AMDAグループ代表 菅波 茂
事務所に空水機を設置
外務省民間援助室でお世話になった昔懐かしい元浜田首席事務官から紹介された(株)MIZUHAの宇佐美彰氏(写真左から2人目)とお会いした。空気中から水を取り出す空水機を紹介された。これはソーラパネル、携帯に次ぐ現代の三種の神器の3番目の機器になると思った。電気、通信および飲料水は国家的事業規模で大規模なインフラ整備が必要とされている。しかし、ソーラパネルによる電力確保および通信衛星による携帯はアフリカなど発展途上国ですでに国家による大規模投資なしに個人レベルの投資によってその便利さを享有できる時代となっている。すなわち、技術革新により国家的資産から個人的資産へと移行している。
■空水機の仕組み
- 空気中に含まれる水分(水蒸気分)を空気を冷やすことで結露させて水として抽出します。
- 抽出した水をイオン交換により発生する銀イオン効果により殺菌及び滅菌をします。
- 殺菌された水をカーボンフィルター等で飲料水としての味を整えます。
5年前に発足した「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」では「災害医療機動チーム構想」の具現化を進めている。災害医療、災害鍼灸と炊き出しの3ユニットとこれらを支援するロジック体制の組み合わせである。気候異常による災害は水災害である。洪水等では周囲にはあふれるほど水があるのに飲めない状況である。ところが洪水発生時には空気中ある高い湿気を飲料水として活用するのが空水機である。本当に理にかなっている。問題はまだまだ空気中から取り出せる水が1台の空水機で24時間かけて20リットルと多くないことである。考えてみれば、40年前に私が統計処理をした岡山大学のコンピューターは計算センターの大きな部屋を占拠していたが、今や同機能以上でも持ち運べる大きさに進化している。空水機の機能進化は誰も疑う余地はない。
現実的には、「災害医療機動チーム構想」として、水の確保は給水車と空水機掲載車両の併用となる。時間経過とともに技術的進歩によりその利用度は逆になってくると考えられる。
今、AMDAは「国連経済社会理事会総合協議資格認定団体」として「世界災害医療プラットフォーム」構想の具現化も進めている。国連、政府、医師会、NGO/NPO、大学、公益団体、企業の7者連携である。当プラットフォームでもこの日本初の技術である空水機を積極的に紹介したいと考えている。
日本では2018年12月6日に水道事業を民営化しやすくなる改正水道法が成立した。近い将来の日本の経済困窮状態に対する備えかもしれない。近接未来では世界各地で水紛争が多発する可能性が指摘されている。日本などのモンスーン気候地帯でこの空水機が解決方法の一つになることを期待したい。