濁流に流された。7月17日、AMDAインドネシア支部およびAMSA(アジア医学生協議会)ムスリム大学支部は医師5人、医学生5人から成る合同医療チームを現地へと派遣し、三日間におよぶ支援活動を行った。 











今回の水害は地球温暖化によって増加した雨量に端を発している。同地域一帯を流れるロンコン川(Rongkon River)上流の流域において水量が増加し、周辺環境がこれに耐えることができず、鉄砲水が発生した次第である。

インドネシア防災庁(BNPB)によれば、今回の災害による死者数は21人。国家救命隊(Basarnas)が発表した7月15日付の統計では、県下6地域が被害を被った。4,202世帯(15,994人)が被災し、内、156世帯(655人)は住む場所を失った。水没した家屋は4,930棟を数え、10棟の家屋が水に流されている。このほか213棟の家屋が土砂に埋もれ、また村と村をつなぐ橋も寸断されている。このほか、道路が1メートルから4メートルの泥に埋もれるなど、道路インフラにおいても甚大な被害が出ている。

7月17日、合同医療チームはAMDAインドネシア支部とムスリム大学のある州都マカッサルを午後1時に出発。毛布、紙おむつなどの日用品をはじめ、食料品、また医療機関に寄付する為のコロナ対策用個人防護具等を携え、被災地マサンバへと向かった。

合同チームは、翌18日より、医療支援と支援物資の配布を開始。被災者の一部には、近親者の死や災害再発への不安から心的外傷を受けている人々が見られた。現地からの報告によれば、コミュニティー単位での精神的なケアや、子供に対するこころのケアを早い段階で行うことの必要性が指摘されており、このような医療ニーズに応えるには、「適切な医療人材を投じる上での緊急医療ユニットの派遣が望ましい」とのことであった。

一方、合同チームは、同日よりアンディ・ジェンマ病院(Andi Djemma Hospital)、ヒクマ病院(Hikmah Hospital)などの現地医療機関に対し、コロナ感染防止用の個人防護具や消毒液の配布を行った。今回の水害により、公共病院を含む地域の主要な医療施設では、適切な医療サービスの提供に困難が生じている。医薬品や医療機材、医療従事者が常時必要とされる中、合同チームは、地方防災局や医療機関に医薬品、衣服、毛布などを寄付する形でこれに対応した。 

3日目の7月19日、チームは以上の支援活動を午前中で終了し、現地を後にした。支援活動はこれで終了となったが、AMDAは今後も現地の状況を注視していく方針である。


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