AMDA緊急救援ネットワーク 看護師 伊藤 麻友美
(派遣期間:令和元年7月22日~令和元年8月5日)
(派遣場所:バングラデシュ、クリグラム)
今回の支援活動への参加の経緯は、前回の熊本地震の際に初めてAMDAのボランティアとして支援活動をさせてもらいました。災害時では、病院での業務と違い、その場で求められていることを今あるもので対処しなくてはならず、決断力や柔軟な考えなどが求められ、とても勉強になりました。
今回、支援活動参加を決定する前に、自分の住んでいる地域に大雨特別警報が出され、土砂や川の増水がありました。幸い人的被害もなかったのですが、とても不安な気持ちもあり、そのすぐ後にバングラデシュでの洪水の支援活動の募集があったため、とても身近な印象もありました。私は、看護師になるきっかけとして、国際医療に関わりたいという思いがあったのもあり、とても緊張しましたが、応募させていただきました。
1)活動に参加して気づき、感想
活動に参加する前は、自分に何ができるのか、はっきりとしたビジョンがなく、曖昧で、何ができるかわからなかったのですが、参加してみて、何がしたいのか、何を手伝いたいのかという考えを持っていなかったことに気づきました。
災害時、自分にできることは、手伝えることは何でもできるようにとは思っていたのですが、「何か手伝いますよ」ではなく、「私はこれができますので、こんなことを手伝いましょうか」と言えたほうがよかったな、と思いました。
2)現地支部や現地協力者との関わり
今回は被災地で活動している現地NGO団体や AMDAバングラデシュ支部からの要請のもと、活動させていただきました。現地NGO団体も被災し、通常業務が滞る中、情報収集や下準備などすべてにおいて協力していただきました。また、現地のAMDAバングラデシュ支部でも夜までみな必死に働いていて、ものすごいエネルギーを感じました。
3)被災地の様子、被災者の声
首都ダッカより被災地に移動する際、悪路を12時間以上かけて移動しました。大きな主要道路は大丈夫なのですが、すこし横道に入り、田舎道になると道路の両脇が水につかり、沼かと思いましたが、いつもは畑や家畜のいる場所だと聞き、衝撃を受けました。これでは畑から作物は取れないし、水がいつ引くのかもわからない。地方ではほとんどの方は農業を営み、現金収入が乏しいという情報もあり、洪水により家や田畑、作物が流されるということは、明日食べるものも、2・3か月後に収穫できるはずだった食べ物もすべて失ってしまうことで、被災者の方は困り果てているとのことでした。医療支援の巡回診療中にも、鶏や牛を連れて歩いている方が多く、現金が必要なため財産ともいえる家畜たちを売るために連れているとのことでした。
今、現在、すべてを手放して必死にならなくては生きていけない状況なのではないかという印象を受けました。その中で、十分とは言えないかもしれませんが、医療支援、物資支援をすることで、感謝されることも多かったです。
4) 感想
今回、海外での緊急支援をすることになり、言語や環境などの不安も大きかったのですが、現地のスタッフの方や本部の方の協力もあり、最後まで何とか支援活動をすることができ、本当に感謝しています。
私にできることは本当に少しで、私にしかできないこと、というのはないに等しくて、でも現地のNGO団体やAMDAバングラデシュ支部の方々や、いろいろな人たちの協力のもとに支援ができあがり、被災者の方々の力になることができて、こうして支援活動というものができあがっていくのだと感じました。
今回、チャンスがあり、現地で支援できましたが、現地でする以外にも様々な支援の方法があるということもわかりました。私にしかできないことはないに等しくても、私にできることはあって、それは必要なことだというのも今回学べたので、これからも情報に留意し、災害支援を続けていこうと思います。
ありがとうございました。