AMDAインターンシップ 佐藤 未来
(インターンシップ期間:2019年1月21日~2019年3月22日)
インターンシップ先としてAMDAを選んだ理由
AMDAをインターン先として希望したのは、今後保健医療・公衆衛生の分野を軸にキャリア形成を図りたいと考えていたのが大きな理由です。大学時代に途上国を訪れた際に感じたことは、普段私たちがテレビや新聞などで見る途上国の姿以上に発展が進んでいるということです。しかし同時に感じたのは、近年の急速な経済発展によって国民が享受できるサービス(教育など)が増えているにも関わらず、健康に生きられずそのチャンスを得られない人が多く存在しているということです。この経験から、大学では国際関係学を通じて経済学を学んでいましたが、ビジネスの論理だけでは解決できない保健医療・公衆衛生などの問題にアプローチしたいと考えるようになりました。そのため、AMDAであれば保健医療・公衆衛生に関する幅広い知見や経験を有しており、それらを体系的に学ぶことができるのではないかと思い応募に至りました。また、地元が岡山なので、なにか社会に還元できることがないかという想いもありました。
携わった業務について
倉庫整理や会計などの庶務からプロジェクトに関わる書類作成まで、幅広く多くのことに挑戦させていただきました。中でも特に印象に残っている業務は、インターンに参加して間もなく任されたルワンダ大使館への提言書作成です。提言書の内容は、主に母子健康手帳の重要性についてです。母子健康手帳が戦後の日本にどれだけの効果を発揮したのか、そしてルワンダも今後母子健康手帳を導入することで国の健康指標向上に役立つだろう、ということについて述べました。私たち日本人にとっては、母子健康手帳は産まれたときから所有しているものであり、私自身もこれまで深く学んだことはありませんでした。そのため最初に資料作成に取り掛かったとき、母子健康手帳について無知であり、ルワンダの人たちに母子健康手帳の何を伝えなければならないのかわからないという状況に陥った時期もありました。この経験から、人に何かを伝えるときはまず自分自身がその事柄について深く知らなければ、それを知らない人に対して説明することはできないのだと痛感しました。また同時に、誰かを納得させるには経験による裏付けも必要になると強く感じました。私は大学時代は国際関係学を勉強していたため、保健医療・公衆衛生の知識はほとんどありません。そのため、今回の提言書はほかの人の論文や研究を参照しながら作成しました。作成しながら、もし私自身の保健医療・公衆衛生に関する経験を組み込むことができれば、より文書に信頼性と説得身が増すのでは、と感じ、専門性を身につけることの重要性を改めて感じました。
また、もう1つ忘れられないのは「第1回日越国際シンポジウム」の司会進行をさせていただいたことです。司会進行のシナリオも一から作成に携わらせていただき、このような大役を任せていただいたことに大変感謝しております。このシンポジウムは、技能実習生としてベトナムから多くの人が来日しているという背景を踏まえ、日本社会での共生について考えることを目的として開催されました。講演者や参加者の顔ぶれも、普段普通に生活していては会えないような有識者や政府関連者たちばかりであり、その空気感を体験できたのはとても貴重な体験でした。また、シンポジウム開催に向けた事前打ち合わせにも参加させていただき、ロジの部分もみせていただく機会もありました。このシンポジウムは他の団体との共同開催であったため、それぞれの団体がこのシンポジウムに対する方向性や期待する部分が異なっていたと思います。そのため様々な意見が出るのは当然のことですが、たとえ自分の見解に対する反対意見であっても、尊重し客観的にもう一度考え直してみるなど、丁寧に対応している先輩の姿を間近で見ることができたのは、非常に勉強になりました。先輩のそういった誠意ある対応が、参加者が忌憚なく発言できる雰囲気を作り出し、意見のすり合わせが滞りなく行われていたのだと学ぶことができました。すぐには身につけることはできないかもしれませんが、先輩のような調整力を今後身につけるということを目標にしたいと思っています。
まとめ
4月から政府系国際協力機関で働き始めましたが、希望通り保健医療・公衆衛生に関わることができるかどうかはまだ分からないというのが実情です。ですが、スティーブジョブズの、「将来をあらかじめ見据えて点と点を繋ぎ合わせることはできないが、後からつなぎ合わせることができる。だから、今やっていることがいずれ人生のどこかで繋がって実を結ぶと信じるしかない。」という言葉があるように、今後必ずAMDAで学んだ知識や経験を活用する場面が出てくると信じています。私は、これまでの自分の行いや経験はすべて自分に蓄積され無駄になるとは思っていません。そのため、これからも大切にしていきたいと思っているのは、目の前のことに本気になり、今を一生懸命生きることです。そうすることが、AMDAの皆様にとっても最大の恩返しになると思っています。2か月という短い期間ではありましたが、多くのことを経験させていただき、本当にありがとうございました。